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ラクガキ集を製作しています

Twitterでもちょいちょい云っているのですが過去のノートをまとめたラクガキ集を絶賛製作中です
毎日コツコツとスキャン→画像補正の編集作業を始めて早3ヶ月、600ページを超えてしまったのでそれはそれは大変なことに…

思えば大学生の、子どもの頃から無印良品のノートに作品の構想を練ったエスキース、そのとき感じた想いや詩のようなものを書き溜めていました

そのきっかけは今はなき東京は二子玉川にあった「Lasah」というお茶屋さんのギャラリースペースで初めて個展を開催するときのことでした

月ごとに色色な作家さんの展示があり、私の2ヶ月前、4月に展示されていた日下田さんという方が展示スペースに1冊のノートを置いていたんです

そのノートには作品の構成案からドローイングやら色んなものが描かれていて彼の作品に対する考え方みたいなものがとてもよく分かって、それを見たあとに作品を見るとまた違った捉え方ができて面白かったんです
なによりすごく格好良かった!

「2ヶ月後の展示で私もコレをやってみたい!」
そう思ってすぐさま同じノートを買い、6月の個展では私もノートをこっそり展示スペースに置いておきました

日下田さんがやっていたことを丸パク…参考にしてこうして私のドローイング張の歴史は2011年の4月から始まったわけですね


ノートは今と変わらずボールペンで描いています
2011年の時点では油絵科の美大生だったので、作品は主に油彩、それと当時覚え始めて楽しかったphotoshopによるデジタル作品が中心でした

なぜノートにペンで描いていたかというと
…格好良いことを云いたかったんですが、私手汗がすごいんです
緊張するとめちゃくちゃ濡れてしまって、美大の受験時、鉛筆デッサンと油彩が主な実技試験なのだけれど鉛筆デッサンのときなんか鉛筆を持つ手の下に一枚紙を敷かないと画用紙がヨレヨレになってしまうくらいそれはそれはひどいものなのです…

ノートに描くときも鉛筆やシャーペンだと滲んでしまう…それを解決するために予備校時代からノートはずっとペンで描いていました(格好良い理由じゃなくて恥ずかしい)でもそれが功を奏してか今のペン画に繋がっているわけです


個展にそのノートを置いておくんだけどみんなの反応が面白いです、なんだろうな〜
作品にはできないような殴り描きや限界の状況で書いた言葉、作品にしようと思っていない力の抜けた世界線で描いた内容なのである種のむきだしの私が直で伝わるんですかね

だからノートを見て笑っていたり、苦い表情で眺めていたり、一番驚きなのは泣いている人が結構いるんです
こちら側としては「いったい何が…?」って感じなんだけど、製本作業に取り掛かって、改めてノートを見返してみて私も泣きました(笑)


それと私自身も思うけれど、よくこんな公開処刑みたいなノートの内容を世間様に公開できるな…と自分で自分が恥ずかしくなる想いもあります

でも先ほど書いたLasah@二子玉川のお茶屋さんの伝説の店主と初対面したときこういったやり取りがありました

私が絵描きだと伝えると
「ふーん、君絵描きなんだ。じゃあ絵見せて?」
「いいですけど…このページ以外絶対見ないでくださいね」と云ってノートを渡し、
「分かった」と云うと同時に、彼は私のノートを強奪し絶対人には見せたくなかったページを見られ、しかもなんならそこに書かれた詩の内容をお店のみんなに聴こえるように朗読し始めたんです

「『死にたい』『もう生きていたくない』『消えてしまいたい』etc…へ~君って普段こんなこと思ってるんだ」

顔から火が出るという言葉はこの日のために用意されていたんじゃないか…むしろこの状況が辛すぎて今死にたいんだが…
でも店主は続けて云ったんです

「良いじゃん、最初に俺に見せてくれた無難な絵より君が書き殴った文字の方がよっぽどエネルギーがある。藝術っていうのはね、人前で全裸になって四つん這いになってアナルを晒け出すことなんだよ。君が見せたくないと思って隠しているものほど案外人が見たいものなのかもしれない、まぁこの例は極端だけど。晒け出しなよ。『ほ、本当は気付いて欲しいんだどなぁ(チラ見せ)』ってことほど寒いことはないからね」


まぁその店主が後に私の人生の師匠に(勝手に)なるワケですが、そこで決意は固まったと思います
人に快かろうが不快だろうが、意識的だろうが無意識だろうが私が感じたもの、発したいものを悪い意味で隠そうとしてしまうフィルターはこのことがきっかけでどこかへ消えた気がします
それが良い方向に傾いたこともあったし、ときには暴走して失敗したこともあったけれど(笑)

自分が生きてきて感じたことを作品にして誰かに見られることに対する恐怖心はなくなりました
特に私は生きてきた人生観のようなものが無意識に作品に滲み出てしまうので


そんなワケで私という生き物が丸出しになっているノートの編集作業、現時点で更に増えて640Pというものすごいボリュームになってしまいました…(笑)内容もなかなかに濃く、スキャン作業が半分くらいに差し掛かったところで「これはもしかしてとんでもなものが出来上がってしまうんじゃ…!?」と今まで作ったことのない未知の作品ができそうで私自身も楽しみです(流石に多すぎるから2冊に分けて製本する予定)

そして製本作業、とっても楽しいです
こうして過去の自分と向き合う機会もなかなかなかったので(だから多分この文章も書いてるんだな、と)

作品集のような、日記のような、遺書のような、ラブレターのような本になりそうです
どうか楽しみにしてくれたらうれしいです


2023/02/25 ホリウチヒロミ

2011年6月 初個展(RE)BIRTHDAY@Lasahにて

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