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【大蔵屋商事 交渉報告】ユニオンの粘り強い説得も無視 「机をひっくり返してもパワハラでない!?」

 1月7日、自販機ベンダーの大蔵屋商事(本社 埼玉県川口市)との団体交渉が開かれました。

 主な議題は、川崎営業所で起きたパワハラ事件です。Aさんは過労死基準である月の残業80時間ギリギリで働かされた末に、体調不良を起こし業務の軽減を求めていましたが、会社側は業務軽減に応じず、机をひっくり返すという暴行を含むパワハラで答えました。

 このようなハラスメントがあったにも関わらず、大蔵屋商事は交渉でもパワハラに当たらない、という主張を曲げませんでした。しかもその理由は、下記のようなとんでもないものでした。


〇「一般的にはパワハラにあたるが、パワハラと認めない?」

 会社側は交渉の冒頭、所長の行為は常識的に許されるものではなく、一般的にパワハラにあたると説明しました。ところが組合が法的な責任を取ることを求めると、「違法行為ではないからパワハラではない」と主張を翻しました。「一般的にはパワハラにあたらるが、パワハラではない」という大蔵屋の主張は意味不明です。

〇「パワハラに当たらない根拠は判例だが、どの判例かは分からない」

 所長が机をひっくり返した行為がパワハラに当たらない根拠は、顧問弁護士の紹介した判例だと会社は主張しました。しかし、判例の内容は会社として把握をしていないからわからないと答えました。つまり会社は、内容のわからない判例を根拠にして、パワハラではないと主張しているのです。意味がわかりません。

 また、組合は判例の内容を説明するよう求めましたが、会社は「検討する」と約束を拒否しました。

〇パワハラの背景は、殺人的な労働時間をAさんに強制したい強い意志

 Aさんは、80時間近く残業する月もあり、休憩も取れないという状況が数ヵ月続いていました。そのため、頭痛・目が霞む等の体調不調があり、とても今の業務量で仕事を続けられる状態ではありませんでした。

タイムカードから計算したAさんの残業時間は以下の通りでした。

2021年3月 30:37
2021年4月 71:16
2021年5月 76:32
2021年6月 79:21
2021年7月 79:50
2021年8月 62:45
2021年9月 57:19

 疲労が重なり、手が震えたり、鼻血を出したり、意識が薄れることがしばしば起きるようになり、「このままでは死んでしまう」とAさんは思いました。

 そこでAさんは、連日所長に「業務量を軽減して欲しい、配送ルートを変更して欲しい」と頼みました。

 ところが所長は「他のルートマンよりも少ない件数だから出来て当たり前」「体調不良なのは自己管理の問題、ガムシャラなやる気があれば出来る。」「情熱で頑張りましょう」などと言うだけで改善されることはありませんでした。

 9月末に体調を崩し早退することもありましたが、所長は補充できなかった分を10月2日㈯に休日出勤し、補充に行くよう指示しました。なんと、タイムカードに打刻せず無賃で働かせたのです。連日終業後に"指導"を受け、本社課長にも相談しましたが、根本的な業務改善はありませんでした。

 終業後に行われた"指導"の時間は会社も調査しており以下の通りです。

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 連日の"指導"の末の事件当日の10月8日、Aさんは所長に呼び止められ、2時間40分もの間、所長から無理な仕事を強要されました。しかし、膨大な仕事量をこなすための具体的な改善策は一切示されませんでした。限界を超えたAさんは、限界を超え、所長に対し「仕事に殺される!」と叫びました。これに対し、所長は逆上して机をひっくり返し、Aさんを怒鳴り散らしたのでした。

〇「今回の問題はもう解決しました」(会社)

 これだけ重大な事件であるにもかかわらず、会社は今回の件はすべて終わった問題だ、と言います。それは、事件当日のAさんの帰宅時、お互いに「今日はすみませんでした」と挨拶交わしたから、といいます。

 信じられません・・・・・・・。

〇組合員はさぼっていたのだから、ある程度厳しく言われても当然

 このような事態を会社は把握したにも関わらず、Aさんに対して、「Aさんはさぼっていたのだから、ある程度厳しく言われても当然」「Aさんはポテンシャルを100%発揮していないから業務量を減らす必要はないと考えている」と主張しました。
 休憩も取れず、過労死ライン近くの残業をしていて、業務に支障が出るほど体調を崩しているAさんのことを、さぼっていると言い、もっと働けると言っているのです。許せません!

〇大蔵屋商事はパワハラの責任を取ってください。パワハラの原因になっている殺人的な仕事量を減らしてください。

 以上の通り、大蔵屋商事の団体交渉における態度は不誠実極まりないものであり、労働者には暴力をふるってでも過重労働を強いて当然、というとんでもない会社の考え方が透けて見えるものです。このような態度を許していては、いつ私たちは殺されるかもしれない、と私たちは本気で思っています。

 今回の問題の原因は、売り上げ重視で現場の限界を超えて押し付けられる膨大な仕事量があります。川崎営業所ではAさん以外のルートマンも過労死基準ギリギリの労働時間を強いられ、加害者である所長も過重労働の犠牲になっています。

 私たちは、大蔵屋商事に対し、パワハラの責任を取るよう求めるとともに、文字通り殺人的な長時間労働をなくすために業務量を減らすことを強く求めていきます。

〇大蔵屋商事のみなさん、ユニオンに加入してください
 今回の事件は川崎営業所で起きた事件ですが、同じ問題は他の営業所でもおきているはずです。ユニオンに加盟して改善を申し入れれば、過重労働をなくすことが可能です(実際に組合員はAさんもふくめそうなっています)。大蔵屋商事の皆さん、組合に加入してください。一人ひとりの力で会社を動かすことができます。

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