No.41 息子入園 おちえないで

下の子、息子がいよいよ入園という前の年、幼稚園選びに悩んだ。
上の娘はモンテッソーリ幼稚園でよかった。
でもこの宇宙人、ではなくて息子はモンテッソーリどうよ? という感じ…
外で遊ぶ時間が多い元気な感じの園がいいのか、
上の娘のように、どらかというと室内でのモンテッソーリの「お仕事」が
重視されている静か系か。
いくつかの園を見学させてもらったが、いまひとつピンとくるところがなかった。
そして当時娘の通っていたモンテッソーリ幼稚園の園長先生に相談をした。
2年半、娘の幼稚園送迎を一緒にしていた息子のことを園長先生も知っていて、元気な宇宙人、ではなくて、男の子なのを知っていた。
「うちはどんなお子さんでも大丈夫ですからね」とおっしゃったその言葉で
娘と同じ幼稚園に決めた。

入園後は4日間の準備保育があった。
園児が2人ずつ、1日2時間くらい、4日間に渡り基本的なあれこれを担任の先生から教わる。
登園後の着替えの場所や、そのやり方。
教室内の自分のロッカーの場所や、それぞれの使い方、片付け方。
など、もりだくさん。

息子は少し緊張しながら初登園をし、準備保育が始まった。

先生がつききりで丁寧に指導をして下さる。

「おちえないで」(教えないでと言っている)
「おちえないで……」
「おちえないでって言ってるでちょ!」
「おちえないでっ!」
「何も言わないでぇぇぇぇっっっ!」とか。
何かにつけそんな感じ。

絵の具を使う時に、先生が
「じゃあ息子くん。
  パレットに青色の絵の具を出してみましょうか」と静かに言うと
「きいろがいい」
「青ですよ」
「きいろがいい」
先生、静かに首をふり
「青を出しましょうね」
「きいろ」
と黄色の絵の具の上に手を置いて取り出そうとする。
先生がすかさず息子の手の上にしずかに自分の手を重ねて首をふる。
ふたり見つめ(にらみ)あう。
………………沈黙の時間………………

お、面白い……

その間、もう一人の女の子とそのお母さんは、
黙って二人のやりとりを見ていた。

申し訳ありません……

結局先生が折れて、息子は嬉々として大好な黄色の絵の具で画用紙に絵を描いた。

3才児手強い……

3日目の登園後は玄関の中で靴も脱がず、
カバンも横掛けしたままドアに張り付いて
「帰る」の一点張りで1時間。
頑固なのは知っていたけれど、あそこまで頑固者だとは。

その割に凹みやすく、一度先生に少しきつめに注意をされた時は
いつもの様に背中に哀愁を漂わせながらトボトボと隅の方へ歩いて行き、
どどーんと落ち込む

面白い……

初めてのことだから仕方がないけれど。

それにしても先生はさすがだった。
2日目にはその辺りを見抜いていて、
「注意をする時はしますけれど、
息子くんは元気ですが内面が繊細と言うか、
その後にしっかりフォローをしてあげないと、
傷つきやすいですから……」だって。
本当、頭が下がりました。

今日も幸せな一日でありますように。

Love & Peace,

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