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憧れのナイトシティへ【 サイバーパンク2077 】(PS4&XBOX SX)

2020年11月

ロボコップ、AKIRA、マトリックス、ブレードランナー、攻殻機動隊、銃夢、エイリアン、JM…僕はSF映画や漫画が好きだ。特にサイバーパンクというジャンルはたまらない。
マンホールから白い煙が立ち込める汚く、治安も悪いディストピアな世界だがイカすデザインの未来テクノロジーとガジェットが日常に浸透した世界はたまらなくワクワクする。

そんな映画の世界に行けるゲームがついに登場するのだ。その名は「サイバーパンク2077」
自らサイバーパンクと大きく名乗る図々しさと自信に最初は疑心暗鬼だったが、そのトレーラーとビジュアルを見てホンモノだと確信した。

これは確実に面白くなる俺のためのゲームだ!』…と。

トレーラーから映るその光景はまさに夢にまでみた末期的な未来世界。これだよこれ!これぞサイバーパンクだ。
そして僕は幾度の延期の延期を乗り越え、遠足前に眠れない小学生のように発売日を心待ちにし、クリスマスに玩具屋へ向かう子供のようにゲームショップに駆け込み購入したのだ…PS4版を。

そこからの話はご存知の通り

発売されたPS4版はトレーラーとはかけ離れたクオリティと、安定しないガタガタなフレームレート、頻繁に起こる強制終了クラッシュとまるで遊べる代物ではなかった。
そして家庭用ゲームでは異例の返金対応と発売後の本作の行く末は散々であった。(ちなみに僕も返金してもらった。スムーズな対応だったけれど、このソフトはいつ返せばいいの?)

しかし本作の内容に関しては皆口を揃えて良かったと言う。ただハードとの相性が悪かっただけと。事実超性能のPCで遊んでいた人々からの不満は聞かない。
結局僕は不完全なPS4版をモヤモヤしながら遊ぶくらいなら今はプレイしない事を選択をした。

そしてリベンジ


半年後、ようやく手に入れた最新鋭機Xbox seriesXで遂にリベンジする時が来た。フレームレートも安定し、強制終了は当然無く、バグも少ないちゃんと遊べるナイトシティに足を踏み入れる事が出来たのだ。

思えば本作サイバーパンク2077の世界は現実の延長にあるようで、その実全くの違う歴史を歩んで来た異世界のような世界。
アニメ、映画、漫画…80年代の作家達が夢想した未来世界のフィクションをコンリートミキサーにかけてぶち撒けたスリル満点のディストピアだ。舞台である大都市ナイトシティでは国よりも企業が台頭し、ギャングが暴力で弱きモノを支配し、様々な部位の人体改造が横行し、どんな欲望が金で買えてしまう、出来るならなるべく遠くから眺めるだけにしておきたい世界。

そんな文字通りサイバーパンクのごった煮の世界についに自分が足を踏み言えることが叶ったのだ。そんな中、最もビッグで悪役である大企業として、日本企業の「アラサカ」が登場するのは嬉しい。まぁサイバーパンク的には日本はロボコップ3よろしく急成長急拡大した超凄い国なのだ。

秀逸なメインストーリー

主人公のVはこのナイトシティで成り上がる為に無茶な仕事を請け負ってしまう。そのおかげで死んだはずの50年前の電設のロックスター兼伝説のテロリストである「ジョニー・シルヴァーハンド(キアヌ・リーヴス)」の人格が主人公の脳内に住み込んでしまう事態に。しかも人格が主人公を侵食して、このままでは余命は短いと診断されてさぁ大変。主人公はこの窮地を乗り越えるためナイトシティで解決の糸口を探していく…。

 メインストーリーを通して主人公は様々な人物と出会っていくことになる。夢を追われた者やナイトシティから逃げようとする者、憧れて来たけれど思った所と違い戸惑う者など多種多様な生活、目的、個性を持った人間達。そんな坩堝から展開する好奇心誘う面白いSFから、ヒリつくようなサスペンス、切ないラブロマンス、虚しさだけが残る復讐劇まで街の大きさの分と人の多さの分、様々なドラマがこれでもかと展開される。しかも全部日本語吹き替えローカライズなので字幕じゃややこしい話もスラスラ理解できて非常に嬉しい。

そして本作の魅力はやはりプレイヤーの性能が大きく変わる人体改造。脳内に埋め込んだ目に写る機械をハッキング出来るチップ、屋根から屋根への高い跳躍を可能にした人工筋肉、銃弾をも跳ね返す人工皮膚、そして強靭な鉄拳を放つゴリラアーム。人体改造という科学の魔法を身に宿し戦っていくのだ。まさに人間兵器!
隠密ミッションも多く、ルートの多さや戦い方の選択肢の多さも嬉しい。でもやっぱりFPSでスニーキングは難しすぎ!

