【イベントレポート】&mog×立命館 Sustainable Food NIGHT 特別編_20240516
こんにちは、Sustainable Food Asia株式会社(以下SFA)の菊地です。
東京ミッドタウン八重洲スタジオで2024年5月16日に開催された「&mog×立命館 Sustainable Food NIGHT 特別編 トークイベント&試食懇親会@日本橋」の開催レポートをお送りいたします!
本イベントは三井不動産様、立命館大学様とのコラボ企画として開催され、当日は食品メーカー様から食を対象にした投資事業者様まで50名超の方々がご参加くださり、大変な盛会となりました!
開催の経緯
この度、三井不動産社がハード・ソフトの両面から食のイノベーションを創出するプラットフォーム「&mog by Mitsui Fudosan」が東京・日本橋で本格始動したことに伴い、食マネジメント学部を擁する立命館大学とコラボレーションすることで実現したものです。
就職を機に東京に来られる方も多い中、都心部である日本橋の地で世代を超えた食産業の縦の繋がりを作りつつ、大学のOBOGはもちろんそれ以外の方々も広く巻き込み、食業界に関わる皆様の交流の場となることを願い今回のイベントを企画させて頂きました。
イベントの概要
パネラー紹介:
学校法人立命館財務部 部長 酒井 克也 氏
立命館大学産業社会学部を卒業後、立命館に2004年4月に入職。財務部門やAPUで勤務。財務部門では2012年以降資産運用を担当、2019年にRIMIXの取組み立ち上げがきっかけとなり、2021年の起業・事業化推進室の設置へとつながる。2020年人事部に異動、2022年4月に財務部長と総合企画部長(起業・事業化推進担当)になり、現在に至る。2023年、立命館ソーシャルインパクトファンド(RSIF)の規模を倍増(10億円→20億円)
株式会社ARK 代表取締役 竹之下 航洋 氏
1981年生まれ。鹿児島県鹿屋市出身。高専にて電子制御工学、メカトロニクスを学んだ後、立命館大学に編入しロボティクス及びBio Medical Engineeringを専攻(工学修士)。卒業後は一貫してHWスタートアップに身を置き、製品の企画・開発・生産技術等を担当。IoTに関する著書及び特許多数。2016年より(株)ウフルに参画し、エバンジェリストや技術責任者等を歴任。2020年にARKを共同創業し、代表に就任。好きな魚はアジ。
ナオライ株式会社 代表取締役 三宅 紘一郎 氏
1983年生まれ広島県呉市出身。親族が酒蔵関係者が多く、幼いころから日本酒に興味を持つ。立命館大学時代は日本酒を中国で広げたいと上海交通大学へ交換留学。その後20代の9年間を上海で過ごし日本酒を売り歩く。2014年東京でソーシャルスタートアップアクセラレータープログラムSUSANOOと出会いナオライを創業。ナオライ創業メンバーと参加したインドネシア・ウブドのスタディツアーで体感した自然と人が調和した世の中に未来を感じる。「人、自然、微生物、すべての命が尊重され調和されている醸された世の中」を日本酒を通じて表現する。2019年-2023年一般社団法人まめな共同代表理事を兼任。
モデレーター紹介:
Sustainable Food Asia株式会社 代表取締役 海野 慧
1984年生まれ。高校生の時に「世界がもし100人の村だったら」という本を読み、国際協力開発に関与する仕事を志ざし、立命館大学国際関係学部に進学。株式会社じげんの創業期に2007年新卒で入社。2013年に事業管掌取締役となり、東証マザーズへ上場。2019年退社。
2020年、CarpeDiem株式会社を創業。社会課題の本質的解決を実現するためにSTART CAMPなどのカンファレンスを運営。2022年、アジアからサステナブルな新しい食産業のエコシステムを創るため、子会社にSustainable Food Asia株式会社を設立。フルーツミートの展開や、アジアのフードテックスタートアップを集めたSustainable Food Camp、Sustainable Food Museum/サステなおむすび等運営。
トークセッション「立命館大学が持続可能な食づくりに力を入れる理由とは? 」
立命館大学としてなぜ食の課題解決に挑むのか
酒井氏:
そういった狙いはないですが、社会問題を解決したい、大学の卒業生や先生の取り組みを応援したいという狙いで支援をしている上で、結果としてそうなっている。それだけ食市場が大きいのだろうと考えています。
海野:
食関係には約百兆円の市場があると言われていて、(日本の)人口が減っているとはいえ、インバウンドのポテンシャル、食の付加価値化も含め、まだまだ多くの伸びしろがありますね。
酒井氏:
立命館はいち投資家という立場であり、ファンドのデューデリジェンスは他機関に委ねていますが、出資企業とのコミュニケーションは大切にしています。
重視する点は、イノベーションを起こそうとする熱意です。また立命館卒業生との繋がりも大切にしています。
令和5年度大学発ベンチャー実態等調査において立命館は10位となりました。(拍手!)
