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#6 調査PRのパターン(機会訴求③|if型・白紙回答)

こんにちは。
シグナルリサーチの木須です。

今回も覗いていただき、ありがとうございます。

前回の記事では、「調査PRのパターン(機会訴求②)」ということで、メディアで拡散されやすい調査リリースを整理しました。

今回は、「調査PRのパターン(機会訴求③)」ということで、その続きを事例をもとに書きたいと思います。
なお、機会訴求については今回が最後になります。


if型


1つ目は「if型」です。
if型とは、仮の想定を敷いて質問することで意見を問う手法です。

「もし無人島に一つだけ持っていけるなら、何を持っていく?」
みたいなことを調査によって定量化したものです。

「過去回想」と「現在・未来想定」での訴求方法があります。
それぞれについて具体例を挙げて整理していきます。

▼世代別「お金事情」に関する実態調査(松井証券)

過去回想の事例です。
過去の価値観を仮定を用いて聴取しているものになります。

<質問>
あなたが25歳で貯蓄額がない状態だと仮定します。
そのときに月収の半分の額にあたるものを購入するとしたら、どのような行動を取りますか?

<回答選択肢>※単一回答
・貯蓄が溜まったら買う
・安価な類似商品を買う
・ローンして買う
・生活費を削ってでも一括で買う

このような設問をZ世代、ミレニアル世代、バブル世代の3世代の対象者に聴取しました。
すると、結果はどの世代も1位は「貯蓄が溜まったら買う」でしたが、2位に差が出ており、Z世代とミレニアル世代は「安価な類似商品を買う」である一方で、バブル世代は「ローンして買う」という結果になりました。

「ローンで買う」バブル世代と「安価な類似品を買う」Z・ミレニアル世代

調査的な面白みで言うと、バブル世代が25歳のときはバブル全盛の時代なのでローンしてでも買いたい人が多いことと、その反面で今の若い世代は堅実・慎重であることを示すデータになっています。

条件を合わせて仮定の状況について質問することで、世代間で価値観に違いがあることを浮き彫りにしています。

▼Z世代の行動特性や価値観とクレジットカード利用に関する調査(メルカリ)

現在・未来想定の事例です。
現在から未来に向けた価値観を仮定を用いて聴取しているものになります。

「もし今、現金50万円をもらったとしたら、どのように扱いますか?」
という質問に対し、「貯蓄する」と回答した人はZ世代が最も多く、約8割がそう回答したことを示しています。

50万円もらったらどうする?

今回はたまたま2事例とも世代間の価値観を浮き彫りにした事例ですが、世代以外でも価値観の違いを浮き彫りにしたいときには使いやすい手法かと思います。

白紙回答


2つ目は「白紙回答」です。
白紙回答とは、思い出やイメージがないことを訴求することで、新たな価値観を訴求する手法です。

▼ホワイトデーに関する調査(クラシエフーズ)

「忘れられないホワイトデーの思い出はありますか?」
「ホワイトデーのイメージはありますか?」
「理想のホワイトデーの楽しみ方はありますか?」

これらの質問に対して「特になし」と回答した人が9割以上いたという結果から、ホワイトデーがその名前通りに「真っ白な日」であることを明らかにしています。

ホワイトデーは多くの人にとって「真っ白」であることが明らかに

一般論として、調査的には「特になし」のような白紙回答は、回答者の真意が読めないため嫌われることが多い傾向にあります。
しかしそこを逆手に取り、白紙回答が多いことを明らかにすることでホワイトデーへのイメージのなさを顕在化させています。

この事例では、調査結果をフックに「思い出がない(まっさらな状態の)ホワイトデーだからこそ、カラフルなチュッパチャプスと一緒に素敵に過ごしてもらいたい」というブランドメッセージの発信と、それに付随する特設サイトへの誘導を行なっています。

ノーイメージであることを好機と捉えて解釈を変えることで、生活者の背中を押す情報に変換している事例です。

最後に


以上、最後までご覧いただき、ありがとうございました。

今回は調査PRのパターン(機会訴求③)について整理しました。
3回に渡って「機会訴求」を紹介していきました。
背中を押してあげる情報を調査によって創り出すこの手法は、おそらくまだ分類できていないだけで世の中にはもっとパターンが眠っているのだと思います。
noteに綴って整理していくことによって、徐々に完成形へと近づけたらと思います。

次回は「調査PRのパターン(脅威訴求①)」というテーマで整理できればと思います。

引き続き、よろしくお願いいたします!

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