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おばあちゃん日記その5【恐怖の薬が処方された日】

(※この文章には、排便に関する文章がありますので、お食事中の方や苦手な方は読むのをお控えください)

「あじさいや あーあじさいや あじさいや」

最近、このフォーマットに当てはめて、俳句を読んだ気になっている、86歳のおばあちゃん。

あのかっこいい、素敵な俳句を読んでいた、かつてのおばあちゃんはどこへいったんだろうか。

他にも「うぐいすや あーうぐいすや うぐいすや」をはじめ、「つばめや あーつばめやつばめ スパロウ」…と言いながら、ふと会話が止まると思ったら。

おばあちゃんはこう言う。

「スパロウがつばめなんだっけ。すずめなんだっけ。どっちだったっけ。忘れちゃったわ」

と英語教師を何十年とやってきたとは思えぬ、会話が繰り広げられていくものの、かつて英語留学とワーキングホリデーでカナダへ行っていた私も混乱してしまい、とっさに『つばめ 英語』でぐぐってみると「スワロウ」と出た。

「スワロウとスパロウ、英語はなんだか音が似てて、ややこしいね」

と私が言うと、

「日本語でも似てるから一緒じゃない?」

とおばあちゃんは返答をしてきて

「すずめとつばめ、似てるか…!?」と会話がギクシャクな方向に進んでいく。

一応、彼女なりに旬を感じて生きているのは感じられるが、前はもっとかっこいい句を読んでいたので、孫としては、この雑さも嫌いではないけど、少し悲しさを覚えるのもまた現実。

(おばあちゃんお気に入り、自家製梅ソーダ)

2年ほど前に認知症と診断され、少しずつだけどその症状も以前と比べると進んできて、同じ質問や話を繰り返しされる日々も2年目に突入。

そんな先日は、定期検診で物忘れ外来を受診する日で、

「あなたの大事な仕事の時間を割いていくものでもないわよ!キャンセルしなさい」

と5分おきに気遣いの言葉を投げかけてくれるのだが、そうは言っても、そういうわけにもいかず、結局行き先を伝えても忘れてしまうので、最終的には、ミステリーツアーと称して、病院ヘ連れていくことになる。

(受付時間開始とともに行くが、1番にはなれず)

はじめてこの病院を受診した日、血圧が180〜200を記録し、びっくりするほど高血圧なおばあちゃんだったが、血圧の薬を飲んでから、血圧数値は落ち着き、おばあちゃんも「薬もやめてもいいのよ」「元気だから悪いところはないのよ」と毎日のように同じ言葉を繰り返す。

しかし、おばあちゃんがいく外来は「物忘れ外来」だと伝えると「まあ確かにボケてるからね。頭以外は元気なのよ」と、認めながらしょんぼりと回答する。

いつもの定期検診では、この血圧の数値をみて、またさらに1ヶ月分の血圧降下剤が処方されて、それで診察は終わる。

しかし今回は、そういえば最近便の出が悪いことを思い出し、担当医にその話をすると、とんでもない薬が出た。

「便秘になって2日目の晩に薬を飲んでくださいね」

と担当医はさらっと言うが、いつ便が出たのかわからないのが認知症であり、現状としてトイレは自力で行ってもらっているので、おばあちゃんがいつ用を足したのかが把握できない。

そもそも、おばあちゃんが便の出が悪いと言っているのも、正直本当なのかよくわからない。

便が詰まって腹痛…ということもこれまでにはなく、お腹の違和感=お腹ぺこぺこと解釈されるので、それもまた難しいところである。

高齢者の場合、3日に1度のペースでお通じがあればいいそうで、そのため、2日目の晩に投薬することで、その翌朝に排便を促すというものだそうだが、詳しい方に聞くと、

「この薬は結構強いんで、2錠飲むとだいたい下痢になります」

ふぇっっっっ!?!下痢…。

悪夢が蘇る。

それは勘弁願いたい…。

というのも、以前、体調不調の時に、下痢便が続いたおばあちゃんのトイレの使い方ったら、言葉にしようがなく、その状況だけはとにかく避けたい。

参照↓

【2日目の晩に2錠の薬】と書かれた処方薬を渡されたものの、薬剤師の方からも「強い薬なんで、様子を見て1錠にしてもらっても効きますよ」などと言われたこともあり、とにかくその薬は今のところ、怖くて使っていない。

下痢便を確実に出す恐怖の薬を飲ませることよりも、私としては便通を良くするための食生活と、なるべく多く水分を摂らせることに集中した方がいいのではなかろうか…との結論に至っている。

こんなことなら整腸剤がほしかったなあ…と思うのは孫のエゴかもしれないが、この恐怖の薬が果たして役に立つときはくるのだろうか。

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