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岡山へのひとりたびの記録

23歳になってからしばらく経ちます。
24歳を前にして、2月16日、初めてひとりたびをしました。

そもそものこと

もともとは、去年の秋口、岡山にあるレース工場を背景に持つoverlaceのみなさまに展示会で「最近はとてもものづくりそのものに興味があって、川上に対しての好奇心があるんですよね、まちごとあそびに行く感じで本当はツアーとか仕事でやりたい…」という話をしていたら、先日「今度、岡山の天満屋百貨店で展示やるし、その中で染色の実演などもするのでもしよければあそびにきてください」と言われ、この世は“きっかけ”に溢れているので、これも“きっかけ”にしちゃえるな、と、日曜日のお休みと月曜日の半休を使って行くことに決めました。

去年は同じような流れでKISSOのみなさまに展示会で誘われて福井のものづくりのフェス「RENEW」に友人を誘ってあそびにいき、その時に初めての夜行バスを体験しました。そして、全然平気だし、朝ごはんを向こうで食べれて幸せ!と思い、味をしめて、今回も岡山まで生きは夜行バスで行きました。(帰りは新幹線でびゅんと帰って、そのまま新宿に仕事に行きましたが。)

岡山はとても素敵なところでした。穏やかで不思議、結構都会で、本当に100mに1個くらいあるんじゃないの?っていうくらい珈琲やさんだらけ。しかも手書きの白抜きフォントが似合いそうなお店から、スタンドっぽいところ、純喫茶もパーラーも、なんでもそろっていて、チェーンのお店だけがほとんどない。商店街も賑わいがあるし、歩いていると映画のお店や本屋さんもすぐに出てくる。こないだ国立から武蔵小金井まで友人と散歩したのですが、その時の感覚にも近かったし、学芸大学とかあのあたりの感じから学生感を抜いた感じもする。川の気持ち良さは京都とは違って、どちらかというと荒川の土手あるくみたいな感覚で、どこもかしこもちょっとだけ知っている場所みたいな気持ちになりました。

ひとりででかけることについて

私は、ひとりでどこかに行くことに一切抵抗はないのですが、それと同時にとってもおしゃべりだし、たのしいときに一緒にたのしいねって言えたらもっと幸せなのに、ってついつい思ってしまって、あまりひとりでどこかに結果いかない方だったりします。

でも、ひとりで行ったとしても、旅先からお便りでも出したらいいのではないか、そうしたらたのしいときのたのしいねをそのまま空を経由して届けられるのではないか、とオペラシティでやっていた谷川俊太郎さんの展示で谷川俊太郎さんが家族に宛ててた「NYは雪だよ、これから出かけなきゃ。」だけ書かれた葉書をみてから思うようになりました。なので、私は旅先でポストカードをみかけるたびに、おうち宛てにお便りをだします。
お手紙ではなく、お便り。誰かのために愛をこめて書くお手紙とは違って、基本的には日報のきもちで出します。
この習慣がついてからは結構楽しく、遠出のTHE旅だけでなくて、近所のギャラリーだって、隣駅のパンやさんだって、どこへ行っても、もしポストカードに出会ったら、ポストカードを買って便りを出すようにしています。

お便りを書くのは楽しいです、何を書いたかは覚えていないんだけどもね。私は、鞄に必ず何枚もの切手を入れています(最近のお気に入りはミッフィーちゃんの切手ぐりとぐらの切手もかわいくてなかなか使えない。)。だから、いつでも言葉たちを送り出したくなったらまっかなポストに、紙に書きつけた言葉たちをしゅと投函できて、そしたら言葉たちがお便りになって、ちょっとしたらおうちに届く。しかも、おうちに戻ると戻るで、こんなこと書いていたの!と思い出しながらまたポストカードを眺められる。いい循環。たのしいだらけ。郵便制度ありがとう。あとポストも赤くてありがとう。ポストが赤いおかげでお便りを出すのが100倍くらいたのしい気がするよ、もしももっとギラギラだったら、もっとここぞって時しか郵便を出しちゃいけない気になっていたと思うし、もっと溶け込んじゃう感じだったら、こんなに日報のきもちでお便りとして言葉を送れなかった気がするので。

旅の刹那な余韻をたのしむために

あとは、これは旅の時だけだけど、最近は旅帰りにお花を買うようにしています。長旅だとお花も疲れちゃったりはするのですが、旅先のお花屋さんに旅の余韻を部屋になるべく長く残すべく、お水多めで包んでもらって、帰ります。地産のお花を楽しみたいから、というより、旅で部屋が華やぐのも、それでも数日で枯れてしまって、また日常に戻っていくのも、本当に物としてのおみやげよりかは軽くて、でもたべものとは違って、生ものだからこそ旅の刹那な余韻を拡張してくれる気がして、買うようになりました。今回は赤いラナンキュラスを連れて借りました。金色の縁の透明な花瓶に似合っていてとってもかわいい。

