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気ままに好きお語り*1

自粛もマイナスムーヴも飽きたなぁ〜〜〜と思っていたので、今こそ思いつきで好きなものを語る時じゃないか!と、筆をゆるっと取ってみた。
本当にゆるゆるだらだら壁打ちのように語るだけなので、適当に見てやってください。
語りなのでもちろん、自己解釈強めだし、口調もだらけるし、まばらだし、適当に始まって適当に終わります。

そんなわけで、今日のお題は【新井素子】さんです。
私が文章を書くきっかけになったSF作家さんで、ライトノベルの先駆けのような、ラフで軽快で饒舌な口語文を一人称視点で書いている方です。
(この辺は個人的な解釈なので、ちょっと違ったらスミマセン)
プロフィールとかを書くのはたいそう苦手なので、気になったら調べて見てください。
こちらのサイトさんとか、とってもよくお世話になっておりますので是非。


*出会い

私が出会ったのは、小学生の頃でした。
幸いなことに両親が本好きの家で、そのおかげで童話を山ほど読んでいた私ですが、小学生に上がった頃、母親から一冊の本を渡されます。
それが運命の本、「星へ行く船」でした。

今だと新装完全版出てるしKindleでも読めるし最高ですね!

で。
私が出会ったこの星へ行く船。
それまでに読んでいた、ぴょこたんとも、かいけつゾロリとも違う完全な小説。なのに砕けに砕けまくった文章。
全部が衝撃的で、幼いながらにめちゃめちゃにショックを受けました。
そんでもって、夢中で読むことになるんですが、これがまたすごい。
何が凄いって、とにかく情景や感情の描写に尽きると思う。

まず、感情。
一人称視点なのだから、視点の人の感情の動きが分かりやすいのは当然なんです。
でも、それだけじゃない。その時に喋ってる"人物"の細かい感情の揺らぎが、句読点や感嘆詞だけで、ものすごく伝わる。
それは、つまり、そこに至るまでにその"人物"に対して感情移入していないと難しいことだと思う。
でも、その感情移入も気づかないうちにさせて、重要な部分で確実に読者に共感させて訴えてゆく。
しかも、その視点の人物を通して、他の人の感情の揺らぎも垣間見ることが出来るから凄い。

次に、情景。
一人称視点なのだから、その"人物"が見えるもの、知っていることしか描写されない。
なのに、それがまた凄く分かりやすい。
例えば、今いる部屋の描写一つでも、情景がすぐに浮かんでくるように書かれていて、人によってはアニメやドラマのように思い浮かべることすらできると思う。
現に私も、何年経って読み返しても、毎回毎回同じように思い返せるので、うーん、すごい。

出会いについて語るつもりが、好きなところを普通に語ってしまった。
まぁいいか。


*好きな本

次に好きな本です。
今まで何年かに一回、Twitterでプレゼンしていて、その時の紹介の仕方だと「初めて読む人向け」という形にしていたのですが、今回は関係なしに好き勝手好きなものだけをプレゼンします。
なのでオススメの本、ではなく"好きな本"という見出しになりました。

1:グリーン・レクイエム

悩んだのですが、この表紙ほどグリーン・レクイエムを体現した表紙はないと思っているので、このイメージにしました。
あらすじを説明するのは苦手なので、私の稚拙な説明より、上のamazonに書かれたあらすじを見た方がいいと思います。

で、ええと。ネタバレがない程度に語りますと。
まず、この話だけでも読めます。でも、2にあたる"緑幻想"というものが出ているので、そこまで読むと色々と謎が解ける。はず。
で、で。好きなところなんですが、この話、主人公の信彦さんと明日香ちゃんの恋愛の様子がすごくかわいいんですね。
いや、設定の土台も良くて、さらにその舞台装置を、短い文の少ない場所移動の中で動かすのが本当に上手いんですよ。
でも、個人的には信彦さんと明日香ちゃんの、なんとも言えない空気感の危うげな恋愛を見て欲しい。
この話って、全体的に「光がとにかく強い、黄色の陽だまりの中に照らされ続けている」ってイメージが何故かあるんですが、二人はまさにそんなど真ん中にいるような感じ。
冒頭でベンチに座るんですけど、陽だまりの真ん中にはやっぱりベンチがあって欲しいし、そこで二人で、他所の世界なんて気にせず寄り添っていてほしい。
そんなゆるく切ない雰囲気が好きな方にはオススメしたい。

あと、余談ですが沙耶の唄の元ネタ?インスパイア元?とも言われてるみたいですね。(これはさっき知った)
個人的にどっちも好きだし、言われてみれば確かに雰囲気の共通点が多いな〜と思うので、沙耶の唄好きな方は尚更読んでみて欲しいです。

