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文明論にまで踏み込んだ壮大な物語構造を土台に斬新な仕掛けに満ちた一大エンターテインメントに昇華していた…★劇評★【新作歌舞伎=ファイナルファンタジー®Ⅹ」(2023)】

 私はエンタメ批評家やインタビュアー、ライター、ナビゲーターとして活動するかたわら、「物語論」についての研究もしているのだが、研究を続けていると、日本における「物語が生まれる場所」は時代と共に刻々と変化していることが徐々に明らかになってくる。かつてはやはり小説から数多くの映画、ドラマが創られ、そのうち数々の才能のある個性的な脚本家が生まれたことでドラマ自身から物語が発信されるようになっていく。やがてドラマが量産の必要性に迫られ、物語が足りなくなってくると、ほとんどの作品がオリジナルの物語を土台にした漫画から題材がとられるようになる。漫画の動画映像化ではない独自のストーリーを持つアニメーションはより壮大な世界観や哲学性を持つ物語の宝庫へと成長し、ゲームの世界からも洋画を中心に多くの作品が生み出されている。もちろん「曽根崎心中」や「仮名手本忠臣蔵」など実際に起きた事件や犯罪から題材を採った作品は江戸時代から現代まで物語の出ずる場所となり続けている。最近はテレビドラマ脚本家の奮闘でドラマ発の物語誕生の兆しが見えるほか、漫画原作由来の復調ぶりも伝えられている。そんな中で、近年の歌舞伎界は「ワンピース」や「NARUTO」「あらしのよるに」などアニメを歌舞伎化した作品の上演や音声合成ソフト「初音ミク」を歌舞伎の舞台に登場させるなど積極的に新しい歌舞伎を模索しているが、その物語性において日本のゲーム界が生んだ最高傑作とも言われるゲーム「ファイナルファンタジー」シリーズのうち名作の誉れ高い「ファイナルファンタジー®Ⅹ」の新作歌舞伎化に、2019年、「風の谷のナウシカ」の歌舞伎化に成功した実績を持つ歌舞伎俳優の尾上菊之助が挑んだ。歌舞伎とゲームの新たな出会い。新作歌舞伎「ファイナルファンタジー®Ⅹ」は文明論にまで踏み込んだ壮大な物語構造を土台に、細やかなキャラクター付けを施された登場人物たちの勘定の豊かさが際立つ作品に仕上がり、歌舞伎と現代演劇の粋(すい)を融合させた斬新な仕掛けに満ちた一大エンターテインメントに昇華していた。(画像は新作歌舞伎「ファイナルファンタジー®Ⅹ」とは関係ありません。単なるイメージです)

 新作歌舞伎「ファイナルファンタジー®Ⅹ」は、2023年3月7日~4月12日に東京・豊洲(最寄り駅は徒歩1分のゆりかもめ線「市場前」駅です。豊洲駅ではありませんのでご注意ください。新豊洲駅からは徒歩6分)のIHIステージアラウンド東京で上演される。

★序文は阪清和のエンタメ批評&応援ブログ「SEVEN HEARTS」でも無料でお読みいただけます。舞台写真はブログでのみ公開しています。l

 無料のブログでの劇評は序文のみ掲載し、それ以降の続きを含む劇評の全体像はクリエイターのための作品発表型SNS「阪 清和note」で有料(300円)公開しています。なお劇評の続きには作品の魅力や前提となる設定の説明。尾上菊之助さん、中村獅童さん、尾上松也さん、中村梅枝さん、中村萬太郎さん、中村米吉さん、中村橋之助さん、尾上丑之助さん、上村吉太朗さん、中村芝のぶさんら俳優陣の演技に関する批評や、金谷かほりさん、尾上菊之助さんの演出や舞台表現に対する評価などが掲載されています。その他、スタッフワークの評価が盛り込まれている場合もあります。

【注】劇評など一部のコンテンツの全体像を無条件に無料でお読みいただけるサービスは原則として2018年4月7日をもって終了いたしました。「有料化お知らせ記事」をお読みいただき、ご理解を賜れば幸いです。

★新作歌舞伎「ファイナルファンタジー®Ⅹ」公演情報

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