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頑張ったけど報われなかった、悲しい運命の「瓦」。

「これは使わない方がいいですね…」

無数にある廃瓦を目の前に、瓦屋さんはこう言った。

解体現場からもらってきた瓦の一部

瓦といえば、屋根材で昔から使われてきた建築材料のひとつ。

日本は湿度が高く、調湿効果のある瓦は昔から愛用されてきたものの、一方で耐震性が弱いことから、最近ではガルバリウムの屋根が使われることも増えてきたと聞きます。

しかし、昔は瓦屋根で葺くことが多かったので、現在、解体時期を迎える家屋のほとんどは瓦屋根であり、廃材をかき集めて家づくりをしている私たちをみて、知り合いからも何件か、解体される家屋の瓦をもらってはどうかという提案をされることが増えてきました。

そんなこんなで二つ返事で「もらいます!」と特に深く考えずに、声をかけていただいたところから、産業廃棄物行きになる予定だった、いわゆる「廃瓦」を、家一棟分くらいの量をどっさりもらってきたのです。

しかし、瓦屋根を葺くと一言にまとめても、実はそんなに簡単なことではありません。

新築で建てる家に合わせて、使用する瓦の大きさと瓦が収まる屋根の大きさを計算し、どうやって瓦を設置するのかを考える作業が必要です。一般的には、このことを「瓦割り」と呼ばれています。

この瓦割りが少しでも誤差があったりすると、雨漏りの原因となったりすることから、瓦割りは素人では難しいと言われていたこともあり、私たちは地元高知のプロの瓦屋さんにサポートをお願いして、瓦割りも依頼しました。

勘の鋭い方であれば、ここまで読めばなんとなくお察しかもしれませんが、今まで「腰痛い…」なんて弱音を吐きつつ、夫婦で全力でかき集めてきた瓦は数も中途半端だし、年代物で、同じ型のものを手に入れるのも難しければ、屋根としての環境があまりに違いすぎると、割れの原因ともなるとご指摘を受けました。

同じ高知県内でもらってきた瓦とはいえ、私たちの暮らす町は標高も高く、冬は積雪もあり、もともとあった環境からいうと、温度差もあったり、また海の近くにもあったりしたことから、ここらで、さらには新築に葺くとなると、あまりおすすめはできないとのこと。

「ぎょえ…。この超大量に集めてきた廃瓦、どうすんのよ」と夫婦ふたりで顔を見合わせたりしながら、もうこれ以上は廃瓦は集めてきてはいけないとお互いに心を決め、瓦屋さんに、この先どうしようと家づくりの未来相談をすると、「代わりにいい案があります」と。

淡路島で瓦を作られている「淡路瓦」のメーカーさんで、B品があり、それならば安く手に入れることができるとの情報をいただき、見積書をもらうと、自分たちで引き取るならばかなりいい条件で瓦を手に入れることができることがわかりました。

ここでいう瓦のB品とは、少しの欠けや焼き色のムラなど、高額な値段を払って家づくりを頼む買い手側にとっては、一生に一度の大きな買い物なので、少しでも傷物だとクレームにつながるんだそう。

そのため、ハネものが多く出てきてしまい、そういったB品を受け渡すようなところも多くなく、私たちがセルフビルドで家づくりをしていて、さらには自分たちで屋根も葺くことを知ったメーカーさんがおそらくだが「この人たちならクレームにはならないし、まあいいだろう」と譲ってくれたのだと思っています。

私たちにとっては、この上なく最高な買物ができたと思っているし、繋げてくれた瓦屋さんには本当に感謝しかありません。

捨てる神あれば、拾う神ありとはまさにこのこと!

というわけで、大量の廃瓦は、外構なんかで使うとして、しばらくはその存在を忘れることにして、淡路島まで2往復して、淡路瓦のB品を調達してきました。

少しだけ工場見学もさせてもらいました

淡路島の瓦屋さん「緑窯業」さんにも大変よくしていただき、トラックへの積み込みまでしてもらい、このお礼としては、最高の屋根を葺く!しか今の私の頭では思いつかないのですが、家づくりを通じてでしか絶対に出会わなかったであろう人たちが本当にどんどん、どんどん増えてきていて、涙腺弱めの私は、そのことがありがたくて、すぐにうるっときてしまいそうになります。

きれいに積み込まれた淡路瓦

生きている間に家を完成させようね、が最近の夫とのコミュニケーションでよく出るフレーズです。

そして、ここだけの話。

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実はこの地元高知の瓦屋さんは「村山瓦」さんという会社さんなのですが、私たちが依頼している設計士さんを通じて知り合うことができました。

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