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意外と平凡なオープンワールド

しかし本作のオープンワールドゲームとしての側面はマップ上に点在するサブクエストなどをこなし、レベルアップするごとに選択できるスキルツリーでキャラクターを強化していくシステムは、かれこれ10年以上変わらないスタイルであり、その先進的な次世代機のビジュアルとは裏腹に遊び方はとてもベーシックな形をしている。
戦闘も新鮮そうに見えて、その実やってる事はスカイリムとそこまで違いはないのだ。

もちろん楽しめない訳ではないのだが、オープンワールドゲームとしてはビジュアルや世界観以外の新鮮さは意外と本作には無い。むしろ不自由なファストトラベルや整理のしにくいアイテムのUIなど、細かなバランスの悪さの方がかえって目立ってしまっていた。
しかもオープンワールドの魅力である乗り物も意外と使い勝手が悪いものが多く、終始序盤で手に入るバイクに乗り続けてしまった。購入できる車もカラーなどのカスタマイズが出来ないのも個人的には寂しい。

そして戦闘のバランスも良くない。特に強すぎるゴリラアームには驚いた。
腕のインプラントを改造しただけで、主人公はまさしくゴリラのような屈強すぎる腕力を手に入れ、敵に対してダッシュで距離を詰め顔面に一撃を与えるだけでノックアウト出来るマスターソード級の超アームを手に入れてしまうのだ。
凶悪な賞金首、狂ったサイバーサイコ、重武装のアラサカ兵、鋼鉄のロボット、犯罪に手を染める町の無法者に対して、風のように顔面に現れワンパンで薙ぎ倒す様は正にナイトシティの王者(ゴリラ)と惚れ惚れするが、さすがにラスボスまでコイツで行けるとは思わず流石に苦笑い(さすがに一撃では倒せなかったけど)。これではバトルの駆け引きのかの字もない。まぁ不殺武器扱いだから心の呵責も無くボコボコに出来るから助かるけどね。

最高のSFリスペクト

そんな我々が想像するサイバーパンクをそのまんまゲームにしてくれた本作の地盤にあるのは様々なSF作品の数々だ。特に目立つのは本作でも大きく取り上げられる人の記憶を体験できる装置「ブレインダンス」。これの元ネタはキャスリン・ビグロー監督の「ストレンジ・デイズ/1999年12月31日」。こちらも「スクイッド」と呼ばれる人の記憶を再生できる装置が登場する。強盗のシーンなどはこの映画のオマージュそのままだ。

もちろんキアヌ・リーブスの主演の「JM」「マトリックス」のオマージュも登場する。特に絵に描いたようなサイバーパンク世界のJMでは主人公であるキアヌの名前はジョニーだし、こちらも頭にチップを埋め込んだことで大変なことになる話だ。ただあちらは生体チップどころか160ギガバイトのチップで大騒ぎする話だけど…。

もちろん他にもブレードランナーやAKIRAは当然、ロボコップなど思い当たるサイバーパンクな作品のオマージュがそこかしこに登場する本作、しまいにゃ実写版スーパーマリオのネタまで用意されている始末!アレも正真正銘のサイバーパンクな映画だったね!

まだまだ遊び足りないのが本音

そんな訳で僕は本作の作りに疑問を持ちつつもなんだかんだでサブクエストやミッションを埋めたりとこの世界をたっぷり堪能させてもらった。(ただ金策がうまくいかなくて車が全部買えぬ!)後半はオートセーブされないバグにぶち当たって厳しかったけれど終始楽しむことが出来た。
ただこの街の広さに対してまだまだ遊び足りないというのが本音だ。現在頑張ってアップデートや追加コンテンツを制作されているようなのでここは気長に待ちたい。

とりあえず本作とはいろいろあったおかげで深く僕の記憶に残るゲームになった。まだまだ新型ゲームの普及が追いついていないため、本作の影は未だに薄い気もするが、新型機が手に入った暁には本作を是非プレイしてナイトシティを堪能してもらいたい。きっと損はしないはずだ。


DATA

サイバーパンク2077
発売:スパイクチュンソフト(日本)
開発:CD project RED
対応ハード:PS4、PS5、XboxONE、Xbox series S/X、Steam
発売日:2020年12月20日
ジャンル:オープンワールドRPG


関連作品

Netflixで配信されたアニメ版。こちらはこちらで面白いぞ。



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