毎公演ごとにこの作品は生まれ変わっている…★劇評★【ミュージカル=Endless SHOCK(2019)】

 これだけ毎年公演が繰り返されているのに、ミュージカル「Endless SHOCK」を観ていて「再演されている」という気がしないのはなぜだろうか。キャストの入れ替わりや細かい部分のマイナーチェンジが繰り返され、活発な新陳代謝が行われているとは言え、ストーリーにはほとんど変更がなく、物語がたどり着こうとする場所も同じ。そんなミュージカルが常に「初演」のような新鮮さと緊張感をはらむのは、この作品が毎年生まれ変わっているからだ。いやもっと率直に言えば、年という単位ではなく、毎公演ごとにこの作品は生まれ変わっているのだ。激烈な人生を生きた主人公たちはある種の節目を迎えるが、魂は再生され、生と死のドラマもまた再生する。この永遠の繰り返しをこの作品は「生きて」いくのだ。今年は開幕前の会見でも明かされたように、これまで舞台のそでに配置していたオーケストラを増員した上で舞台前方の本来のオーケストラピットに配置。内容に音楽的な変更も加えたり、シーンのトーンをがらっと変えたりするなど変更点が多く、観劇後の印象もかなり違う。チケットを入手出来ている人はぜひとも劇場で直接確認してほしいし、細かい点を評価するのがこの劇評の目的ではないので、変更点を詳しくは書かないが、ひとつ確かに言えるのは、その変更点が物語の中に秘められている純粋な魂の部分を観客に伝えることにおいて、実に効果的な役割を果たしているということだ。やればやるほど本当は見えにくくなるその純粋な魂の部分を、堂本光一、その人はきちんととらえている。堂本光一という役者としても、劇中で演じるコウイチとしても。再生によって生み出された命の脈動が、今年の「Endless SHOCK」をさらに輝かせている。
 ミュージカル「Endless SHOCK」は2月4日~3月31日に東京・丸の内の帝国劇場で上演される。

★ミュージカル「Endless SHOCK」公式サイト
https://www.tohostage.com/shock/

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