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【林業日記18】樹上伐採をやるために必要なもの。

最近、地上の木こりが樹上に登って、木を伐り始めた。

…というのは、私たち林業を営む夫婦も例外でなく含まれているのですが、この世界に踏み込めば踏み込むほど、生半可な気持ちではできないなあと感じます。

以前、こんな記事を書きました。
参照:【林業日記16】人生初の特殊伐採の現場を終えて。特殊伐採は儲かるのか?

ツリークライミングの技術を応用しながら行う方法を夫婦とも学んでいるのですが、今までは夫が私よりも先行して、そういった講習会を受けていました。

具体的には、どんな講習会を受けているのか?

ISA(International Society of Arboriculture)と呼ばれる、世界47カ国に3万人以上の会員を持つ、世界最大規模の樹上研究、実践団体があり、その組織に認められた、ATI(Arborist Training Institute)という日本唯一のアーボリストのトレーニングを行う組織があります。

その中で「BAT」というアーボリストを目指す上で必要なトレーニングを教えてもらえる講座があります。

詳細はBAT1~3 基礎講座/ ATI公式サイトからご覧ください。

プロとして、お金をもらって樹上作業を行う方を対象にされている講座なので、これからそういった仕事を取っていきたいと考えている私たち夫婦にとっては必要な講座でした。

しかし、夫婦でやるというのはモチベーションがそれぞれに異なることがあります。特に私たち夫婦の場合は。

というのも、夫はやる気満々ながらも、妻の私は「ただのサポート」程度にしか考ず受講をしてきました。

何度か受けたお仕事は毎回、妻の私がグラウンドワーカー

夫婦共々、このBAT1~3の講座はすべて受けましたが、この講座の回を重ねるごとに、最悪なシチュエーションになった場合、本当に夫を助けることができるのだろうかと自問自答をするように。

特にBAT3の中では「スパイク」といって、靴にトゲがある特殊な道具を使って、木に登り、幹の樹高を低くする(断幹)作業を行いますが、その作業中にクライマーが自傷事故を起こしてしまった場合、隣に木があれば別ですが、クライマーが登った木しかない場合はその木に地上での作業者が登って助け出す必要があります。

「え、そんなのはしご消防車とか高所作業車で行けばいいんちゃうの?」

と思う方もいらっしゃるかもしれません。

こういった現場は、そういう車両が入れないから任される仕事で、実際にリスクを減らさずに無茶をした作業者が亡くなるケースはあるようです。

この「無茶をする」というのも、おそらくどの作業者もそのときにできるベストをしているとは思うのですが、無知は罪という言葉が存在するように、知らないということほど恐ろしいことはありません。

そのため、やはり樹上作業を行なっていく上で必要な技術は上述したATIという機関で学べると思うので、私たちは学んで実践しています。

BAT1-2を学んだ時にはそんなに感じなかったことですが、BAT3で実際にスパイクで木に登る体験をしたときに感じたことがあります。

それは、登る木の状態を知らずして登ることほど恐ろしいことはないということ。

スギ、ヒノキの見分けがついても、他の樹種のことはほとんど知らないに等しく、さらにどういう状態になっていれば木が弱っているかなど、知識としてほとんど持ち合わせていません。

しかし、その木に登るということは、自分の命をその木に預けるのと同義。

単価が高いからといって受けて、実はその木の芯が腐っていて、作業中に事故…なんて可能性もありえることなので、今後はその木の見極めをできるように、しっかりとした知識を身につけていく必要があると感じています。

木に関する知見を貯めていき、場合によってはどうしてもできない現場も出てくるし、お断りすることがあると思いますが、自分たちの命あってこそできる仕事なので、2022年は「木を知る」をテーマに、日々の林業の仕事とも向き合っていきます。

今年も安全第一で。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。


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