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#28 織部の緑って何色あんねん?

 織部って古田織部の「織部好み」が始まりだったって書きました。今は銅の緑色の釉薬を織部釉と呼んでいます。

 「白って200色あんねん」はアンミカさんの発言ですが、色というものの奥深さを言い表した見事な一言だと思います。
 織部好みを代表するこの緑の釉薬、織部釉ですが、じゃあみんな同じ緑かと言えば作り手によって違って同じではありません。
 不透明な重い緑だったり、明るい緑だったり、流れで濃淡が出やすかったり、表面もつやつやだったりマットだったり、厚く施釉されていたり薄かったり……。また、釉薬屋さん(そういうお仕事ももちろんあります)に織部が欲しいと聞くと「○○みたいな感じのでいい?」と確認されり。作り手が存在するだけ織部の色があると言ってもいい。

 それぞれが理想と思う織部を探して工夫しています。その人の作る器の形によっても違った印象になったりもするので(釉の掛け方とかも変えていたり)もう織部の色は緑であっても同じ緑はないんじゃないか。
 器全体に織部釉を施す総織部。さらにそこに組み合わされる鉄絵の文様など他の技法に組み合わされると……織部表現はもう無限です。

 作り手によって向かう方向は様々です。織部さんが目指した織部好みの陶器(桃山の古陶器)の再現を目指すというのもあります。また、現代の自らの器を織部で製作というのももちろんあります。いずれにしても自由な織部の精神は現代の作り手にも受け継がれているように思います。
 作り手が自分の織部を目指すように、使う人も自分の理想の織部を探すのも器の楽しみ方のひとつです。あなた好みの「織部」はどんな織部ですか?

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