マガジンのカバー画像

<エンタメ批評家★阪 清和>ストレートプレイ劇評セレクション

154
阪 清和が発表したストレートプレイ演劇に関する劇評をまとめました。音楽劇を入れるかどうかはその都度作品ごとの内容を吟味して決定します。さあ、あなたも演劇の深遠な世界へ! ジャニー…
「不要不急」か「人生の宝物」か。そんな議論をしている暇があれば、演劇を観てください。日本の演劇はい…
¥777
運営しているクリエイター

#劇評

舞台中のすべての要素が走り続けている。野田秀樹が何度も追い掛け続けるのは答えが出…

 野田秀樹の戯曲はすべてのせりふや身体表現が互いに共鳴し合って、全体でひとつのメロディー…

300

劇団のスタイル決定づけたiakuの「流れんな」。広島弁での再演で登場人物たちの焦燥感…

 小劇場系の劇団が初めて自主公演のために書き下ろした作品は劇団にとって思い出深いものだが…

100

日本の選択をめぐる魂を削るような日々、重厚な会話劇に生き生きとしたリズム…★劇評…

 私たちは現在の時点から歴史を見ているから、何でも好きなことを言えるが、その歴史の時々に…

300

法律との向き合い方を強烈に描いたこの作品は、あらためて描かれた時代も書かれた時代…

 井上ひさしがそれ以前から強烈な関心をもっていたに違いない東京裁判。ミレニアムの2000…

300

福地桃子の演技や存在感は清新さにあふれ、千尋の魅力を再認識させてくれる…★劇評★…

 少女は夢見る間に成長する―。「忘却」という装置によって、夢も幻も架空かもしれない世界も…

300

チェーホフ劇のような人生の情感と悲哀漂う空間の中に上質な時間が流れる稀有な一作に…

 さらさらと毎日が流れていくようなさりげなさの中で個々の登場人物が抱えているものがそれな…

300

死に際しても創造への情熱を途絶えさせない寺山修司の意思の生命力をリスペクトやオマージュにあふれた脳内劇に展開。香取慎吾の刺激的な表現映える…★劇評★【舞台=テラヤマキャバレー(2024)】

 就職して東京で暮らし始めたころ、中央線の電車の車窓から毎日、阿佐ヶ谷の、ある大きな病院を眺めていた。そこには寺山修司が入院していた。やがて最期の場所となるその病院。私は演劇への興味はまだ人並みよりは多少強いという程度だったが、寺山が若者に向けて発するメッセージが好きだった。既に混沌としていたこの社会をどうやって歩いていけばいいのか。寺山が誘うのは突破口のような分かりやすい出口ではなく、むしろ迷路への入り口のような妖しいドアだったが、混乱を極めていた自分たちにはうってつけの扉

源孝志が縦横に張り巡らせた戯曲と蓬莱竜太の大胆な演出によって時を超えて結びついた…

 新聞記者時代に3年以上の長きにわたって毎月、蜷川幸雄さんにインタビューをさせてもらって…

300

英語と鹿児島弁が飛び交う中で字幕さえも重要な役割を果たす斬新な舞台。新たな傑作の…

 活動初期には劇団を主宰してきたこともあって「12人の優しい日本人」など群像劇を得意として…

250〜
割引あり

北村想の哲学的な世界観が草彅剛の包容力のある役者としての魅力とも相まっていっそう…

 北村想の書く戯曲は宇宙だ。さまざまな理(ことわり)で精緻に組み合わされた世界のようでい…

250〜
割引あり

老優役西川明の奥行きのある演技、数々の仕掛けが融合して、得も言えぬ心の震えを禁じ…

 俳優にとって、俳優であるということはどういうことなのか。演劇の真の意味とはなんなのか。…

150〜
割引あり

渡辺えりのたくらみに満ちた芸術的作為に繊細な演技で応える若き俳優ら、震えや叫び、…

 現代演劇の扉を開いたエポックメーキングな作品で、現代米文学の金字塔ともされる「ガラスの…

300

想像力によって、物語は大きくうねり、世界を変えかねないパワーを生み出している。村…

 村上春樹文学の中でも最大級の謎を秘め、その謎が次々とイメージのスパークを起こしていく最…

300

芝居や演技が愛すべきものであることを示すとともに、演劇がさまざまな思いの突破口、噴出口になることを示した力作…★劇評★【舞台=連鎖街のひとびと(2023)】

 いろんな災厄や災害があった時、もっとも早く再開される、あるいはその状況を受けて新たな作品が世に問われるのは演劇だ。新型コロナウイルスの時代には「不要不急」のものとして扱われることも多かった演劇だが、有史以前から、演じる者と観る者さえいれば、即成立するのが、演劇であることを考えれば、立ち上がる速さを演劇が持っていることは当然のことである。国家によって入植をあおられたあげく、いざ戦争に負けてみると国家からも占領軍からも徹底的に虚無的な存在として扱われた日本人たちにとって、災厄は

¥300