純恋歌〜フェミニストvsモラハラ男〜
家庭的な女がタイプの俺。友人達には時代錯誤だなんて言われるが、それだけは譲れない。愛した女には、家庭を守って欲しいし、そんな女を、俺は一生涯大切にするんだ。
ある日俺は、大親友のホームパーティに参加していた。そこで俺は、運命の出会いをする事となる。大親友の彼女のツレが、美味しいパスタを作ったのだ。家庭的な女がタイプの俺は、もちろん一目惚れ。初めての本気の恋だった。
大親友の強力もあり、半年後、俺と彼女は付き合う事になった。嬉しくて嬉しくて、柄にもなくスキップして。
おぼろげな月を見上げながら、君は「私のどこが好きなの?」と聞いた。俺は迷う事なく「家庭的なところ」と答えた。
すると彼女は、侮蔑の表情で俺を見つめ、言った。「あなた、それ女性差別よ?」
俺は驚き「そんなつもりはないんだ」と言ったが、彼女は聞く耳を持たない。
「女は家に居て家事をしてろって事?それってすごく差別的だし、今は男女平等の時代よ?どうして女ってだけでそんなに見下されなきゃいけないの?涙が止まらないわ」
彼女の言葉に、おれはカッとなった。女は家に居て美味い飯を作り、男の帰りを待つ。それはとても幸せな事じゃないのか?
俺の母ちゃんもそうだった。母ちゃんは、五年前に癌で死んだ。母ちゃんは毎日おいしいご飯を作ってくれて、おかえりって言ってくれて、いつだって俺と父ちゃんに尽くしてくれた。
俺は、やっとまた母ちゃんに会えたと思ったのに。次こそは幸せにしようと誓ったのに。
「母ちゃんはそんな事言わない!!!」
俺は彼女を突き飛ばした。
「ギャアッ!!」
彼女は仰向けに倒れ、地面にあったブロックに頭をぶつけ、動かなくなった。まさか………死んでしまったのだろうか。
殺すつもりは無かった。話し合えばわかってもらえるはずだった。彼女に、俺の気持ちをわかって欲しかった。また、美味しいパスタを作って欲しかった。女にとって、1番の幸せは家庭にあるのだから………。
俺は彼女の遺体を車に乗せ、実家へと向かった。実家には庭がある。俺はそこに彼女を埋め、共に暮らす事にした。これでもう、彼女は仕事に行かなくても良いし、遊びにも行かないし、ずっとずっと「家庭的」で居てくれる。毎日俺の帰りを待っていてくれる。
「これで、ずっと一緒だね…」
目を閉じれば、幾千の星。
一番光る、お前がいる………
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