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純度120%のキング映画【 地獄のデビル・トラック 】(1986)

あらすじ
機械が牙を向いた!それは突然起こった不思議な出来事。殺意を持って人間を襲うゲーム機、芝刈り機、自動販売機、そして大型トラック!この窮地に人間たちは生き残る事は出来るのか!?本作は機械に頼りきった人間たちに送るスティーブン・キングからの警鐘だ!

ついにキング自らメガホンを取る!

そんなスティーブン・キング原作のスティーブン・キング脚本のスティーブン・キング監督による純度120%のキング映画が本作『地獄のデビル・トラック』だ。
数々のキング映画がある中、ついに原作者本人がメガホンを取るのだからさぞかし凄いホラー作品になるのかと思いきや…う〜ん、怖くない。

罪なき人が自動販売機から勢い良く発射される缶で股間を攻撃されて理不尽に死ぬっぽいけど緊迫感は0。
他にもちょっとショッキングなシーンはあるけれど全く恐ろしくない…まぁ原因は一目瞭然ならぬ一耳瞭然。音楽を全面的に担当してるAC/DCの元気すぎるBGMのおかげ。本作をこれでもかとハイで陽気な雰囲気に盛り上げてくれる。なんじゃそりゃ!

ホラーとは思えぬユルユル感

そして恐怖の舞台はキングらしい片田舎のガソリンスタンド兼ダイナーへ。
牙を向く巨大なトレーラー達に囲まれたダイナー、そこに取り残された人々が主人公だ。もちろんキング名物の子供もいるぞ。
そんな訳で死ぬか生きるかの大騒ぎのはずなんだけど、当事者たちはどこか他人事のようなユルい〜空気。

いてもいなくてもいいような空気な主人公。主人公より目立つ嫌味な店長。唯一気の毒な子供と登場人物たちはどこか目的がハッキリしない歯切れの悪い奴ら。
オイお前ら!殺人トラックに囲まれてるのに酒飲むな!賭け事してる場合か!だらだら寝るな!当事者意識ないだろ!!!お前らは今ミスト並に大ピンチなんだぞ!!!あと新婚カップルの嫁うるせぇぞ!!!

そして後半は殺人トラックたちも機関銃(構造はアナログだと思うんだけど勝手に動くぞ)を積んだ小さな親分を連れて人間たちと交渉したりと更にシュールな展開が進み、よくわからないタイミングで脱出を図ります。まるでいつでも脱出できたように。

しかも殺人トラックたちは図体はデカいくせして銃にはめっぽう弱くバズーカどころかサブマシンガンで爆発炎上する貧弱さで驚きました。弱い!
最後は一番目立っていた悪魔トラックをバズーカでやっつけて、みんなでガッツポーズ!イェーイ!!!
この頃には僕も彼らの仲間のように喜んでいました。いや、こんなの楽しまないと損ですよ。そういえば機械は全て敵になったはずなのに船とか新婚カップルの車とかは普通に動くんですよね。何故。

そんな訳で最初で最後になってしまった純度120%のキング映画は想像以上のユルさとシュールさと陽気さとガバガバすぎる設定のハイパーハイテンションパニックコメディでした。
原題の「マキシマムオーバードライブ」という冗談みたいな名前もこの映画のテンション的にあながち嘘じゃないです。やっぱり映画って最高ですね。


DATA

地獄のデビル・トラック
公開年:1986年
製作国:アメリカ
上映時間:98分
監督 / 脚本 / 原作:スティーブン・キング



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