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2020年3月の記事一覧

選別

私を縛り付けるための
言葉は要らない
どんな枕詞を付けたって
バレているんだよ
その棘と毒

「お前はお前でいてはならない」
そんな言葉が書かれたお守りや
おみくじはもう燃やしてしまう
神主さんはわかってくれたよ
「こういうことする人よくいますよね」

私を殺すための
腕はもう要らない
どんな言い訳をしたって
傷つけるために振り上げたくせに

私も誰かを殺したかった
私も誰かを支配したかった
私を

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隠れ家

“生きていることが不本意だ”
そんな想いを抱えたままで
へらりへらりとかわそうとしていた
我慢なら得意だからと
やり過ごすことにばかり集中していたら
ちっとも愛していないことが
冷たい手でバレてしまった

布団の中でこっそりハムスターを飼うには
驚くほど多くのものが必要だった

暴かれ侵されることにうんざりしたから
海の底に隠れることに決めたんだ
深海魚は暗闇と友達になった
カラフルな羽根も歌もも

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もう一度

最後に見たいもの
聞きたいものは
新しいものじゃないだろう

もう一度
あの言葉を
あの景色を
あの人をと
記憶を確かめてから
終わりたくなる

聞いたことがない
耳慣れていない言葉は空虚
でも毎日繰り返したそれなら
それが最上のものなら
抱いて旅立つに相応しい

ご馳走を毎日食べるのは贅沢?
それはご馳走の定義に依るよ

君の声で満ちていた毎日
その終わりにさよならより
いつも通り小さな声で囁い

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変化

少し先にいる人にとっては
「面白くなってきた」で
周りにいる人にとっては
「つまらなくなってきた」
とまあそうなるだろう

人にとってはどうでもいいことが
いかに自分にとって大切か
確かめて気づく
自分の気持ちに

「自分のことばかり」っておかしいね
それは強制のための詭弁
人を助けたり優しくするのは
「その方がいい」と気付くから
そうじゃない世界では誰も
絆なんか信じない

刃物を向けられながら

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まどろみ

まだ少し足りないのです
一体どれだけ眠るのかと問い詰められても
眠れるだけ眠っていたいのです

私を追い掛ける全てを振り切るまで
あの人の命の炎が消えてしまうまで
私はじっと息を潜めて
その日を心待ちにしているのです

黒い服に袖を通しておきましょう
色を間違えてはいけないわ
純粋なあなたには白がいいでしょう
自分はシロだと言い張ったことですし

正しさを言い訳にする人ほど
手が血まみれなことに幼

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