見出し画像

~『金木犀薫り立つ深大寺で    逢瀬の紅引く女(ひと)』~

~『金木犀薫り立つ深大寺で
    逢瀬の紅引く女(ひと)』~

■薫り立つ金木犀の山門で
  逢瀬の紅引く深大寺の女(ひと)

東京・調布の古刹・深大寺は、

クルマで10分ほどで小京都を

想わせる情緒のあるところ。

秋も深まり、いま、金木犀が芳しい薫りを

漂わせてくれている。

そして、深大寺は何と云っても

「深大寺蕎麦」を食べない

訳にはいかない。

この蕎麦は文豪・松本清張がこよなく

愛した蕎麦である。

山門前の老舗の蕎麦屋の2階で

「砂の器」の執筆をした

ところであり、

いまなお、清張のサイン入りの色紙が

飾られているから

文学ファンには堪らないであろう。

晴れた日の午後に

金木犀の薫りに誘われて深大寺に出かけた。

その山門にひとりたたずむ大島紬を

召した四十路の女性が、

後れ毛を掻き揚げながら、真っ赤な

ルージュを引いている

姿を見た・・・・・・・・。

その憂いを帯びた虚ろな目は、

これから、どんな逢瀬が

待ち受けているのか、

いやはや、逢瀬の後なのかは

解からないが、

金木犀の薫りとともに、

わたしの脳裏にしばしの印象を

刻んだのであった・・・。

深大寺には、ひとり立つ女性が似合う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?