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Right, there is nothing …… 004

_ゴムの味

 ボローニャにいるマイフェイバリットアーティストのYさんが一時帰国した際に持ってきてくれたお菓子。これは経由地のノルウェーで購入したらしいのだけど、プレゼントしてくれたわりには食べてよとあまりすすめないので妙だなと思った。

 「APOTEKS SALMIAK Haganol」という代物。Yさんいわく、ゴムみたいな味がする、と。それを聞いて、じゃあ、うまいにちがいない、と信じ、口にほうり込んだ。

 む、ちょっと無理、食べられなかった。ゴムみたい、というか、ゴムだよ。

 一緒にいたSさんも食べてみたが、「タイヤ!」だった。

 しばらくしてAさんが登場。テーブル上の黒い小さな粒をひと目見るなり、「あ、それ知ってる、昔よく食べた」とのこと。ほんとに?

 ぱっと口に入れて真顔で噛んでるではないか。Yさんと私は、おぞましいリアクションを期待しながら、それを眺めていたら、彼女は笑いながら「ああ、これこれ」といい、しかも、こちらに笑いかけてくるではないか。やせがまんしなくていいよ。口の中が真っ黒になってお歯黒みたいだよ。

「ゴムの味がしない?」と私。なんだか複雑そうなYさん。

 けっきょく、その「APOTEKS SALMIAK Haganol」は、Aさんがたいへんお世話になっているスウェーデン人の先生にプレゼントするからほしいと持って帰った。

 後日、先生どうだった、と尋ねると、スウェーデンのものはまた少し味がちがうのだと言っていたらしい。でも、喜んでもらえたという。ずっと日本暮らしが長い方なのでなつかしんでいただけたとか。どうしても私にはファンベルトを小さく切り刻んだものとしか思えないのだけど。

 でも、まあ、なぜ、みんなゴムの味を知ってるんだろうね。

2009年5月13日 セサミスペース M (Twitter


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