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改めて考える日本の競争力

日本は世界的にみて、競争力はどの程度低下しているのか。ある意味で素朴な疑問であるが、このような疑問に対しては過去様々な視点から議論がされてきている。競争力ランキングではスイスの1989年から毎年発表している競争力ランキングがある。日本は1989年から4年間は1位であったが、バブル崩壊と共にランクが下がり1997年には17位までランクを下げている。この競争力ランキングには4つの大分類(「経済状況」「政府効率性」「ビジネス効率性」「インフラ」)、さらに各大分類に小分類があり、さらには各分類を構成する個別項目の順位が公表されている。2023年の総合ランキングの上位は1位デンマーク、2位アイルランド、3位スイスとなっている。日本を含めて、アジア域内ではシンガポールが4位で最上位、台湾、香港、中国、マレーシア、韓国、タイ、インドネシアと続き、日本は35位となっている。2023年の日本の4大分類による順位をみると、経済状況26位、政府の効率性42位、ビジネス効率性は47位、インフラは23位である。経済状況が2015年以降改善傾向にありつつも2014年以降はビジネス効率性が長期的な低迷傾向であり、この状況が近年の日本の総合順位低迷の主因となっていると考えられる。ビジネスの効率性をどのように改善していくべきは当然のことながら検討はされているはずだが、具体的な対策がなされていないため、低迷が続いていると思われる。
一方で政府の効率性は2011年以降ランキングが上昇傾向にあり、年々改善されていると思われる。
ビジネスの効率性と政府の効率性においては2018年頃からデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速した中で、民間企業ではDXの効果が出ていないが政府にはDXの効果出ていると言えるかもしれない。いわゆる自治体DXが推進されることで今後も政府のデジタル化が家族していくことが期待できのでないか。2021年にはデジタル庁も発足したことで、政府内のデジタル化も加速していくことを期待したい。
インフラの競争力では2011年から2014年までは上昇していたが、2015年以降は下降傾向にある。例えば、技術インフラにおける通信技術では2011年からLTEが商用化されモバイル通信速度が上がったことで、消費者行動のモバイルシフトが加速したことが考えられるが、2015年以降はインフラ競争力が下降したことで、通信以外のインフラが長期低迷の原因になっていることが想定できる。

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