見出し画像

成功する子 失敗する子 ー 何が「その後の人生」を決めるのか ポール タフ

洋書らしい文章の周りくどさはあるけれど、内容は、インタビューと共に有名な本の引用や研究を引用しており説得力があります。

内容は将来的な年収と学歴に強い相関があるという観点から、貧困と子供の学力の相関について書かれていて、成功の定義は“学力が高い子に育つ事”となっています。

日本の社会においてはそのまま当てはまるかは不明ですが、いくつか参考になる点がありましたので紹介したいと思います。

1. 知能を向上させるもの

ラットの子供を母親から一旦離して、何もない空間に放置したあと親元に戻し、再度その空間に子供を放置した場合に子供がどう行動するかという実験の中で、一旦子供が戻ってくると毛繕いをする親と何もしない親に分かれました。

親が何もしない場合、子供はほとんどの時間を壁に沿って過ごしました。一方、毛繕いをする場合、子供はしばらく様子を見た後に真ん中の空間で時間を過ごしました。つまり、親が子供のケアをする事でストレスに打ち勝つ行動を取るということが分かりました。

さらに、人間の実験においても子供のケアを適切にすることでストレスを軽減することは立証されているそうです。

つまり、子供が過度なストレスを感じた場合に、母親のケアがある場合はそのストレスをリセットできます。

心の状態によって知能自体が変わる事がありますので、親が子供の精神面をケアする事で子供の知能を向上させる事ができます。

2. どんな能力が必要か?

本書の内容から、個人的に特に重要だと思った能力が”意欲”、”見合った大きさの逆境””グリッド力(やりきる力)“だと思いました。

貧困の中で学力が低い状態でも大学受験を目指している女の子の例が出てきましたが、本人の”意欲”が無いと何も意味がありません。さらに、”見合った大きさの逆境”は一般的にフロー体験を引き起こすトリガーで、人を夢中にさせます。ここは”意欲“と関連があって、子供に逆境が訪れたとき親が手を出すこ事で意欲を削ぐ事があるので親は手を出さない方がいい事が多いです。

個人的には”グリッド力“は最重要の能力だと思います。”グリッド力”を発揮するためには自分の我を通す必要があり、また他人の評価、他人の目や、人の期待、金銭に影響されずに前に進む必要があります。個人的な経験ですが、これさえあれば大抵のことはやり切れると思っています。

3. まとめ

子供の学力向上がそのまま成功につながるかというと少し疑問ですが、大人になると教養を持っている方が物事を広い範囲で捉えられるので、そのベースとなる基本的な知識はとても重要だと思います。

そしてその知識をつけるには、親の適切なケアと本人の心の有り様が重要でした。これさえ分かれば子供の教育はバッチリです。

ここでご紹介した内容は一部で、個人的な感想が含まれています。実際は読み応えがある内容となっています。

この記事が参加している募集

推薦図書

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?