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マタニティ・ハラスメントを告発した技能実習生に対してねぎしフードサービスがスラップ訴訟を予告

●これまでの経緯:ねぎしの監理団体が技能実習生の妊娠の際に「中絶か帰国か」を迫った
 今年の7月末、牛タンチェーン店「ねぎし」で働くスリランカ人技能実習生のSさんは、ねぎしの監理団体に妊娠を告げたところ、「中絶か帰国か」を迫られました。そのため、Sさんは、日本で子供を産むために“失踪”を余儀なくされてしまいました。

 ねぎしは、妊娠したSさんに直接日本で子供を産みたいかどうかの意思確認をせずに、監理団体の「Sさんは帰国を希望している。帰国させたほうがよい」という意向を前提に動いていました。

 そこで、Sさんは、子育てをしながら働きつづけるという、本来認められるべき権利を実現するために、総合サポートユニオンとともに声をあげることを決断しました。
 
 団体交渉をする中で、ねぎしは産休・育休の権利を技能実習生に伝えていなかったことを認めました。しかし、ねぎしは、権利を伝えていなかったことがSさんを復職できない状況に追い込む一つの要因となったことを否定し続けています。

 一方、監理団体は、Sさんに「中絶か帰国か」を迫ったこと、Sさんの意思に反して監理団体の事務所のある神戸へ連行するなどといった妊娠発覚後の対応がマタハラにあたることを否定し、団体交渉への出席を拒否し続けています。自らの主張に自信があるのであれば、堂々と話し合えばよいはずですが、監理団体は一切話し合いに応じていません。

●11月17日よりストライキで抗議
 ねぎしは、これまでの対応についての責任を認めることもなく、Sさんに対して「中絶か帰国か」を迫った監理団体を現在も利用しているばかりか、団体交渉で合意した復職への条件(Sさんの住居の整備など)さえ一方的に覆すなど、不誠実な対応を続けています。

 そこで、11月17日より、これに対する抗議と対応の改善を求めて、ストライキを決行中です。

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 ストライキ初日は、Sさんをサポートする為に、Z世代の若者が集まり、ねぎしフードサービスの狭山工場前にて、抗議行動を行いました。
(参加者の声はこちらでご覧になれます:https://note.com/sguion/n/n54ead9860ad0

 Sさんは、ストライキを決心した理由として、「自分のためだけでなく、他の技能実習生や女性労働者の権利を守るためにも闘いたい」と語っています。実習生が人権侵害に抗議してストライキを行うことは、全国各地で権利侵害が相次いでいる技能実習制度の廃止に向けた大きな一歩となります。

 ねぎしは、Sさんの訴えに真摯に耳を傾けるべきでしょう。

●権利行使をする実習生に「スラップ訴訟」を予告
 ところが、ねぎしは、あろうことか、Sさんを裁判所に訴えると示唆してきました。これは「スラップ訴訟」だと考えられます。

 スラップ訴訟とは、大企業などが自らにとって不都合な言論を封じるために、声をあげた個人や市民団体等に対して、威圧目的で起こす裁判のことをいいます。

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(ねぎしから届いたFAXからの引用)

 ねぎしは、未払い賃金がないことを「確認」するだけのために、Sさんを裁判所に訴えると予告していますが、この目的が正当なものとは考えられません。

 たしかに、総合サポートユニオンは、ねぎしに対し、Sさんが復職できていない現状をつくりだしているのは会社であることから、“失踪”期間と休職期間分の賃金相当額の支払いを要求しています。

 しかし、本件の最大の争点は、ねぎしが産休・育休について適切な説明を行わず、監理団体に対応を一任していたところ、監理団体から「中絶か帰国か」を迫られるという重大なマタニティ・ハラスメントに遭ったという点にあります。私たちは、マタハラに対する謝罪、適切な補償、再発防止策を求めているのです。

 私たちがねぎしに求めている未払い賃金の額は50万円程度です。当然ですが、弁護士に依頼して労働審判をすれば、その金額と同等かそれ以上の額を会社側は弁護士へ支払うことになるでしょう。金銭面で会社側に訴えの利益があるとは考えられません。

 私たちは、ねぎしとも監理団体とも話し合いに応じる用意がありますし、現にねぎしとは本件について交渉中です。なぜ、いま、深刻なマタハラ被害に遭ったSさんを、それも出産を控えた妊娠期間中に、裁判で訴える必要があるのでしょうか。

 こうした状況を踏まえると、今回の労働審判の予告は、声をあげたSさんを威圧して、声を上げる動きを封じるものだと考えられます。

 これはスラップ訴訟の予告であり、技能実習生や女性労働者の正当な権利行使をお金の力で封じようとするねぎしの対応は絶対に許されません。

 私たちは勇気を出して立ち上がった労働者に対して更なる圧力をかけるねぎしに強く抗議するとともに、引き続き闘い続けます!

●ご支援のお願い
 総合サポートユニオンでは、Sさんの生活を支え、ねぎしと監理団体との闘いを今後も続けていくための寄付を集めています。

 ねぎしの予告通りスラップ訴訟が起こされれば、Sさんは更なる生活困窮にさらされることとなります。

 外国人技能実習生、そして女性に対する暴力はSさんに限らず日本各地で横行しています。Sさんの闘いは労働者を使い捨てにし、外国人差別や性差別が蔓延する日本社会を変えるための闘いでもあります。

 ぜひ皆さまのご支援・ご協力をお願いいたします。

●寄付の方法
(1)振り込みでの寄付
・ゆうちょ銀行での振り込み
(a)郵便局で振込用紙を使って納入する場合
  郵便振替口座:00150-8-765273 口座名義:総合サポートユニオン
(b)銀行などから振り込む場合
  ゆうちょ銀行 預金種目:当座預金 店名:〇一九店(ゼロイチキユウ店) 口座番号 0765273

・みずほ銀行での振り込み
 みずほ銀行 店名:北沢支店 預金種目:普通預金
 口座番号:3024622 口座名義:総合サポートユニオン
※通信欄または振込者氏名欄に「スリランカ実習生について」の寄付である旨を記載いただけますようお願いいたします。

●ボランティア・インターンを募集しています
 一緒に日本社会を変えていく運動を作り上げる仲間も大歓迎です!総合サポートユニオンでのボランティア・インターンに関心がある方は下記よりお問い合わせください。
https://note.com/sguion/n/n33782475e678

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