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【News:速報=「京都人の密かな愉しみ」の完結した「Blue 修業中」シリーズ全5編を5夜連続一挙再放送へ(2022)】

 京都人の実像と古都の美しい魅力を描いて高い人気を誇ってきたNHKBSの番組「京都人の密かな愉しみ」の第2シリーズで今年5月28日に完結したばかりの「Blue 修業中」全5編「送る夏」「祝う春」「祇園さんが来はる夏」「燃える秋」「門出の桜」を8月9日から13日にかけてNHKBSプレミアムで5夜連続一挙再放送することが分かった。番組自体が続くのかについての言及は現時点ではなく、番組そのものの「終了」の不安は常につきまとうが、前回の例で言うと、第1シリーズの完結から第2シリーズのスタートまでは約4カ月半。番組が継続するのであれば、前例を踏襲した場合、今年10月ごろにも新シリーズの放送が始まる可能性もあるだけに、今回のように第2シリーズを順番にすべて振り返る復習の機会は大変貴重。5編は今月8月16日に迫った「京都五山の送り火」の裏側を紹介した「送る夏」や、先月山鉾巡行が3年ぶりに開催された祇園祭の真髄に迫った「祇園さんの来はる夏」をはじめ、紅葉が映える「燃える秋」や桜をフィーチャーした「祝う春」「門出の桜」が含まれており、美しいラインナップになっている。庭師、京野菜、陶芸、京料理、パン職人と京都らしい職業の継承に挑む若者たちの成長ぶりも鮮やかで、京都の魅力があふれる夏の5夜になりそうだ。
 出演はおなじみの、林遣都、吉岡里帆(第3、4、5弾のみ)、矢本悠馬、趣里、毎熊克哉、団時朗、甲本雅裕、上杉祥三、本田博太郎、高岡早紀、秋山菜津子、石橋蓮司、相楽樹(第1、2弾のみ)ほか。(写真は「京都人の密かな愉しみ」とは関係ありません。イメージです)

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★「京都人の密かな愉しみ」の「Blue 修業中」シリーズ第3弾「祇園さんの来はる夏」映像=YouTube

★NHKのお知らせページ

 2015年の放送開始時から続いてきた和菓子店の物語が2017年5月に放送された「桜散る」で完結。2017年9月からは「送る夏」で京都の伝統的な技術を継いでいこうと奮闘する若者たちを描く現シリーズ「Blue 修業中」の放送が始まり、2018年4月放送の第2弾「祝う春」、2019年8月放送の第3弾「祇園さんが来はる夏」、2021年1月30日放送の第4弾「燃える秋」と続き、今年5月28日放送の第5弾「門出の桜」で完結した。

 2015年の放送開始時から続いてきた和菓子店の物語が2017年5月に放送された「桜散る」で完結した際は、次のシリーズが告知されず、「京都人の密かな愉しみ」自体が終了してしまうのではないかという憶測が飛び交ったが、「Blue 修業中 」シリーズが始まってファンは胸をなでおろした経緯がある。

 2017年9月にスタートした現シリーズ「Blue 修業中」は、放送前に明かされた公式情報の中で「京都の伝統文化を継承し、悩みながらも生き方を模索する若者たちの姿」が描かれることが予告され、第1弾、第2弾、第3弾、第4弾を通じて、苔マニアで庭師見習いの若林ケント幸太郎(林遣都)、厳しい陶芸家の父のもと陶芸修業中の宮坂釉子(相楽樹=2019年から吉岡里帆に交代)、天才的な舌を持つ板前の松原甚(矢本悠馬)、パン作りに青春のすべてを掛ける上町葉菜(趣里)、京都のプロたちが絶賛する京野菜をつくってきた祖母タエについて農家修業中だった松陰鋭二(毎熊克哉)という友達同士の5人の日々が描かれている。

 第1弾「送る夏」では、京都五山の送り火を背景に描かれ、鋭二がその準備に関わっているという設定のもと、普段なかなか知ることのできない送り火の準備段階も紹介されていた。

 第2弾「祝う春」は、厳しく物分かりの悪い師匠の下で悪戦苦闘する4人の若者の奮闘ぶりが引き続き描かれたが、甚の憧れのマドンナのおかみ(高岡早紀)のもとに、突然家出中だった夫(波岡一喜)が戻ってきてひと波乱起こしたり、クールな鋭二の意外なトラウマが明らかになったりするなどサプライズの要素も。京都の子どもたちにとっては通過儀礼ともなっている「十三(じゅうさん)参り」のユニークな習慣や、京野菜の情報もたっぷりで、「京都人の密かな愉しみ」の世界が深まっていく予感を感じさせた。