もうすぐ、旅の最中に撮った写真が現像から帰ってきます。たのしみだなあ。おそらくですが、刹那な余韻をたのしめることは、私がフィルム写真がすきな理由のおおきいもののひとつな気がします。あとはシンプルにたのしいからと光がかわいいからですが。

岡山での具体的な行程

なんの参考になるかは分からないですが、具体的な私の岡山ひとりたびの行程は、以下の通り。

東京駅から22時に出発した高速バスで、朝8時過ぎに岡山に到着。朝ごはんは、駅の近くの「THE COFFEE BAR」でおいしい珈琲とトーストと人参のポタージュをいただき、朝からやっている夢二の郷土美術館に直通バスで。そのまま、川沿いをお散歩したりなんなりして、途中で犬のついた湯飲みを買ったり、古着屋さんによったり、甘くてもちもちのおうどん(讃岐の男うどん)を食べたり、天満屋で旅の目的だったoverlaceさんの展示も見て、overlaceさんのかわいいバッグも買って、奥田染工場さんにシルクスクリーンプリントもしてもらったりして、そのままお昼はoverlaceさんにおすすめされた天満屋の地下のフードコートの「キッチンかいぞく」でえびめしを食べて、「Folklore」へおやつを食べに。Folkloreさんの3FはCDやさんになっていて、我が家にもいる青葉市子さんのCDたちや素敵で穏やかなCDたち(ironomiさんのnijiのCDジャケットがとってもかわいかったし、henning schmiedtさんのwalzerとか置いてあって、すごいいい場所でした)。Folkloreではとってもおいしい紅茶とチーズケーキを頂きながら、東京から持っていっていた本(岡山の大学の准教授の松村さんによる『これからの大学』)を読んだりして、そのあとは、パン屋さん(Boulangerie Doumae)によって夜食のあんバタパンを買って、おみやげ用においしいケーキ(スーリィ・ラ・セーヌ)でガトーショコラとチョコレートを買って、ゲストハウスのとりいくぐるさんにチェックインをしに。そのあと、すぐにお風呂を入りに「鶴湯」にいき、はじめて番頭さんのいる銭湯で、石鹸貸してください!と固形石鹸を借りたりしながら、あつくてとっても気持ちよいお湯に浸かって、番頭のおかあさんに岡山はフルーツがおいしいから、フルーツのおいしい季節にでもまた遊びにおいでねなんて言われたりしてルンルンでお宿に戻って、お部屋でカネコアヤノさんとかとかザ・なつやすみバンドとか平賀さち枝さんとかばかり聞きながら、また本を読んで1日目が終了。おやすみなさいませ。

2日目は9時前にとりいくぐるさんに「ありがとうございました」の書置きを残し退室。とことこ街を歩いて横断し、カフェモヤウに朝ごはんを食べに行きました。誰もいないお部屋で、人生で一番穏やかで幸せな朝かもしれないなどと思いながら、やさしいお姉さんがもってきてくれたトーストを頬張り、モヤウさんの本棚にいた岡崎京子さんの『うたかたの日々』や高野文子さんの『絶対安全剃刀』を読んで、他のお客さまものんびりすごし始めたので、私はそそくさしないといけないし、帰りの新幹線の時間は決まっているしな、と名残惜しく思いながらも、「珈琲のための器展」をやっていた「アートスペース油亀」さんに行き、素敵な深い青のマグカップとおいしい珈琲豆をおみやげに買って、とりいくぐるさんにおススメされたCCCSCDにも寄って、前日にoverlaceさんにいつも並んでいる岡山ラーメンと言われた「やまと」にお昼として寄って、せっかく岡山に来たのだからと2度目のお昼にハンバーガー「Cozzy's」でブルーチーズのハンバーガーも食べて、おなかがいっぱいすぎちゃうな!と思いながら、帰りにお花屋さんに寄ってお花を買って、新幹線でおうちに宛てた、たびのお便りをしたためながら帰りました。(正確に言うと、その足で新宿にあるオフィスに向かい、仕事をして帰ったんですけどね。)

とかなんとか、改めて、具体的なことを書いているうちに、具体的な話は具体的な想像も書き立てるし、具体的な行動指針にも時にはなるけど、具体的ではないことを具体的ではないままの状態でこころに放し飼いにしておけるような大人に本当はなりたいな、などと思いました。

最近は、前よりもっと知ることや知ってもらうこと、もっと言えば、教えること、教わること、教え方、教わり方、とかそういうことに興味があります。味わうこと、まずは手や体を動かすこと、そういうことも思うようになりました。春は目の前で、私ももうすぐ24歳になります、日々はしんどいことがたくさんあって、一昨日は布団にまるまって泣いたり震えたりして夜を過ごしました、それでもたのしい23歳にする必要が私のためにあるので、あったかいお風呂に入っておなかいっぱい食べて本を読んだり音楽を聴いたり映画を観たりしてとびきりの服を着て精一杯の仕事をして生活していきたいものですね。 ちば


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