もう一つ余談で、同時収録されている「週に一度のお食事を」と「宇宙魚顛末記」もめちゃめちゃいいので読んでください。
あと、下記の新装版だと2も読める上に、こちらもまたまたオススメな、「いつか猫になる日まで」も読めるのでおトクです。

「いつか猫になる日まで」はタイトルが本当に天才


2:チグリスとユーフラテス

上下巻ものです。
私が一番好きな新井素子さんのお話だと思います。
めちゃめちゃ読み返してる。

この話は、上下巻・・・と言いつつ、分かりやすく章ごとに分かれているので、割とさっくり読めてしまいます。
と、いうのも、章ごとに主人公が違っていて、性格も年齢も、価値観も何もかもが違う。
なので、繋がっている話なのに、なんだか別々のように読めてしまう。
さらに、この話には共通する「ルナ」という登場人物がいるのですが、この子がまた、出だしとラストで全然感じるものが違う。
それは、章ごとの主人公の感情や「ルナ」との接し方など、様々な流れを通して、読者が「ルナがどういう人物なのか」を徐々に理解してゆくからなのですが、それだけじゃなくて、ルナ自身も主人公たちを通して、変わってゆく、また、自分自身を認めてゆくというように、成長の針を進めるからだと思っています。

また、舞台である世界についての設定背景もすごくよく練られていて、一度読み終えた後に、もう一度読み返したくなったり、後々になって「だからこうなのか・・・」と納得したり出来る話なので、そのような点でも面白いです。

諸行無常な雰囲気が好きだったり、終わりが見える日常というものに惹かれる方に是非オススメしたい。


3:その他
長くなりすぎるので、ここからは一口プレゼンにしたい!ということで、上の特に好きな2種以外のものです。

*ずれ

この本に入っている二作目の話。
短いながらも、オチで幼少期すごく恐怖した。今でも印象に残ってるくらい好きです。
星新一のなんとも言えない、そわっとするSFが好きな方は是非。

*二分割幽霊奇譚

元の文庫と悩んだのですがこっちで。
何故かというと、この表紙の礼子ちゃんがめちゃめちゃめちゃめちゃに可愛いからです。あああああああかわいい。(元ももちろん好きです)
この話、終わり方がすごく好きで、いつかこんなエモい締め方を出来たらいいなぁと思っています。
あと後天性女体化好きな人は絶対に読んだ方がいい。

*ゆっくり十まで(本のタイトル)

これはあらすじも何もみずに、全部読んで欲しいです。
ショートショートが好きな人は是非。個人的には「王妃様とサミ」が好き。
・・・本屋で買う方がいいと思います。(この表示価格は嘘すぎる・・・)

*もとちゃんの痛い話

これを面白いっていうのも悩みますが(痛い話なので)、とにかく面白い。
めちゃくちゃ笑えるし、表現がすごい。
ただ、闘病的なものが苦手な方は注意してください。


*まとめ

そんなわけで新井素子さんの好き語りでした。
一応、念のため、なんですけど。
知らない!読んだことない!って方は無難に「星へ行く船」から始めた方がいいと思います。
さっくり読めるのと、読みやすいのと、ぶっとんでない。
あと、シリーズものだけど、全部読まなくてもとりあえず新井素子さんの空気感には触れられるので!是非!
慣れてきたら「・・・・・絶句」とか読めばいいと思うし、第13あかねマンションシリーズも時系列を追っていったらいいと思う。

ここまで語ったけど、やっぱり何年経っても何回語っても、うまく言葉に出来ない部分がある。
好きが極まりすぎて、どうしようもなく喉が詰まってしまうのだ。
だけど、私のこんな稚拙な好き語りでも、興味持ってくれたら嬉しい。
さらに読んでくれて、そんでもって、好きになってくれたらもっと嬉しい。

最後に。
新井素子さんには、お決まりの締めの言葉がありまして。
私はその言葉が大好きで大好きで、それを読むだけで、物語が「おしまい」になったと思えるんですね。
だから、あとがきは大事にしようと思って、同人誌でもずっとあとがきだけは欠かさずに書いています。
私はお決まりにしている言葉などないのですが、それでも「おしまい」ってすとんと落ちるような、そんな気分になるような気がする。

そんなわけで、この記事もここでおしまいにしようと思います。
それでは、新井素子さんのお決まりの言葉をご紹介させて頂いて、そちらを締めの言葉とさせて頂こうと思います。

もしも御縁がありましたなら、いつの日か、また、お目にかかりましょう――。


お読み頂きまして、ありがとうございました!

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