三宅氏:
審査はめちゃめちゃ厳しいんです!実は私も2年越しに採用されました。資産運用と食は短期的に見れば真逆の方向を行っている、という話がありましたが、その点、立命館は社会が本当に良くなるかどうかをシビアに見ていると感じますね。
竹之下氏:
社会課題は何か?それに対してインパクトがあるのか?を問われました。
例えば、漁師が得るお金は末端価格の3分の1ほどです。
3分の2は流通経費ですが、誰かが中抜きをしているわけではなく、全員がギリギリの薄利で成り立っているケースが多く、構造的に解決する必要性を感じていました。
ARKはもともと漁師の副業として考案されたもので、陸上養殖コンテナを用いることで漁に出られないときも安定収入を得られるモデルでしたが、持続可能な事業にするためには高付加価値化をする必要がありました。
辿り着いたのは活魚を最終消費者に直接売ることであり、始まりは装置メーカーですが、最終的にはサプライチェーン全体を意識していくようになったんです。
将来的に世界的な食料の争奪戦が起こることは確実な中、どのように自給率を上げていくかという観点を持ち、世界各国が各々で生産機能を持つ為にグローバルを見据えて活動していることも、評価された点かもしれないと感じています。
三宅氏:
自分たちの場合は(商品を)作れば作るほど酒蔵が再生されるのか?生態系豊かな田畑が増えるのか?という部分がインパクトです。目に見えて分かりやすいのは営利ですが、そうではない、目に見えない価値まで定義してくださるのがインパクトファンドなので、そう言った部分をしっかり提案していかなければと思っていましたね。
大学とスタートアップの連携可能性は?その達成実績とは?
竹之下氏:
ちょうどこれから始まるところです。湖魚も減少している中、琵琶湖の淡水魚を再生・保全する研究を行っていて、その先の食文化として継承していく部分を食マネジメント学部と連携して進めていこうと考えています。
養殖技術だけの共同研究は他ともありますが、食マネジメント学部の特色を生かした循環型・持続可能で食文化としても成り立つ形を目指していくので、面白い活動になると思います。
三宅氏:
お酒を作る過程で半分が発酵液になるんですが、これを酵素化する研究を生命工学科の若山教授と進めています。これが実用化されると日本中の酒蔵で余っている日本酒や残渣の全てが価値になる可能性もあります。
実は若山先生と繋げてくださったのが酒井さんで、特定の学部・研究室に所属していないところがミソなんです。大学のみならず広報課や、はたまた小学校までを含めた全体を把握し偏りなく繋げることができるので、今回のような文系の自分の斬新なアイディアも形にして頂くことが出来たと感じています。
食マネジメント学部の設置が、食関連業界にもたらす可能性とは?理想とする産学連携の在り方と可能性は?
