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No.46 あとでガクッときた

今思うと、この時はじめてウツになったのだと思う。
父は突然亡くなったから、その出来事は私だけでなく、
家族の誰にとってもショックだったと思う。
でも、私の実家の家族はあまり感情を出さない人たちで、
その中でも母は特にガマンする人だ。喜怒哀楽を抑える。
父が亡くなったことだって、かなり大きな出来事なのに抑えていた。
ひとりになった時に、ちゃんと泣いていたのかな。
そんな母のことが気がかりで、葬儀後、しばらく週末に実家に通うことにした。家の片付けということで。
父が突然いなくなってしまった悲しみは私も大きかった。
でも自分のことはあとでなんとかケアできると思っていた。まずは母だ。
悲しい、淋しいと、泣いたり嘆いたりしない。
でも、やはりいつもの母ではなかった。
変わらずに振舞っていたけれど、元気がなかった。
外にもでない。何もする気にならないのだなあ。そんな風に感じた。
私のいない平日はどうやって過ごしているのだろうか。
電話をかけて、なるべく母が孤独にならないように気を付けた。

通いはじめて二カ月目くらいだったか、母と二人で夕食に鍋を食べたあとで
私はイスに腰かけて、台所で食事の片付けをする母と話していた。
母が食器を洗い終えても、私たちは何でもないことを話し続けていた。
そしたら母が、話しながら掃除を始めて、それもかなり大がかりな拭き掃除を。その時に変化を感じた。
母はまた動き始めた。
翌週、再び実家を訪ねると母は留守だった。
義妹が来ていて「お母さんはお友達とランチに行きましたよ」
と教えてくれた。
友人とランチに行ったのか。
母はもう大丈夫かな。
帰宅した母は、以前の輪郭を取り戻していた。

一泊して帰る時
「もう大丈夫よ。長い間ありがとうね。あなたも自分の生活に戻りなさい」
私の実家通いはそこで終了した。

私はというと帰宅後パタリと動けなくなった。
体が重い。頭が重い。気持ちが沈む。
これは疲れがでたかな。
けれども、疲れどころかその後三ヶ月起きあがれなかった。
自分のこと、後回しにしたからだ。
そう思った。
「自分のことはあとでなんとかケアできる」
なんて甘かった……
今思うと、あれはウツの症状だった。
どうしてこんなに全てが重いんだろう。
そう思いながら過ごした。
ウツだなんて考えもしなかったし、どういうものかも知らなかった。
でもあの時は長引かず、何とか回復できたんだよね。

今日も幸せな一日でありますように。

Love & Peace,

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