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犬 (30words / kud_lab)

30Wordsとは

これは学部時代、卒業設計に伴って気になるワードについて考えるという研究室の活動の一つである。興味のある30のWordについてそれぞれ1000文字で述べるといったものである。色々なことがあって完結しなかったこの30Wordsをせっかくなのでこのnote載せていくことでこれまで考えてきたことをまとめていければと思う。当時書いたものに少し意見や当時以降の経験を加えながら記していくので、重複している点や状況が少し現在とは異なる点がもしかしたらあるかもしれないが、その時はコメントやらTwitterやらなんやらから連絡をくれたらうれしい。これがきっかけで話が広がっていくことは本望である。

犬(topic)

一番初めのトピックは「犬」だ。何故このトピックが一番に来たかというと、卒業設計のテーマが犬と猫であったからだ。これは自分が犬を飼っており、これまでにも様々な問題があったからに起因する。

1. 人間の手で翻弄されているペット

現在世界には非公認犬種を含めて700~800の犬種があるといわれている。また犬種は10のグループに分類されている。1つの動物でこれほどの品種が多いものはない。犬の品種のほとんどが人間によってつくり出されたものである。人間の要望の為に品種改良されている犬は、病弱に生まれたり、短頭種のように呼吸器症状を起こすことが多く、病気にかかりやすかったりする。人間の欲望が新しい命に対して悪影響を及ぼしていることは間違いない。そんな中、問題は様々にある。年々減ってはきているものの、年間55998匹(H28年度環境省HPより)の犬猫が殺処分されている。処分機に無理やり入れられ、炭酸ガスによってもがき苦しみながら5分ほどすると倒れていく。最近では麻酔薬注射の安楽死で処分するところもある。老いたから、飽きたからという理由で手放す人も多い。何故、罪のない動物達が人間の勝手な理由で殺されなければならないのだろうか。また、殺処分も問題ではあるが、ペットショップでのペット販売の在り方についても問題であると思う。子犬は生後1ヶ月ごろから離乳を始め、40~50日で離乳が終わる。よって、2ヶ月を過ぎると親から離せる状態になる。にも関わらず、幼い時の方が売れるからといって生まれて2か月も経たない間に売りに出される子犬。ガラス張りのゲージに閉じ込められたまま過ごす動物たち。本当にそれが正しいのだろうか。そのまま誰にも購入されなければ売れ残りとなり、処分されてしまう子もいる。生まれてから外を走り回ったり様々なものを感じたりすることなく殺されてしまうこともあるだろう。日本はペット大国となっているが、そのような見えない部分に対して、関心を持っている人はあまりいないのではないだろうか。

2. 保健所にいる犬

私は昨年実際に東京都のメインである世田谷の保健所を訪れた。そこには数は多くはないが多くが柴犬のような種の成犬(雑種だった記憶があるが曖昧である)が保護されていた。この現状は1年前のことなので今は状況が異なるかもしれない。室内であるが、コンクリートの床、牢獄のような檻に入れられた犬たち。保護されて引き取り手が見つからないこのワンちゃんたちの中には、気性が荒く近づくと噛みついてしまうもの、心臓にフィラリア(蚊に刺されることによって犬の体に住み着いてしまう寄生虫)がいるために激しい運動をしたり興奮したりしてしまうと命にかかわってしまう状態にあるものがいた。晴れている日は時間を決めて外にでることもできるそうだが、外の檻も駐車場の一角にある小さなスペースのため、体調に問題のない犬であっても自由に走りまわることはできない。お散歩も毎日してもらえるわけではない。この状況に対して、貰い手が見つからないにしてももう少し犬にとって快適な暮らしができるような工夫はできないものか?とスタッフの方に尋ねたところ、保健所はみんなの税金で賄われているので最低限のことしかできないという回答をもらった。それはそうだ。税金だもの。しかし犬を飼おうとしたのだって人間だ。保護したのだって人間だ。犬からしたら、人間に勝手にこんな状況を作られてしまっているのだ。望んでもいないかもしれないのに。

3. 海外と日本の対応の違い

ドイツでは、法律で犬税が課せられたり、ペットショップが禁止であったりと動物保護法がしっかりと定められている。しかし、日本ではしっかりと定められておらず未だ問題が多くある。このような動物に対しての意識はドイツだけでなく、ヨーロッパ全体で広がっている。実際にパリやスペインを訪れた時に、犬がゲージなどに入れられることなく普通に電車に乗っていたり、散歩の時にリードをしていなかったりと、犬への対応が日本とでは全く異なると思った。日本ではまだ、動物を物としてとらえている風潮が強く残っているように思う。今や、家畜としてではなく家族の一員としてとらえられている犬などのペットとされる動物。飼うのであればもっと責任をもって飼う必要があるだろう。そのためにも、法や様々なルールなどを改めて考え直す必要があるのではないだろうか。

4. ペットショップのない世界

これらの話を踏まえ、将来的にペットショップのない世界が作れるのが理想なのではないかというのが私の考えである。特にペットが欲しいと思っている人には、ペットは購入する物ではない、人間のアクセサリーではないということをしっかりと頭に入れておいてほしい。ガラスケースに飾られているペットたちは買い手がいなくなれば保健所行きと考えていい。もしペットショップが倒産したら、現在のコロナで多くのお店が休業している現実から考えてもいい。建物が封鎖されてしまって、一時的であっても多くのペットの引き取り手がいない状況が生まれてしまったら…。何匹のペットが犠牲になるのだろうか?今個人にできることはペットショップから購入するのではなく、保護されたペットを引き取るということをなのではないだろうか。

Reference

・動物と暮らす住まい / 岩下繁昭 / 彰国社
・お家に、帰ろう 殺処分ゼロへの願い / 尾崎たまき / 株式会社自由国民社
・WEDGE Infinity 売れ残りペットはどこへ行く?
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/1582?page=2
・東洋経済ONLINE
https://toyokeizai.net/articles/-/204331?page=3
・ORICON NEWS 殺処分のない「ペット天国」ドイツ、「犬税」にみる犬と社会のよりよい関係
https://www.oricon.co.jp/article/378468/

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