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【林業日記27】森林環境教育と無農薬米

※今回の記事は、セイカの夫•バタの寄稿記事となります。ぜひ最後までお読みいただけるとうれしいです!

「このままじゃ林業はどん詰まり…。なんとかせないかん。」


山仕事にハマるほどに、林業の一般認知度の低さがどうにも無視できなくなり、SNSやYouTubeなどで積極的に発信したり、「森の入り口」の仕掛けとして、ツリークライミングを学んで町内開催できるように働きかけたり、「林業の話を…」と声がかかれば県内外問わず人前で話をしたり、県立林業大学校でチェーンソーの技術講師をしたりと、できることがあれば自らの適正なんてすっ飛ばしてなんでもやってきた。

そして遂に、念願だった町内の小学校で授業をできることになったのだ。いやー、どれだけこの日を待ち望んでいたことか…。

(念願の地元小学校での授業!)

町内の小学校向けの授業を、夫婦で受け持つのは今回がはじめてだったのだが、8年前に同小学5年生の授業を受け持った経験がある。当時、起ち上げたばかりの林業団体の仲間と2人教壇に立ったのだ。山での作業から日々出てくる課題に追われ、まったく林業の置かれている状況を俯瞰できておらず、林業について子どもたちに知って欲しいけれど、自分が一体何を伝えたいのかも整理が追いついていない状態で、そんな調子では子供達の心に届くはずもなく、その貴重な機会はあっさりと単発で終わってしまった…。

その代わり…というわけではないのだが、町内の高校で音楽の授業に教壇に立つ機会をいただいた。「なぜ音楽?」と不思議に思うかもしれないが、「カホン」という打楽器を地域の木材で製作しつつも、林業や山の話を聞いてもらうという合わせ技でチャンスをいただいたのだった。小学校のように単発で終わることのないよう、資材費高騰の煽りをを受けつつも地域産材にこだわって、なんとか7年目を迎えることができている。

町外の学校の授業に呼んでいただいたり、県立林業大学校で外部講師を務めたりと少しづつ活動を広めるなか、あきらめきれずに「町内の小中学校や保育園でも林業の話をできる機会を!」と、ことあるごとに関係者にアピールし続けた結果、地元小学校での初授業を迎えることができたのだから、あきらめが悪いことも一つの長所と言えるのかもしれない。

地元小学校での初授業は、4年生の「探求」の時間を借りたものだった。今回のテーマは「自然を守るために自分たちができること」。そのきっかけづくりとして、林業や山のことを話す機会をいただいたのだった。僕たち夫婦は「夫婦林業ヤドリギ」の屋号のもと、山で木を伐ったり、お茶の製造販売や、SNSやYouTubeなどの情報発信、今回のように森林環境教育に関わったりと色々な複業を組み合わせて生活しているのだが、子どもたちに伝えるにはどの角度から攻めればよいものか…。

あーでもないこーでもないと、前日の夜中まで資料を修正し、早朝から山に出かけて子どもたちの教材となる枝葉や木の輪切りを用意して、妻・セイカと一緒に教室に乗り込んだ。「山について、林業について知って欲しいターゲットNo.1!」な子どもたちの前でじっくり話せるチャンスは、当たり前にあるもんじゃない。8年前がそうだったようにこれが最後かもしれないのだ。そりゃもう全力で伝えた。伝えたいことはいっぱいあるけれど、ただただ垂れ流しても意味がない。1時限という限られた時間に合わせ、丁寧にスクリーニングして構成したつもりだが、たった45分といえど教室に座って話を聞くことは、子どもたちにとっては楽なことではない。

(今回持ち込んだ山からの材料)

そこでいくつかの「ネタ」を仕込んだ。まず「つかみ」としては山さながらの「ヘルメット・防振手袋・チェーンソーパンツ」という完全武装で教室に登場し、林業はなにをする仕事なのかを自分たちでつくった動画で紹介。子どもたちも参加できるクイズ形式も挟んでみたり、朝どれで香りも強く残るフレッシュなスギ・ヒノキ・クロモジの枝葉や丸太の輪切りも持ち込んで、見て聞くだけの授業にせず、触ってニオイをかいでもらい、味覚はなかったけど五感に訴えたりと、考えつくすべての要素をぶち込んで授業を組み立ててみた。すると、子どもたちのリアクションもすこぶる良く、楽しんでもらえたようで一安心…。まあ、僕がその10倍楽しんでいたけれど。

実は、この授業の2日前というタイミングで、町主催の森林教育・コミュニケーション技術についての講習会に参加し、「LEAF」という北欧の森林環境教育プログラムを学んだばかりという絶妙なタイミングも相まって、今の自分たちのチカラのすべてを出し切れた。このチャンスを段取りしてくれた仲間や、受け入れてくれた学校の先生方のおかげ…。もっと言うと、SNSの投稿で見つけてお声がけいただき、町外で森林環境教育の実績を積ませてくれた「とさ自由学校」のおかげです…。みなさんありがとうございます!

参考記事↓

環境教育は、単純に「自然って大切だよねー」ということを感じてもらうためだけにやっているわけでなく、木を使った商品の購買層を増やす「消費者教育」を念頭におかれている側面もあるのだ。言うまでもなく、当然必要なことのだが、個人的には、いま同じぐらい大切なのは「山主教育」なんじゃないか?とも感じている。

(ここからは思いの丈を正直に綴るため、有料ゾーンとします🌲興味ある方だけよろしくお願いします!)

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