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コロナ禍だからこそ活きたアジャイル開発

はじめに

この記事は、Agile Tech EXPO Advent Calendar 2020 10日目の記事になります。折角の機会なので、ITからはほど遠いイメージの星野リゾートで、何故、アジャイル開発をはじめ、コロナ禍でどのように役立ったのかお話したいと思います。

開発の失敗がすべての始まり

私が入社する前なので、上司から聞いた話になるのですが、2015年くらいまでは、2000人以上の社員がいるのにわずか5名で回しているという、想像しただけでも恐ろしい状態だったようです。
もちろん、開発は外部のベンダーに簡単な用件だけ伝えてほぼ丸投げ。テスト環境では動くはずのものが本番環境では動かない、社内調整ができておらず、ステークホルダーから始まってもいない開発プロジェクトが完成市営ないのはおかしいと指摘される、やたらと保守にお金がかかる、など、そもそもまともに機能していない状態でした。
そんな状況を脱するために、開発ができる人を企業内に抱え込み、自分たちが主体となって開発する、いわゆる内製化を目指すために、声がかかりました。最初はたった一人。まさにカイゼン・ジャーニーの世界でした。

企業文化とマッチするのがアジャイルだった

実際に私が働いて驚いたことは、実は企業文化が、アジャイル開発と意外にマッチしていたということでした。情報システムのスタッフだけでなく、マーケティング担当や予約担当も、何でも親切に教えてくれるし、自分事として一緒に考えてくれます。接客業出身の方たちなので、サービス精神が旺盛でした。
また、組織がフラットなので、ステークホルダーとの調整もすごく楽で、スケジュールも柔軟に変えることが許されていました。
一方で、システム開発のことはほとんど知識がなく、システムの構成などはイメージできないのはもちろん、自分たちが要件として何を出さなければいけないのかも分かっていませんでした。
ただ、コミットは高いので、ある程度動くものができてしまえば、イメージは湧いてくるようで、一緒に開発を進める方がうまくいき、自然とアジャイルな開発が染みつき、少しずつ内製化を進めることができました。

コロナ禍だからこそ活きたアジャイル開発

2020年は宿泊業にとっては試練の1年でした。ここ数年、バブルのようにホテルが建設され、インバウンドも好調だったところから、突然のコロナの感染拡大により、稼働が一気に冷え込み、運営を継続できるか分からない状態になりました。登壇でお話した倒産確率が発表されたのもこの時期でした。

この危機的な状況の中、乗り切ることができたのは、アジャイルに対応できる体制が作られ、変化に素早く対応したからということが大きかったです。計画していた開発を素早く諦め、やるべきことに集中する。新しい課題がでれば、どんな形でもいいのでMVPをリリースし、運用しながら改善を続ける。
登壇でお話した、コストカット対策、大浴場混雑状況可視化、GoToトラベルキャンペーン対応以外にも、ふるさと納税対応、大量に発生したバックオフィス業務改善など、様々な開発をこの1年行ってきましたが、振り返ってみると、全ての開発が年初に計画していたものが1つもありませんでした。
誰も経験したことないコロナ禍は、先が見えない未来だからこそ、全員が協力して、素早く開発する、つまり、アジャイル開発が活きた1年で、内製化が進んでいなければ達成できなかったことでした。
狙っていたわけではないのですが、ここ数年の活動があったからこそ出てきた成果です。
これもアジャイルの力なんですかね?

まだまだ先が見通すことができない、今の状況。来年もめまぐるしい1年になりそうです。