名作誕生の裏にあった「かもしれない」愛の物語、演劇への尽きせぬ情熱あふれ出す…★劇評★【舞台=恋におちたシェイクスピア(2018)】

 たまたま2日続けて、演劇の舞台裏をのぞく作品を観て思ったことがある。それらは高校演劇部の舞台が上演されるまでと、シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」の初演が上演されるまでという違いはあるものの、ひとつの演劇作品が上演されるまでには数え切れない出来事があり、作者や演出家・役者たちのあまたの心の葛藤を経て、舞台の上で表現されているのだということ。後者の舞台「恋におちたシェイクスピア」の場合、そこにはシェイクスピア自身の人生を左右するほどの恋愛と、名作誕生までの秘話(実話に基づくかどうかは別にして)が絡め合わされており、よりドラマチックで深みのある示唆に満ちている。何よりも演劇に対する愛が作品のあちらこちらに反映されており、演劇ファンや舞台に携わる者の心を捕えて離さない。1998年(日本は1999年)に公開された同タイトルの映画を基に舞台化された話題作が、ついに劇団四季により舞台として日本でも開幕。劇団四季にとっても2006年の舞台「鹿鳴館」以来となる12年ぶりの新作ストレートプレイで、フランスの劇作家の作品にその出発点を持つ劇団四季のぶれのない演技力とミュージカルで鍛え上げてきた繊細な表現力が存分に活かされた作品となった。
 舞台「恋におちたシェイクスピア」は6月22日~8月26日に東京・浜松町の自由劇場で、9月7~30日に京都市の京都劇場で、10月12日~11月25日に再び東京・浜松町の自由劇場で上演される。12月には福岡市のキャナルシティ劇場でも上演されることが決まっているが、詳しい日程は未定。

★舞台「恋におちたシェイクスピア」公式サイト
https://www.shiki.jp/applause/shakespeare/

ここから先は

3,892字
この記事のみ ¥ 400

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?