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演劇という表現行為が恐ろしいほどの可能性を秘めていることを信じて疑わなかった若者たちの魂の記録である…★劇評★【舞台=さよなら鹿ハウス(2018)】

 インパクトのあるせりふやアクション、それらを包む詩的なセンス、そして音楽とは切っても切り離せないパフォーマンスの放出熱の高さなど、他の劇団に嫉妬されるほどの切れ味と文学性を武器に、エンターテインメントの究極とは何かを追求し続けている演劇集団「劇団鹿殺し」。拠点を置いていた兵庫県西宮市や神戸・大阪ではある程度の人気を得ていたものの、彼らが2005年に突如、東京に拠点を移したことは関西の演劇界では「事件」として受け止められた。そんな関西の困惑をよそに彼らは「伝説になる」という常識人には説明不可能な理由ひとつで関東での激烈な闘いを繰り広げていたのである。その苦闘の2年間の日々を旗揚げの中心メンバーの一人、丸尾丸一郎が初めての小説として書き下ろした「さよなら鹿ハウス」の舞台版がついに開幕した。彼らがただの目立ちたがり屋ではなく、芸にうるさい関西で鍛え上げたパフォーマンスの一定のノウハウを持っていたことから、このとんでもない冒険は決して「無謀なばか騒ぎ」ではない。舞台「さよなら鹿ハウス」は演劇という表現行為が恐ろしいほどの可能性を秘めていることを信じて疑わなかった若者たちの魂の記録である。脚本・演出は丸尾丸一郎。(舞台写真撮影・和田咲子)=舞台写真は無料期間中だけ掲載します
 舞台「さよなら鹿ハウス」は11月8~18日に東京・高円寺の座・高円寺1で、11月22~25日に大阪市のHEP HALLで上演される。

★舞台「さよなら鹿ハウス」公演情報
劇団鹿殺し公式サイト

座・高円寺公式サイト

★小説「さよなら鹿ハウス」単行本=amazon

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