酪農業とは?ビジネスモデルも大公開!

こんにちは!酪農家 こーいちろです。
今日は皆さんのよく知らない世界「酪農業のビジネスモデル」についてnoteしてきます。

この記事では、酪農の世界を知ることは元より、「新規就農したい方」、「新規参入したい法人」「家業をなんとなく継いでる方」などに向けて書いていきます。

まずはじめに酪農業とは?

乳牛は子供を産んで初めて お乳を出します。
分娩日から60日目くらいにかけて乳量のピークになり乳量の多い牛は一日で50キロほど生産します。 

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上記のグラフは分娩後から乾乳(搾乳しない休憩期間)までの平均泌乳曲線です。産次(子供を産む回数)が増えるほど乳量も増え、分娩後60日から120日の間で次の受胎をさせ、分娩予定日の60日前に乾乳となります。

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このサイクルを全頭で回していく。これが 酪農業の基本です。

酪農のビジネスモデル

酪農はいわゆる一般的な事業モデルと違いがあり、365日 お盆も正月もGWも関係なく牛乳を出荷する限り「売上」がたちます。毎日お乳を生産してくれるので毎月の売上に大きな変動はありません。
  ※九州の場合 夏乳価・冬乳価で価格が変わります。

1頭あたり年間で90万円から110万円ほどの売上になり、10頭いれば約1,000万円 100頭いれば約1億円の売上規模となります。
その内、餌代が45%から60%ほど、残りの55%から40%で販管費、減価償却を行うイメージです。

単純に売上を2倍にしたかったら飼養頭数を2倍にすれば投資金額はかかりますが、2倍にできます。(※非常に簡潔に説明してます。実際は固定費や施設許容範囲との関係も見る必要があります。)

POINT
・分娩から搾乳が始まる。
・牛が売上を立ててくれる。
・売上の半分以上は餌代として消える。
・売上は頭数によってほぼ決まる。

酪農業のメリット・デメリット

ここでは簡単にメリットデメリットの箇条書きで。
【酪農業のメリット】 
・売上は頭数次第で調整できる。
・毎日 売上が立つ。
・大きな売上変動がない。
・広告宣伝することがない。
・営業もしない。
・請求書も出さなくて良い。

【酪農業のデメリット】
・初期投資が非常に大きい。
・乳牛購入価格が高い。
・365日24時間 管理が必要。
・廃用になると心が痛む。

酪農を取り巻く環境

 生産した牛乳の出荷先は基本的に「指定団体」「非指定団体」への出荷となります。 
指定団体とは一般的に「農協」と同じです。
各都道府県にそれぞれの指定団体があり、その上部組織に各ブロックの指定団体がある ピラミッド構造です。
各県の酪農業協同組合があり、その上部組織に生乳販売連盟があります。この指定団体が基本的に生産した牛乳の委託販売、出荷乳代の管理等行なっています。

 非指定団体とは民間の生乳買取業者です。
大きな違いは、委託販売ではなく、買取となる点です。
どちらにもメリット・デメリットがあるので、自社に合う方と取引を行えば良いと思います。現在はMMJという企業が一番大きな非指定団体です。

またその他に、県の地方振興局などが各補助金の窓口を行なったりしています。畜産クラスター事業や、楽々事業など、国の補助金額も大きな業界になっています。

POINT
・指定団体への出荷が基本になっている。
・組合に所属すると販売手数料がかかる。
・県や国の助成金・補助金が毎年ある。

なぜ、酪農家の減少が起こっているのか?

 ここまで記事を読んだ方も不思議に思っているかと思います。
基本的に、一般的な事業と比べると、酪農業は非常にやりやすいモデルになっています。しかし、離農が止まらない。
 その理由の一つに、後継者不足が上げられます。
数十年前の酪農家は、365日休みもなく働くのが常識でした。
休みもない仕事、汚れる仕事、そんな仕事はやりたくない!と後継者が継がなくなるのです。きつい仕事を子供にさせたくないと、自分の代でやめる農家も多いです。
 また数年前に全国で牛乳の生産調整・出荷制限が行われました。生産調整によって、大きな損害、借金を抱えた酪農家も多くいます。

 しかし、離農の一番の原因は、「ビジネスモデルを理解していない」から。 比較的大きな金額を動かす業界ですが、数字を気にしない。新しい情報を取り入れようとしない。いわゆる「家業」のままで思考が止まる事。
企業目線で酪農をビジネスと捉えれば、もっと明るい業界になると確信しています。

その為には、農家一人一人の経営力の向上。組合の改革。指導員の確保。
外部コンサルタントの起用など。この先の酪農には必須だと考えています。
後継者がいないなら、第三者継承の取り組みなど。新規就農したい方は沢山いますが、その窓口が小さくてなかなか繋がる事ができないのです。

POINT
・後継者不足で離農に繋がる
・家業→企業目線が必要
・組合の改革が必要。
・事業経験者目線では魅力的な業界。

今後の酪農業界の方向性

個人的な思いや考えとなります。
ますます離農が進み、組合組織の維持が不可能となる。その為、現在は各都道府県単位で組合が存在するが、ブロック単位や各組合同士のM&Aが起きる。

大きな規模のメガファームやギガファームの件数増加。
指定団体への生乳出荷から、直メーカーとの取引に少しずつ移行。
小規模農家と大規模農家の収入格差が広がる。

POINT
・組合や農家の改革がなければ、格差社会に突入。
・メーカーに太刀打ちできる生産乳量が必要。
・仕事ができない組合員はリストラになる。

まとめ

簡単で早足で書きましたが、酪農業は考え方や、戦略によって非常に大きな可能性を持った業界です。
この「失われた40年」にもなるような業界をどうにかして改革したいと考えています。
この記事を読んでいただいた酪農家の方には、ぜひビジネスとして取り組み、格差の少ない業界、安定的な業界として発展できればと感じています。

※今後、「牛をタダで手に入れる方法」や「90日で150キロ哺乳マニュアル」「金融機関への融資プレゼン資料」などnoteして行こうと考えています。 ぜひ、フォローお願いします。

それでは、また!



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