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【林業日記17】夫に「何がしたいの?」と聞かれた日。夫婦で林業という形。

「セイカは林業したいの?本当は何がしたい?」

夫婦で林業を営む私たち夫婦ですが、ある日突然、夫にそんなことを尋ねられました。

「え、いきなり何?」となりそうな話題ですが、私の口から出たのは「農ある暮らしがしたい。もっと畑がやりたい」ということでした。

もともと私自身は、地域おこし協力隊として1年半活動をしていたこともありましたが、それも「農業振興活動員」として働いていました。

麦栽培

さらに、今暮らしている本山町に住む前にもずっと興味があったのは「農」の世界。

とはいえ、林業はこの世の中の自然環境をうつくしく保つには超重要な役割を果たしており、山は川に、川は海につながっているので、山の手入れを行う林業という仕事は本当に尊い仕事だと感じていました。

そんなときに、林業を仕事にしていた夫に出会い、林業という仕事の魅力を聞いているうちに、いずれ夫婦ふたりで独立してできたらという想いもあって、チェーンソーや刈り払い機の取り扱いや危険性を学ぶ安全衛生教育を受けたり、重機の操作もできるようにと、資格講習を学びにいき、一通りの必要な資格は取得をしました。

そんな資格を活かしながら、昨年から夫婦で林業をはじめたわけですが、想像以上に肉体労働の多い林業は、今まで空手の特訓や極寒地でのカメラマンの仕事、日本や世界の畑仕事を経験して、体力がまったくないわけではないはずだけれど、想像以上のキツさでした。

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なによりも最初にチェーンソーのエンジンがかからないなんてこと、誰が想像できただろうか…。林業の現場作業において、チェーンソーが使えないとういうことは、料理するときに火がないのと同じくらいのレベルだと思うんですよね…。

夫との2人のチームだからこそ成り立っている林業ですが、いや、おそらく夫でなければ、他の人とチームを組んで林業をするなんて、そんな気力や情熱は私は現時点では持ち合わせていないのは明らかで、もはやミッションは「夫に何かあったときにすぐに命を助ける」くらいの感じです。

そのため、立木を倒す伐木作業は、毎回、おもしろさよりも恐怖心の方が勝ってしまい、なるべく伐木作業は避けて仕事をしたいという本音も伝えました。

すると、夫は少しショックを受けていたようで、18歳の年の差がある私たち夫婦の特性を活かして、夫の引退後も後継者として私が林業を続けてほしいと願って、指導をしてくれていた分、少し腰が抜けてしまったような感じでした。

そのことに関して、申し訳なさを感じつつも、今の私の体力ややる気を考えると、夫の引退時期が私の引退時期と考えてもいいくらいです。

しかしながら、林業は生半可な気持ちでできる仕事ではなく、やはりそれなりに危険度も伴う仕事だということは、やりながらも重々に感じていること。

夫だけでなく、自分の命を守るためにも、さらには施業によって山を荒らして、後世に残すうつくしい自然環境をなくさないためにも、最低限の知識は必要だと感じるので、林業関係の本はなるべく読むように心がけたり、講習会でも講師の方が言われることは吸収しようと励んでいるつもりです。

「しんどいなら無理してやらんでいいで」

そう夫が気遣って、言葉をかけてくれましたが、今のところ、確かに体力的にはしんどい場面も多く、家に帰って子どもよりも先に寝落ちしてしまうほどなのですが、精神面で言えば「もうやめたい」という気持ちは一切なく、夫との仕事にやりがいは感じています。

夫からすると、早く私に仕事を覚えてもらって、体力もつけて、少しでも対等に仕事を進めるようにと思っていたとすれば、今後も夫の負担はそんなに変わらないかもしれない。

そう考えると、逆にしんどいなと感じさせてしまうことがあるとすれば、申し訳なさも感じますが。

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(写真上:夫婦で栽培しているクヌギの苗。この管理作業なんかは好きと胸を張って言える(笑))

長々と綴ってきた、この文章を書いている今は、そんな感情が私の中にありますが、もしかすると、山に入る日が増えれば増えるほど、また感情に変化が起こるかもしれません。だって人間はいつだって変化するものだから。

夫婦で林業という形は、融通も利くし、遠慮なくお互いに言いたいことを言えてしまうので、それがいい方向に働くこともあれば、逆に働くことだってあります。

私の仕事面のことでいえば、もうちょっと本来なら頑張れるであろうシーンでも、ついつい「疲れた」「もうあかんわ」など弱音をすぐに吐いてしまいがち。

夫はこれに対して、無理をしないという意味ではいいことと言ってくれていますが、おそらく現場作業においてはイラっとしているところもあると思います。本人は顔には出さないし、口に出しても言いませんが…。

そんな感じで、少し夫の期待から外れた形での「夫婦で林業」という感じになりますが、妻側の、私の感情としては、林業を始めた当初からなんら変わっていません。

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なので、引き続き、自分ができることを、長く続けていけたらと思います。

夫婦で林業ってどんな感じなの?の一例にしか過ぎませんが、こんな夫婦もいるんだなあと温かく見守っていただけたらうれしいです!

サポートありがとうございます!私たち夫婦は山を買うのが夢なので、その資金に充てさせていただきます!