竹之下氏:
大学との取り組みにはやはり共同研究の形=サイエンスの部分が多いです。
立命館には総合大学として多様な学部もあるので、研究結果によって実際にどのような社会課題が解決されるのか、どんな戦略で世の中に生かされていくのか等を含め学部を跨いだ包括的な取り組みをしていけると良いと思います。
三宅氏:
食の生産方法も国や地域によって様々な価値観がありますよね。
僕は立命館というプラットフォームを一つの村のように見立てていて、ここから「こんな社会のありかたどうですか」と提案・提唱していけるような実証実験の場みたいになると嬉しいです。
酒井氏:
BKCキャンパスないし大学には学生・先生含め多様なプレイヤーがいて設備もある、ということを最大限活用し、卒業生や企業も巻き込んだあらゆる試行錯誤のフィールドとなればと思います。
今後の展開、展望など
三宅氏:
広島→新潟と続き、各地域に根差した浄酎モデルを47都道府県に広めていきたいと考えています。お酒や、時間のかかる産業に興味のある方はぜひともにイノベーションを起こしていきましょう!
(学生に対して)立命館のインパクトファンドに対して、こんな世の中を作りたい、という夢や希望をぶつけ続けていってほしいです!
竹之下氏:
ARKは小型で分散型の陸上養殖装置を使って、どこでも、誰でも、美味しいものを安定的に、持続可能な形で食べられるような世界にしたいと考えています。
いかに早く魚を育てるか、は得意分野ですが、会社をつくって4年目、水産業の難しさもひしひしと感じています。効率にとどまらない、いかに魚を美味しく食べるか、どういった提供の仕方をしたら良いのか、といった部分をぜひ今日参加されている(食マネジメント学部の)皆様と一緒に考えていければ幸いです。
酒井氏:
食というテーマは非常に多くの方々と関わることができるテーマであり、スタートアップに限らず大小様々な機関・人とあらゆる可能性を考えられるテーマです。大学はそれに応えられるような組織であるべきだと思っているので、ご一緒できるようなことがあればぜひお声がけいただき、共に課題解決の方法・連携の可能性を模索していければと考えております。
ディスカッションセッション
未来の食の在り方を考え、食に関心のある方々と繋がりを作る新たな機会とするため、参加者の皆様同士で議論をする時間も設けさせて頂きました。
登壇者によるトークセッションを踏まえ、食分野でのこれからの産学連携の在り方・意義についての意見をシェアする白熱した時間となりました。
ディナー懇親会
そして最後はお待ちかねのディナー!
懇親会では、登壇して頂いたARK竹之下氏、ナオライ三宅氏をはじめとする、12のフードスタートアップ企業様の商品・素材を用いたディナーを提供させて頂きました。
(メニュー創作はチカバキッチン 東京八重洲様にお願いしました!)
使用した素材
ディナー懇親会の様子
次回イベントのご案内(2024/5/28開催)
5月28日(火) 18:00-20:45
東京都港区西新橋2丁目18-7 UR新虎通りまちづくり事務所 1階
にて、「Sustainable Sake NIGHT 2024~ 虎ノ門で、日本酒を味わいながら日本酒と健康の関係性を考える夜 ~」
を開催します!
「SFをノンフィクションにする」をミッションとして、新技術のテーマ探索、スタートアップへの投資育成ならびに大学等との共同研究を通じ社会課題の解決に取り組んでいるスペースシードホールディングス株式会社の鈴木 健吾氏、株式会社MEMORY LABの畑瀬 研斗氏、宇宙キャスターの榎本 麗美氏をゲストに迎えて、トークセッション&試食会を行います。
お申込みはPeatixから!ぜひお誘い合わせの上お越しください。
https://sustainablesakenight2024.peatix.com
まとめ
Sustainable Food Museumでは定期イベントの実施だけではなく、ワークショップなどのイベント開催、サステなおむすびでのコラボ商品の展開、ショーケースプロダクトの募集等、幅広い展開を予定しております。
ご興味ある方は、是非以下へのご連絡お待ちしております。
Sustainable Food Museum お問い合わせ窓口 showcase@sustainablefoodasia.com
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