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【19歳のサッカー選手、ヘディング事故で引退】

【19歳のサッカー選手、ヘディング事故で引退】2021年2月23日 BBC SPORTより

英国の19歳プロサッカー選手、ヘディング後の症状により引退を余儀なくされました。今年7月練習のヘディングにより、小さなけいれん、視界の喪失、半身が痺れるなどの症状が出て病院へ。復帰後も再発しそのまま引退。

私が記事の中で、この19歳の青年に強く共感したのはこの部分です。

「今、僕の目的は他の人を助けることだ」

「もし、僕がより多くの人を、その暗い闇から救うことができるのなら、そして特定のことについて人々が意識してくれるなら、僕はハッピーになれるよ。」

「なにかアドバイスをするとしたら、全てのゲームを自分のラストゲームだと思ってプレイすることかな。僕は本当に不幸なことに、たった一晩で何もかも変わってしまってしまったからね」

自分自身はサッカーあきらめざるを得ないのに、自分と同じような怪我をする人を減らしたいという意志が、同じくヘディングが原因で硬膜下血腫を発症した当時9歳の息子の言葉とあまりにオーバラップしていて涙がこぼれ落ちました。

自分が子どもの頃、クルマに乗るときシートベルトをする人は少なかったし、親が飲み会へ車で行くことは当たり前だった。父がエアバッグのついたクルマを買ったのは僕が実家を出たあとだった。

今、世界中にある様々な安全装置や安全対策は、このような数々の犠牲者の上に成り立っている。

========記事(以下拙訳)===========

『ボビー・コッピング:19歳、元ピーターボローのディフェンダーがヘディングを行ったあと引退へ』

ボビー・コッピングは、今年の7月に行われたトレーニングゲームでいつものようにヘディングを行った。最終的に、小さなけいれん、視界の喪失、半身が痺れるなどの症状が出て、4日間入院することとなった。

ピーターボローユナイテッドのディフェンダーである彼は、これが一度だけの ”恐ろしい事故”であることを願った。

しかし復帰のゲームでまたもや同じことが起きた。トップチームへ向けての挑戦を開始したばかりの彼は、この怪我によりわずか19歳でそのキャリアを終えた。

「恐ろしいと思ったのは、どれほど早く症状が変化したかということ。なぜならそのときは絶好調だったし、とてもうまくプレイできていた、ベストになるために出来ることはなんでもやっていた。でもヘディングをして、そしてあっさり僕のキャリアは終わってしまったんだ。」彼はそうBBCに語った。

『まだ症状に苦しんでいる』

怪我が再発したあと、コッピングは専門医の診察を受け、外傷再発のきっかけとなる要因が見られるという診断を受けた。
彼のキャリアの中でこれまで一度も問題が起きたことはなかったし、8歳のときノーゥッチでサッカーを始めてからずっとヘディングをやってきた。

「いまでも毎日その症状が続いている」と彼は言う。

「記憶についても問題を抱えており、それは僕のような若者にはとても心配なことだ。しかし、時が経ち良くなることを願っている。今はひどい車酔いになってしまうので車の助手席に乗ることもできないし、ただの頭痛とはいえ一度始まると収まるまでは眠って治るのを待つしかない」

彼は投薬治療を試してみたが、飲むと完全に起き上がれなくなってしまう。「その薬は僕を完全にノックアウトする上に、本当に動けなくなってしまうんだ」と彼は言います。その他の薬もあることはあるのだが、別の薬は長期的に彼の健康にダメージを与えてしまう。

「そんなわけで、長期に渡って自分の健康と臓器へダメージを与えることは避けたくて、皆で考えた結果、引退するのが最善の判断だという結論に至ったんだ」と彼は言いました。

ピーターボローユナイテッドは、コッピング選手をサポートし続けており、ビジネスオペレーションの中で、彼がピッチの外で出来る役割を与えました。クラブで10代の選手たちをAFC ウィンブルドンとの戦いで勝利に導いたダレン・ファーガソン監督は、そのプロセスの全てで彼の家族と連絡を取り続けています。

コッピングは、クラブで働くことによって怪我のこと深く思い悩むことをしなくなった。
「やっぱり2週間くらいは毎日毎日、一日中暗い部屋に座ったまま、誰とも話さず、味のしないごはんを食べて、一日中怪我について考えていた。」「だから、次のことへまっすぐ入っていけて良かったし、今はそれを楽しんでいるよ」

「しばらくは本当に怖い状況だった。それは自分にとってだけではなく、家族全体にとっても。なぜなら僕はいつもインタビューに答えるとき、僕がここまでくるために彼らがどれほど自分に投資してくれたかを話していたからね」

『もし8歳からボールをヘディングしなかったら、それは怪我を防ぐ助けになるだろう』

近年、サッカーにおける頭部外傷と認知症の関係について懸念がひろがっており、プロサッカーでは脳震盪を起こした場合の特別交代選手枠が導入された。疑いが確定されているわけではないが、もしヘディングがコッピング選手を引退に追い込んだとしたら、彼はこれが正しい方向へ向かうステップだと信じている。

「脳は君たちの未来であり、サッカーは人生においてとっても小さなことだ」と彼は言った。

「僕は自分に起きたことを見て、これらのことはより深く調査される必要があるし、もっと深刻に受け止められるべきだと思っている - ある日、全てが変わったんだ。だから、もしこれら事故を防ぐために何かもっと出来ることがあれば素晴らしいことだ」

「僕はこれがヘディングによって直接起きたことなのか、何かしら他のことで突然起きたことなのかもわからない。だけど、この出来事を良く見つめて、もし8歳のときからヘディングを行わなければ事故は起きなかったかもしれない、というふうに考えて欲しいし、それがおそらく怪我を防ぐことにつながるだろう」

彼はサッカー界から素晴らしいサポートを受け取っている。同じように、アフリカ、ブラジル、そしてスペインからメッセージが届いた。イングランドのキャプテン、そしてトットナムのストライカーであるハリー・ケーンはすぐ反応し彼にTシャツを送った。チェルシーとイングランドのプレイヤーであるリース・ジェームスは、このパンデミックが終わったらロンドンで一緒に食事をしようと誘っている。

コッピングは言う。「今、僕の目的は他の人を助けることだ」

「それがサッカーにおける頭部外傷に対する意識を高めることであろうが、他のスポーツであろうが、メンタルヘルスに対する意識を高めることであってもいい。なぜなら僕は、ある時、あることが起きたあと、その全てを通り抜けるのはとても難しいことだと知っているから。」

「もし、僕がより多くの人を、その暗い闇から救うことができるのなら、そして特定のことについて人々が意識してくれるようになったら、僕はハッピーになれるよ。」
「なにかアドバイスをするとしたら、全てのゲームを自分のラストゲームだと思ってプレイすることかな。僕は本当に不幸なことに、たった一晩で何もかも変わってしまってしまったからね」


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