公開ファンレター・高山みなみさんへ

『ガンダム00』2期を再放送で見て、やはり高山みなみさんは他の人に替えられない、稀有な声優だと感じた。ひときわ存在感のある、マネキン大佐の声にハッとする。

2018年の映画『名探偵コナン ゼロの執行人』は、アムロさんこと降谷零が女性に人気と報じられたが、相対するコナン役の声は、女性の高山みなみさんであり、観客はしっかり「少年」に聞こえたはずだ。演技の世界は深い。

●2つの夢を追いかけた人

以前、2度ほど、本人に握手をしたこともある。TWO-MIXのファンでファンクラブに入り、みなみさん本人のファンクラブにも入っていたからだ。

初めて聴いたボーカルのオリジナル曲は『JUST COMMUNICATION』、演技は『らんま1/2』のなびき、名前を知ったのは映画『魔女の宅急便』の宣伝だろう。

1997年当時、TWO-MIXよりはるかに多く売れていたglobeの新曲は、もう聴くことができない。音楽アーテイストは、復帰やリバイバルであっても、やはり長く活動してくれるとうれしい。

TWO-MIXの休止、音楽活動終了の経緯は、かつてのコメントなどから、だいたいわかってる。しかし、あくまで語り手は永野氏であり、疑問符もある。真相は本人しかわからないが、不可解な離婚の件も含め、決して話さないだろう。ただ、いまも音楽の大切なパートナーの誕生日として、11月11日を祝っていると思いたい。

できれば、もう一度、新曲を作ってほしい。

みなみさんの声とみなみさん作曲のボーカルラインの組み合わせが好きだった。他のアーティスト同様、ファースト・アルバム、セカンド・アルバムのほうが手垢のついた表現がなく、完成度が高い。メロディも、後期より前期のほうが光っているけれど、「歌唱」はその後も進化している。

『戦姫絶唱シンフォギア』の天羽奏さんの楽曲と演技には、本人年齢を考えると驚いた。数か月前、試しに「dTV」を契約して作品数の多さに、ひとまず再生した『名探偵コナン』で、新曲「まっすぐ行く」を知った。歌手・高山みなみはいまも健在。思わず何度も聞き返してしまった。いまの歌唱力で、永野氏作曲・アレンジではなく、みなみさん作曲・アレンジの楽曲を歌ってほしい。

●同じ年齢になってわかった、音楽を諦めた理由

プロの声優とプロのアーティスト、二足の草鞋を履いていた期間は忙しかったはず。自分が同じ年齢になり、「30代半ばだったから頑張れた」と気づいた。その反動で、片方をやめる決断を下した理由はわかる。決定的に体力・気力が続かない。

ダブルワーク、トリプルワークで睡眠時間を削っても、夢のために集中できるリミットは40歳。そして彼女は、持てる才能を自ら放棄した。結果的に、多くのファンを捨てたが、名曲としてカバーされ、『ガンダムW』の再放送のたびに改めて脚光を集めている。

女性が輝く社会、人生100年時代とは、2つの仕事(仕事と育児、仕事と別の仕事)を5、6年ではなく、もっと長く、20年くらい続けられる世の中。ゼロ年代前半では理解されず、副業・兼業推進の機運が高まってきた今も、物理的に厳しく、特にフルタイムの仕事と育児の両立は無理ゲーだ。

たとえ本人の名は残らなくとも、生み出したコンテンツが誰かの役に立てばいい。これまで仕事を通じて書いた記事は、デジタルやメディアのトレンドを少しは動かしたはず。はてな匿名ダイアリーの言葉は、大勢のはてな民に読まれた。人生40年に満たず、死んでも悔いはない。

かつて、自分は「悔いはない」と言い切ったが、いまはまた、死ねなくなった。こんなに長く生きたのに、いろいろ書き綴ったのに、まだ「何者」にもなれていない。

▼人生40年論


noteでは、街・人・お金に関する情報を中心に発信します。いま、社会は変革の時代を迎えています。東京・神奈川中心に、県境を組み直す時期でしょう。