 第3弾となる「祗園さんの来はる夏」は、1150年の節目を迎えた祇園祭を完全ドキュメント。毎年祇園祭が近づくと恋心ムードになる釉子の恋のゆくえと、笛や太鼓で祇園祭に参加する幸太郎や甚の準備段階も含めた奮闘ぶりを紹介。江波杏子が演じていたタエはドラマの中でも亡くなったかたちに設定され、仲間だけが残った通夜の席で鋭二の秘密が明かされた。甚の恋は相変わらずだった。
 ドキュメンタリー部分では、ドラマにも登場する粽(ちまき)に関する詳しい情報や、祇園祭の細部にわたる裏側の紹介など充実した内容だった。
 「祇園さんが来はる夏」はコロナ禍が来る以前の作品だが、番組的にはむしろそれよりも大きな試練を迎えた回と言える。ドラマの主人公である高校の同級生の一人である農家修業中の松陰鋭二(毎熊克哉)が農業の指導を受けていた京野菜づくりの第一人者である「祖母」のタエを演じていた女優の江波杏子が急逝したからだ。
 どのように描かれるのか注目されたが、ドラマ内でもタエは亡くなり、その通夜の席で、鋭二が自らとタエの関係の秘密を明かしたのだ。
 折しも祇園祭の季節が近付き、鋭二はタエと二人で夜なべをして作っていた祇園祭の粽(ちまき)を一人で全量やり遂げることを決意。それが5人の中の新たな愛にもつながる、という展開だった。
 どこか重苦しさも残っていた「祇園さんが来はる夏」だが、「燃える秋」「門出の桜」へと連なる変化への予感を十分に漂わせていた回と言える。
 新型コロナウイルスの日本上陸よりも前の撮影だったため、祇園祭を支える人々の裏側の物語や実際のドキュメンタリー映像がふんだんに撮影されており、2021年時点では最新の祇園祭の山鉾巡行をとらえた映像となっていた。
 また、相楽に代わって急遽、釉子を演じることになった吉岡の役づくりや、京都(太秦)出身らしいはんなりとしたネイティブの京都弁にも注目が集まった。実際のところ、釉子のキャラクターにも少し変化が見えた回だった。

 第4弾「燃える秋」は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)のさなかの撮影・放送となった。現シリーズは陶芸家修業中の釉子を演じていた相楽樹の降板による吉岡里帆への交代や、料理人が絶賛する京野菜を作り続けてきた重要な役どころ「松陰タエ」を演じていた江波杏子の急逝などコロナ禍以前にも大きな危機を乗り越えて継続されてきた。第3弾の「祇園さんが来はる夏」では「祖母」タエに付いて農家修業中の松陰鋭二(毎熊克哉)がタエの通夜後の席で、自らが抱える秘密について明かし、物語は大きな展開点を迎えた。どこか重苦しさも残っていた「祇園さんが来はる夏」から一転して、「燃える秋」は、失恋続きの釉子(吉岡里帆)と庭師修業中の幸太郎(林遣都)に意外な事実が明らかになるとともに、結婚を決意した(いつの間に!)京野菜農家の鋭二(毎熊克哉)とパン屋修業中の葉菜(趣里)の前に立ちはだかる高すぎる壁についてコミカルに描き出され、停滞していたものが一気に動き出す雰囲気も感じられた。

 そしてシリーズ完結編となった第5弾「門出の桜」は、庭園や陶器、京野菜、京料理、パンといった京都に根付く職業を修業中の同級生たちが独り立ちの季節を迎え、それぞれの師匠から巣立つ様子が描かれる
 完結編にふさわしい内容になっており、結婚を決意した京野菜を作る鋭二(毎熊克哉)とパン職人の葉菜(趣里)は葉菜の父で染職人の光治(上杉祥三)を説得し、結婚式を挙げる。  
 前回、庭園での作業中に倒れた師匠の清兵衛(石橋蓮司)から自宅の庭園の手入れを任された庭師の幸太郎(林遣都)は、それが「卒業試験」であることを感じ取る。
 京都の陶芸界の巨匠である父、羊山(本田博太郎)のもとで修業中の釉子(吉岡里帆)は、生活の中で長年使えるような飾り気のない器づくりを目指して、火を操ることが難しい登り窯の使用許可を父に申し出る。
 料亭「萩坂」東京支店の板長を任されるという話が舞い込んだ甚(矢本悠馬)は、美食家(木場勝己)の宴の取り仕切りを板長の伊原(岡田浩暉)から任され、これをやり遂げた暁には萩坂のおかみであるマドンナ、唯子(高岡早紀)に結婚を申し込もうという大いなる野望を胸に秘める。唯子は失踪中(一度顔を見せたが…)の夫(波岡一喜)との関係に決着をつけることを決意するが、果たしてそれは甚の運命と交錯するのか否か。
 それぞれが新たな未来へと歩き出そうとする姿が満開の桜の下で描かれた。

 第1シリーズで団時朗が演じていたヒースロー教授(あるいは出家僧?)らのキャラクターが第2シリーズにも登場するのかどうかも注目されていたが、「送る夏」や「祇園さんが来はる夏」「燃える秋」「門出の桜」などにはヒースロー教授が登場した。和菓子屋の元おかみに扮した銀粉蝶が再登場した回もあった。

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