編集時代

某大手出版社。
本社から少し離れたビルの一室にコミック部門はあった。

薄暗くて静かな作業スペース。
部屋に居るのはベテランの中年男女。

集中して漫画の吹き出しのチェックをしていると、
お局が電話をとった。

「水木先生…」

電話の相手は生前の水木しげるさんだ。


当時、私は大学をかろうじて卒業したものの
就職はせずにアルバイト生活をしていた。

悪友と飲み歩いていた新宿のゴールデン街で
漫画編集のフリーランスの人たちと知り合い、
その縁で漫画雑誌の校正のアルバイトを始めた。

初日、校正作業を教えてくれる人と
駅で待ち合わせていたのだが遅刻。
当然首でした。(泣)

その後も作品の原稿取り、漫画家さんの手伝い、
雑誌の仕事など、単発の案件をもらいながら渡り歩いていた。
しかしどれも不安定で続かない。

水木先生といえば「ゲゲゲの鬼太郎」。
卒業してもまともに社会に出れない私の生活は、朝は寝床でグーグーグー 学校も 試験も 会社も 仕事も なんにもないまさに妖怪の世界であった。


先週ふと、いつ水木先生がこの世を去られた日を検索してみた。

2015年11月30日。

不思議なことに調べた日がちょうど命日。
水木先生は「この世は地獄だ」とおしゃっている。
地獄に生きているのだと。(かもね。。。)

今はウィルスが妖怪だ。いや、ウィルスを使って人を支配する製薬会社、政治家、マスコミ。。。彼らが妖怪だ。

あるものを無いと言ったり、
無いものをあると信じ込ませたり。。。

私はある意味純粋な妖怪より彼らの方に恐怖を感じる。

水木先生なら今の状況をどう漫画に落とし込むのだろう。。。

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