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ツクール生まれGTA育ちなサグ・ライフRPG【 オレンジブラッド 】(XBOX series X)

そのドットに一目惚れ

並ぶ看板と行き交う自動車、ドットで描かれた密度の濃い鬱蒼とした街並みのビジュアルがまず目を引く本作「オレンジブラッド」はGRAYFOX氏制作、PLAYISM発売の「RPGツクールMV」で制作されたインディーズRPGだ。こんなイカす絵見せられたら買うしかないよ!

そんな本作は199X年のヤクザとマフィアとギャングがシノギを削る沖縄近海の人工島「ニュー・コザ」を舞台に、紛争解決業者(トラブルバスター)である主人公Vanillaが依頼された奥深くに何かが眠る地下施設の探索をする傍ら、裏社会で邪魔な同業者たち戦っていくクライムサスペンスなストーリー。主要人物は皆可愛い美少女だけど、血の気は盛んだし、倫理観はズレてるしで中身はグランドセフトオートとノリが大差ないよ!

そして本作はなんと大部分をGRAYFOX氏一人で作られているというから驚きが隠せない。(下記のインタビュー記事で作者が色々語ってくれています)

歯応えたっぷりのバトルがアツい

そんな本作の特徴はビジュアルもさることながら、ランダムステータスの武器や装備を手にいれて戦うコマンド選択式の戦闘もクラシカルだが、なかなか歯応えたっぷりで楽しい。
戦闘はレベル以上に武器装備の依存度が高く、メリットデメリットが大きい様々な効果とランダムなステータスが振り分けられた武器や装備を道中手に入れながら戦っていくのだが、これが敵の攻撃もなかなか容赦ない難易度の高さで命のやり取りを感じるヒリつく戦闘が味わえる。

雑魚との戦いも一撃が重かったり、やっかいなバフ効果をつけたりと油断するとやられてしまうぞ

ボスにやられながらも、強い武器を探し、トライアンドエラーで武器と装備の組み合わせを試行錯誤していく工程は地道ながらも普通のレベル上げにはない面白さがあるし、主人公たちの特技も一人一人個性的でうまく使うための運用が生死を分けるので、そこを加味して考えて戦うのはなかなか楽しい。

結果ビタリと武器と装備の組み合わせがハマって高いダメージが出せた時の達成感は超気持ちいぞ。本作の戦闘は癖が強いけど、RPGの戦闘に確かな歯応えを得たい人にはバッチリな作りだ。

ちなみに僕はあるボスでやられまくってかなり試行錯誤を繰り返していたりした。いや、強いよこのゲームのボス…。

各ダンジョンに点在するクレート(宝箱)を開けて武器装備を手に入れよう。画面切り替えでクレートは復活するので強いモノが出るまで開け続けるのだ。
銃、靴、ギアの三種を上手に組み合わせ強くなろう。

郷愁を誘うツクール感

そして本作は「RPGツクールMV」で作られているが、そのプレイ感覚は往年の「RPGツクール2000」のゲームを遊んでる気分だった。この聴き馴染みある効果音と、見覚えしかないメニュー画面はツクール製フリーゲームを遊び倒していたY2Kなあの頃に戻ったかのようなノスタルジーを誘う。このドットの解像度も完璧だ。しかし操作性や画角などは現代に合わせているので、古臭さは皆無だから安心して欲しい。

メニュー画面は見覚えしかない!この郷愁感はあの時代を味わった世代の特権だ。

そしてこの倫理観のヌケた主人公たちによるクライムな世界観もまさに、個人制作らしいトガり方をしていて、かつての大手メーカーが出せないようなダークな主人公が跋扈していたトガったツクールゲームたちを思い出すんだ。
ちなみに個人的にはパーティの中でも特段テンションが高いサムライヤクザのYazawaが好き。

邪魔なやつを始末するサイドミッションも多数!このアウトローっぷりはGTAか本作くらいだ。
サムライガールのYazawa。ピンチでも軽く口を叩きまくっていて楽しいです。

楽しい小ネタの数々

そんな楽しい本作は世界観やゲーム性、グラフィックの作り込みもさることながら、ゲーム全体に散りばめられた、作者の趣味全開でパロディ全開な小ネタの数々も素晴らしい。全ては拾い切ることは出来ないが、映画ネタが多いのは個人的には嬉しいね!

高いレアリティの武器や装備には専用のテキストが用意されており、どれも映画などから引用されたモノだ。中でもこれは我らが名画「コマンドー」の名台詞。
するとコレはシンディ的なセリフなのでは。他にも「説明書読んだのよ」的なセリフが出てきたりとニヤリとするしかないね!
ヒュウッ!チッチッチ…👆
まさかの「怪傑ズバット」ネタまで。
しまいにゃレストランに激強シェフがいるのだが、経歴が元特殊部隊員ってあんたセガールじゃねーか!よく見りゃ顔もそっくりだ!(しかも倒した際の実績は「エグゼクティブ・デシジョン」だ。)

寄り道とちょうど良いボリューム

そんな本作は10時間前後でクリアできるRPGとしては比較的短めな内容だけど、その中に戦闘の楽しさ、世界観にどっぷり浸れる多数の寄り道サイドクエスト、いろんな小ネタの数々とその中身はかなり充実している。

若干ダンジョンに味気なさを感じる所、ニュー・コザの街が慣れるまで迷いやすかったり、オプションでエフェクトを切らないと画面を見るのが大変だったりと若干癖や、戦闘面で手間な部分はあるけれど。慣れるとドップリハマれる戦闘と世界観がたまらなく楽しい。

本作「オレンジブラッド」はそんな歯応えたっぷりの戦闘、素晴らしいグラフィック、ノリノリでサグいシナリオ、映画好きには嬉しい小ネタ、郷愁を誘う雰囲気そして可愛らしいキャラクターが最高の一本でした。癖はあるけど楽しいよ!


DATA

オレンジブラッド
発売 :PLAYISM
開発 :grayfaxsoftware
対応ハード:Xbox series X/S、XboxONE、PS4、Switch、Steam
発売日:2020年10月1日
ジャンル:RPG


注意:この先の文章はネタバレを含みます

シナリオについて

メインの仕事でダンジョンに潜りつつ、あちこちの反社連中を潰していく展開は痛快だし、その度に成り上がっていく流れはGTAらしさがあって楽しかったね。
サブキャラのハッカーであるディジェグネイターが終始良いキャラしていて楽しかったです。(彼女にも顔グラをつけて欲しかった…。)

このアクション映画に出てくるオタクハッカーなセリフが最高。

ただお決まりの終盤の研究所からラストの展開は若干急ぎ気味で、結構アッサリエンディングを迎えてしまうのは意外でした。まさかあの警備ロボがラスボスとは…。

こうしてゲームが終わってしまうともうちょっと彼女たちのその後を知りたいなとも思ってしまう。今からでもなにか後日談や各キャラクターのお話などDLCで欲しいと思っちゃいますね。
あと結局タイトルの「オレンジブラッド」とは一体なんだったのだろう…。

なんちゅーオチだw



映画鑑賞と積みゲーの資金となります…たぶん