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映像だけで感動させる「ソアリン」のしかけ


東京ディズニーシーの人気アトラクション
「ソアリン」に乗ったことはありますか?


ソアリン!
https://www.jalan.net/news/article/350378/


空飛ぶ乗物「ドリームフライヤー」に乗って世界を飛び回る、幅広い層が楽しめるアトラクションです。


ドリームフライヤーで世界の空の旅へ


僕も大好きです!


ただ、前から気になっていた事があります。



ソアリンって、要はただの映像ですよね。

ってことは、ソアリンは単に大人数で映像を見るだけのシアターなのでしょうか?


映像を見るだけでこんなに感動するものか?
https://www.irasutoya.com


もしそうなら、なぜゲストはあれほど深く感動させられるのでしょうか?


何かからくりがあるに違いない!!



【注】

  • 特に記述のないソアリンの画像素材は、公式サイト(https://www.tokyodisneyresort.jp/tds/attraction/detail/219/、https://www.tokyodisneyresort.jp/tdrblog/detail/220728/)から引用しております。

  • 本記事は、「ソアリン:ファンタスティック・フライト」の内容のネタバレを含みます。



感動はどこから?


ソアリンは、まるで本当に空を飛んでいるような体験が出来ることがコンセプトのアトラクションです。


風や匂いなど、色々な演出がなされています。


世界の空を飛び回る
https://hochi.news/articles/20190717-OHT1T50130.html


しかし、主なコンテンツが、単なる映像の鑑賞であることに違いはありません。

また、映像の内容自体は、決して強く心を動かすような独自性、ストーリー性のあるものではないと思います。


それではなぜ「ソアリン」はあれほど深い感動をゲストに与えるのでしょうか?

それを考えるために、
まずはソアリンのストーリーをおさらいします。


カメリア・ファルコの夢


このアトラクションのストーリーで最も重要な登場人物が、カメリア・ファルコです。


カメリア・ファルコの肖像


カメリア・ファルコは生涯を「空を飛ぶ」という夢のために捧げた研究者でした。

ソアリンの舞台である「ファンタスティック・フライト・ミュージアム」は、
そんなカメリアやその父が、世界各地で集めた「空を飛ぶ」ことに関する工芸品などを展示する博物館です。


ファンタスティック・フライト・ミュージアム


ゲストは、ソアリンのQライン(待ち列)で、そのストーリーを知ることになります。

ということで、次にQラインの流れを見てみましょう。


「ソアリン」のQライン

ソアリンのQラインは、主に以下の要素で構成されています。


博物館前

Qラインは博物館の外から始まります。

「空を飛ぶ」ための技術開発に貢献した、
偉大な探究者たちの壁画が展示されています。


レオナルドダヴィンチやモンゴルフィエ兄弟など、何人わかるかクイズ感覚で楽しむのも面白いですね。


外装もかなり凝っています
https://ure.pia.co.jp/articles/-/522011


博物館の展示室

いよいよ博物館の中に入ります。


ここでは、世界各地から集められた、空に関する絵や工芸品を見る事ができます。


注目してほしいのは、少し高いところにぐるりと展示された大きな絵。

色んな国の人々が、独自の方法で空を飛ぶ様子が描かれています。

日本では、忍者が布を広げてムササビのように飛んでいますね。楽しそうです。


思い思いの方法で空を飛ぶ


カメリアのギャラリー

次に案内される部屋には、正面に大きなカメリアの絵が飾られています。


どこからどうみても絵です


ここでは、カメリア・ファルコの絵が動き出してゲストに語りかける、驚きの展開が待っています。

彼女は、自身の夢への憧れに満ちた人生と、その結晶「ドリームフライヤー」のことを教えてくれます。


ドリームフライヤー

さて、ついにこのアトラクションの本編です。

カメリア・ファルコ生誕100年記念展覧会の目玉


博物館の展示品、「ドリームフライヤー」にゲストが乗り込むと、おもむろに浮き上がります!

そのまま、ゲストを乗せて世界の空を飛び回る、5分間の夢のような体験です。


本編の前にほとんど終わってる?

ここまで、Qラインから本編の流れを追ってきました。

ここから、それぞれの役割を考えてみましょう。


博物館前で、空を飛ぶことをテーマにした博物館だと教え、

展示室で、空を飛ぶ夢への、世界の人々の願いを伝え、

カメリアのギャラリーで、カメリアの願いをゲストに伝え、

ドリームフライヤーで、空を飛ぶ思いが叶う、、、


こう見ると、あることに気付きます。


この四つの要素は、それぞれ起承転結に対応しています。

つまり、本編、ドリームフライヤーは「」の部分で、

そこまでの展開はQラインで完了しているんです。


これが、ドリームフライヤーが映像以外の要素を必要としない理由です。

足りない部分は、Qラインが実現しているのです。


ディズニーアトラクションのQラインは、ソアリン以外も、それぞれとても重要な役割を持っています。

並ぶ時間を退屈にさせないだけではありません。

アトラクションの体験を一段上のものにする、なくてはならない存在です。



しかし、ソアリンはそれだけではありません!!!


人生全てがQライン

「空を飛ぶ」という夢は、全世界のあらゆる人の心の中にある、共通の憧れです。


今までにも様々な作品が空を飛ぶシーンを描いてきました。

ドラえもんでも、

E.T.でも、

ピーターパンでも、

ゼルダの伝説でも、

ハリーポッターでも、

トイストーリーでも、

アイアンマンでも、、、


この記事を読んでいるあなたも、
きっと一度は夢見た事があると思います。


「ソアリン」はQラインで、特に新しい何かを示しているわけではありません。

乗る人の中にあって、今まで忘れていた夢を、思い出させているだけなんです。


博物館の忍者の絵を見て、「そんなわけない」とくすりと笑いながらも、

自分もそんなことを考えた事があったかなと思い出して懐かしむ、、、

そんな気持ちになったら、ドリームフライヤーで飛び立つ準備は出来ています。



ソアリンの普遍性


ソアリンは、空を夢見た人なら誰でも、
平等に楽しむ事ができるアトラクションです。


次に乗るときは是非、忘れかけていた自分の、
そして一緒にドリームフライヤーに乗る人の、
空への憧れに思いを馳せてみてください。



最後に


ソアリンには、アトラクションの動きや音楽、風、匂い、効果音といった、感動を増幅させる仕掛けが数多くあります。

この記事では省いてしまいましたが、それらも非常に大事な要素です。

そちらに注目してみると、新たな発見があるかもしれません。


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