記憶

大人になり、都市を跨いでいく。

そのたびに何かを失っていく。

少し前は、もっと感受性が豊かだったよなと思う。

だんだんと、見栄なくなっていく。

周りとの差を感じる。

電車に乗るのも、スーツを着るのも、成れてしまった。

僕の鳴りたかったもの。

僕が慣れなかったもの。

きっと最初はもっと感嘆だった。

ピュアな気持ちを盛って、希望に満ち溢れていた。

全部自分の選択なのは判っている。

そのとき決めたことはそのときに感じたことなんだから、それが正解だと信じている。

だけど、ただ、そう、、、

たぶん、

忘れていくのが嫌なんだ。

身体に、心に、頭に、染み付いた情景が。

自分が大切だと思ったもの。

それらを忘れたくないと思っている。

強く刻まれている。

刻み込まれている。

薄れて行く。

溶けて行く。

暗い儚い場所で。

それが何となく、身失っていくように、流れていくように、もはや雲の上?

泣き叫ぶ間もなく。

違う。

食らいつけ。

もっと盛って持って。

と舞っていたらだめだ。

褪せる感情は待たないで。

絶対に、獲り返す。

全部を手に入れる。

吐きそうだ。

悔しいけど、今をいきてるんだ。

紙に描いた絵をビリビリに破いて。

その奥に本当の自分がいる。

その記憶だけは、信じさせてくれ。

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