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トークテーマ“SDG×行政”を視聴した参加者は何を感じて、何を得た?

2021年8月より「SGD×行政」と題し、3組5人のゲストが月変わりで登場しそれぞれの活動や思うことを語っていただきました。各トークのレポートはそれぞれ掲載されているのでぜひお読みいただきたいのですが、今回ご紹介するのは各トークを視聴された参加者の皆様のアンケート結果とslidoでの質問への登壇者の回答です。アンケートのコメント欄も質問もたくさんいただきましたが、今回はその中から多かったご感想を抜粋してご紹介しています。参加者のみなさまは何を感じ、何に気づきを得たのでしょうか。

#01「都市の公園を育てる」参加者の反応

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【内容】2017年都市公園法等の改正によってPark-PFI制度ができてから、一部の公園に民間セクターの手によるカフェなどが設置され、公園がもつ潜在的な資源性に注目が集まっている。公園に限らず道路空間も河川空間も、空間の多面的な機能発揮に敏感(真剣)になっている。リノベーション型のまちづくり、アクティビティ型のまちづくりのプレイヤーがどんどん増える中、公園や緑もサンクチュアリな感覚を捨ててまちづくりの中に開放していく必要がある。エリア価値の向上、生活時間の豊かさ向上のために、公園や緑は何をやれるのか…。横浜市立大学大学院 都市社会文化研究科客員教授/国土交通省PPPサポーターの町田誠さんによるトークイベント。

:参加者の声:

道路や河川、公園のそれぞれの事例をもっとゆっくり聞きたいと思ったほど、内容の濃さに圧倒されました。今まであまり触れられてこなかった公園行政の歴史の部分、具体的な話がとても面白かったです。
町田さんがいろんなしがらみや制度、慣習にしばられることなくまちづくりと一体化していかに心地よい空間を作り出そうとして来られたかの熱意、関係づくりを一番に大切にされてきたこと、公共空間としての問題ではなく社会全体がどうありたいかを考えていくこと等、とても勉強になりました。
都市型Park-PFI、地方型Park-PFIなら、地方型Park-PFIの方が良い形になると言われたのに共感しました。地方には地方の、都市には都市の形があると思います。それぞれにあったスタイルが見つかると居心地の良い空間になるのでしょうね。


:slidoでの質疑応答:
【質問】公園が是である理由を教えてください。もともと森だったところを切り開いて公園にした、というのになんだか違和感を覚えます。

【町田さんの回答】
自然と対比するものとして都市をとらえるかどうかだと思います。たしかに全国的に見れば森を切り開いて作ったあまり意味のなさない公園もあることは事実です。こんなつまんない公園、森や山を切り開いてまで作るものなのか、と。しかし、ほとんどの公園は都市や市街地の中で作られています。都市や市街地って人々がそこで生活することが必要だったから、都市や町として発展してきた。その中で少しでも自然に近い感覚をもちたい、そういう空間としての代替物が公園であると考えるのがいいかと思います。都市や町は自然は対比させるべきだと思いますが、人の手で作った公園と自然を対比するべきではないと思います。


【質問】Park-PFIを導入することで、その公園の行政による維持管理費はどの程度削減されているのでしょうか?もちろん公園によってケースバイケースと思いますが…

まだデータが少なすぎるのですが、制度設計上は自治体が「100%負担しなきゃ」と思っていることでも国の補助制度を使うことを前提にすると、9掛けでできている、1割の部分を民間業者が負担が成立しています。そこが大事なんです。(制度を)必要な再生整備に民間施設も導入して整備費を1割安くしようっていう発想で使うところもゼロじゃない。その再生整備したエリアをPARK-PFIで民間にやってもらうか、あるいは役所が管理するかそれは制度設計次第なんです。厳しい制度設計を設けて(公募により選ばれた民間業者が)公園の運営も管理もしなきゃいけないよって場合は行政によるコストはゼロですね。でも公募への応募も少なくなってしまうでしょうね。


#02「全国の自治体担当者たちが本音で語る!みどり行政のリアルと未来」参加者の反応

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【内容】地方自治体のみどり行政の現場を担当するプロフェッショナル3名をゲストにお招きし、各地域におけるみどりの現状とそのリアルな課題や危機感、そして、これからの地域社会に求められる「みどりと行政の新しい関係とは何か?」について本音で語り尽くします。

地方自治体行政の担当者が中心となってこのようなオープンなトークイベントを行うことは、あまり普通ではないことかもしれません。
自治体でみどり関連業務を担当されている同業の方、自治体とお仕事をご一緒することの多い事業者の方、自治体に就職を考えている大学生の方、自分のまちのみどりにモヤモヤしている住民の方などなど、「自治体の人ってまちのみどりについてどう考えているんだろう?」と聞いてみたい全ての方々にご参加いただきたい回となりました。八王子市役所まちなみ整備部公園課 大木昇さん/加賀市建設部都市計画課 髙辻貴嘉さん/福岡市住宅都市局花とみどりのまち推進部一人一花推進課 上原真之さん、3人によるトークイベントです。

:参加者の声:

みどり行政の実態や現状課題、行ってきた活動など、なかなか知ることができないリアルなお話を聞けてとても印象に残った。二項対立ではない市民と行政の関わりがこれからできてほしい。またお話を聞いていて思ったが、究極的には行政が公園を作らなくても良いまちが理想形なのかなとも感じた。
公共の緑・行政による環境整備の考え方や行政がプロジェクトを動かすこと自体の難しさは漠然とわかっていたものの、一方で商業施設の緑化は市民によって好意的に受け止められている現状に、私たちは理想の環境作りに向けてどう進んでいくことができるのか?
私たち市民の姿勢が未だ行政から与えられることに慣れすぎていて、「血税をお上がうまくやってくれる」的な歪んだ依存意識が高いことにも起因しているようにも感じた。興味深かった。
行政の立場からみどりのこれからの可能性や地域社会のあり方、ビジョンを知れて面白いお話を聞けて楽しかったですし、これからのプロジェクトが楽しみです!

