SwordkillJane story8


マシーネの遺伝子操作で巨大化した樹木に覆われた瓦礫の街が広がる。 どうやら人間も機械も自然には勝てなかったようだ。 宇宙の片隅の豊かな青い星は再び、その姿を取り戻していた。 複雑な計算も瞬時に解く高性能なコンピュータも 火をおこし文明を興した人間も 母なる星にはかなわなかった。

しばらく行くと、おあつらえ向きのショールームを見つけた。 ここもマシーネの細菌戦の余波で雪のように覆われてる。 誰にアピールするでもない大きな電光掲示板がクルマの広告を流している。

警戒しながらショールームに入る。 大胆なデザインを施されていて相当な資金力のあるカーメーカーだったのだろう。 高い天井に気を取られながら進むと人影が見えたので声をかける。 微動だにせず。 ブラスターを構えながら近づく。 マシーネの罠か。 立ったまま瞬時に焼かれたような黒焦げの死体がそのままに。 ふれると砂のように崩れ去った。 親の手をひく子供の光景に、こみあげてきた。

ゾーイは亡くした息子を思い出すまいと無表情に奥へ進んでいった。 「しばらく使えそう。」 上のフロアに上がり、だだっ広いショールームを見渡すと奥まった壁にガレージを見つけた。 デザインの凝った入り組んだ構造で下からは見えなかった。 奥の車庫にあったクルマに目を付ける。 「これコンセプトカーだよ。チューンナップできそう。」 拉致されたエメリアの代わりにメカニックを担当するシヴォーンが喜びながらボンネットを撫でた。

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