歌声は作った その2

歌声はなんとか自分でイヤじゃない感じのを作り上げた、という話をしていました。

ま、作ったと言っても、実際のところ歌声っていうのは一生かけて醸成していくものだと思っています。90年代に活躍していたアーティストが、アニバーサリーライブをやったり、復活コンサートをしたりして、あの頃流行った曲もやったりするのを聴きます。音源と聴き比べると明らかに声質が変化してますよね。
変化の要因は様々あると思います。まず当たり前ですがその時々の調子。レコーディング当時との、録音機材・技術・手法の進化。会場での演出とか空気感。それらを鑑みても、本人の身体が年々変化していくというのが最大の要因だと思っています。
人間の身体は、だいたい20歳を境にして、鍛え続けないと衰えるようにできています。鍛えると言っても酷使すればすぐ消耗して使い物にならなくなるでしょうし、正しい使い方をする際の前後のケアによっては良い状態を保ち続けることができるはずです。ボーカリストは身体ひとつで勝負してるわけなので、最終的な練習や訓練はアスリート的な境地に達します(稲葉浩志さんやTAKUYA∞さんはその域ですね)。

ボーカルって果てしないんやな〜というところで、声質の話。僕もいろんなアーティストの歌を聞いてきたことで、アレはどうかな、コレは良いかな、というのを一回一回試してみたりしてます。当初はBUMP OF CHICKEN、RADWIMPS、YUIとかにあこがれて、結構吐息混じりというか、醸し出す?感じの声を目指してました。

これが高校になるとMr.Children一色になります。アルバムで言うとI LOVE YOU 〜 SUPERMARKET FANTASYくらいがど真ん中なんですけど、高音のギリギリを攻めない、どちらかというとパワフルな地声の感じを目指していました。fanfareをリリースするくらいまで自分は桜井さんのスタイルを真似ていく方向性が続くんですけど、真似していくと悪い癖の方も似てきてしまいます。

桜井さんのボーカルは常人にはかなり無茶なスタイルなんですよ。よく喉を締めるのが特徴的で、真似がすぎるとすぐに喉を潰すよ、と言われています。また桜井さん自身、40代に入るくらいまでの映像によってはバテて音程が合わなくなるみたいな状態も見受けられました。初期の音源でも、結構外れてるかもな?みたいな曲があります。メロディと声質が突き抜けてキャッチーなので、ピッチに関しては結構甘めなのかもしれません。

一方で、男性シンガーソングライターの特徴的な声質にひとしきり憧れていきます。山崎まさよしの伸びやかな声。秦 基博のようなザラついていながらも迫力のある声。斉藤和義のセクシーさのある声。福山雅治のような低く深みをたたえた声。どれもいいなーと思いつつ、「こういう声はすでにあるから別のキャラになろう」「これ以外でカッコよくて雰囲気のある声ってどんなだろう」という、影響から逃げようとしていく方向で練習していました。

その後結局ボーカルとして目覚めていくことはなく、どちらかというとギターがうまくなりたいなと思いながら、歌詞を書いてみたり、作曲の真似事でMIDIを打ってみたり、というようなことを経て、大学に入ります。つづく

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