:slidoでの質疑応答:

【質問】「みどり」に関して市民の関心が減っている理由はなんでしょうか?行政からのアプローチが直接的すぎる(お花を植えることへの補助とか)からなんじゃないかとおもってしまいます....!

【大木さんの回答】減っているんでしょうかね?それぞれの取り組みが何を目的に行っているか等説明が不足しているのかも知れませんね。

【上原さんの回答】「みどり」に関する市民の関心が減っていたとしても、それぞれの皆さんがやりたいこと、興味のあることをされるときに、ツールとして花・緑が使われれば、結果的に「みどり」が価値を与え、その結果「みどり」が増えるという役割(仕組み?)でいいと思っています。
「みどり」を主語(主役)にしようとすると、どうしてもそもそもの母数(ターゲット)が制限されると感じます。

【髙辻さんの回答】①「みどり」以外の魅力的なことが多いから ②時間的余裕と心にゆとりが無いから

【質問】市民として、「なんで花や緑を増やしたらいいのか」ということを皆さんに聞いてみたいです。「いいことをしている」「イメージアップ」だと市民へのインセンティブが弱いと思います。

【大木さんの回答】やみくもに花や緑を増やすことがいいとは思いません。人にとってより快適で安全な質の高い「みどり」を確保していくことが重要だと思います。「質」については地域によって皆さん違うと思います。

【上原さんの回答】「なんで花や緑を増やしたらいいのか」ではなく、みなさんがやりたいことを実現・促進するツールとして、花・緑がいいですよ!という仕組みをたくさん用意して、それでみなさんが輝いて(一花咲かせて)、結果、まちに花と緑があふれる、というアプローチでいいと思っています。

【髙辻さんの回答】訪れる人をはなやみどりでもてなして、喜んでもらえると心が豊かになりますし、訪れる人が多くなれば、まちが活性化して経済的にも豊かになれると思ってます。


#03「グリーンインフラと地域デザインの発想」参加者の反応

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【内容】近年、国内でも注目されている「グリーンインフラ」。最近の政策の状況、これまで政策との違い、緑とランドスケープに関わるプレイヤーの役割について話題提供した上で、グリーンインフラによる地域デザインについて国土交通省 都市局 公園緑地・景観課の塚本文さんによるトークイベントです。

:参加者の声:

これからの官民連携についてのキーワードとして「相補性」というのが印象的でした。
塚本さんのお話は良い意味で官僚らしくない感じで、ご自身の原点にも触れ、プライベートでも活動されていてしっかりしたバックボーンをお持ちの素敵な方だなと思いました。グリーンインフラを破壊する大規模開発・建築を野放しにしていては、政策としてのちぐはぐさは否めないです。規制・誘導は公権力をもった政府・自治体しかできないですから…。一緒に頑張りましょう~。

:slidoでの質疑応答:
【質問】行政と民間の「相補関係」というワードがとってもいいですね!相補関係に向かう際に、行政としてどのように民間や市民にアプローチしていくのが良いとお考えですか?

【塚本さんの回答】それぞれの現場によってお答えは違うと思いますが、例えば、行政の中に地域の提案を一元化して受け止める窓口を設け、実現にあたってはエリアマネジメント団体と連携している地域もあると聞きます。計画策定や目標設定段階から民間の方と協働するようなスキームで設計されている事業もありますね。

【質問】草花を活用した取り組みは地域のコミュニティの再活性化に寄与しています。コミュニティガーデンという取り組みがありますが、福祉や教育、安心安全、地域振興などの地域課題の解決につながっていると思うのですが、いかがですか?

【塚本さんの回答】ご指摘のとおり、分野横断型の課題解決は、グリーンインフラの重要な特徴の一つですね。


ゲストに聞いた「これからのみどりについて考えた時、地域社会と行政はどの様な関係であるべきか?」のアンサー

新しい関係性ができることを信じ、とことん話し合うことが大事
(町田誠さん)
共に考え、実行するパートナー
(大木昇さん)
理解し合う
(高辻貴嘉さん)
ホントの共創
(上原真之さん)
お互いが一つの公益的な目的に向かって役割分担している「相補関係」
(塚本文さん)

ゲストに聞いた「これからの時代に必要な〈みどり〉とは?」のアンサー

社会の変化に適応して柔軟に変化し続け、より多くの人に選択され続けること。
(町田誠さん)
人と人をつなぐきっかけとなる「みどり」
(大木昇さん)
自ら求め 育てるみどり
(高辻貴嘉さん)
価値を与えられるもの
(上原真之さん)
「愛着」対象となる緑は違っていいが愛があると良い
(塚本文さん)


トークテーマ“SGD×行政”のトーク内容はアーカイブ配信もしておりますのでこの機会にぜひご覧ください!

⇒#01「都市の公園を育てる」レポート・アーカイブ動画はこちら

⇒#02「緑行政のリアルな未来」レポート・アーカイブ動画はこちら

⇒#03「グリーンインフラと地域デザインの発想」レポート・アーカイブ動画はこちら

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