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ジャンク小説「39.0℃の愛」

※ジャンク小説とは…筆者が書き殴る小説のようでそうでないもの。




「39.0℃の愛」



君は何でも知っていた。
お人好しで真面目、臆病な僕を。
そして、浅ましくて醜い僕のことも。
それでも僕のすべてを受け入れてくれた君を「愛」と呼ぶには早過ぎた。
あるいは遅過ぎたのかもしれない。
苦しい時に支えてくれたのは君で、僕の手を引いて闇から連れ出してくれたのも君だった。
何度も僕の方から突き放し、何度離れても尚、僕は君を求め続けた。
僕はどこまでも未熟で、幼稚で子供だった。
君が僕に与えてくれた愛、優しさ、嘘、すべてを受け入れることなんてできなかった。
わがまま過ぎたのかもしれない。
いや、きっと今も僕はわがままで、君と離れた今もこうして君のことを考える。
君の優しい声を思い出す。
君の華奢な体を思い出す。
君の寒がりな温もりを思い出す。
君のすべてを思い出す。
くだらないことで笑い合った君の笑顔。
くだらないことでケンカした君の涙。
僕はそれを「愛」と呼ぶことにする。
でも、今の僕はまだ愛に手を伸ばすことが怖いんだ。
世界が僕と君の二人だけになったら、結婚しよう。

その細い指にキラキラと輝いた安物の指輪をはめてあげる。

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