Starring

生きているうちに
己の価値がバレなくても

たとえば
それに魅力を感じたり
興味本位の奴が
『ボクの物語に出演して?』
と頼んだって
そのオファーを
僕が断ったとしても

僕の体が
素粒子に分解されて
ケムリになっていくのを
君が一番そばで眺めていても
あなたの愛情よりも近くにいても

別に
今から神様に
手紙を書く必要はないから
全く信じちゃいないような
死についての論文で
僕は認められても
そんなの関係ないって
言いたかった
あの日の自分を
裏切るように

君の傷も
僕の傷も
ホントのことではなかったと
今さらのはなしを
誰かさんは
神父のような
偉そうな顔して
僕に言うけれど

他人に
裏切られたと思った過去を
醜いと感じて
何が悪い?
そんなことまで
赦せるのなら

僕は
たったひとりで
この世界の色を
たった今
塗り替えてしまう

明るい色に
そして、暗い色に
上から
さらに上から
同じ色に
塗りつぶしてしまうから
高級なアクリル絵の具と絵筆
48色の水彩色鉛筆
世界中の画材屋
走り回って
この時間から
探してきてください

僕がいなくなる前に
可愛い顔から
可愛い顔に戻るまでに

まだ
残り時間があるのなら
僕は
君のこと
忘れたりはしないと
ここに誓いますから

僕の傷を
ピックで砕かれた
ロックアイスのように
美味しそうに
舐めてくれた
猫たちには
感謝しています
とても

次の作品
この映画の主演は
誰にする?
君の意見もたまには
聞いておこうと思って

ここまでの
話の流れからすると
やっぱり
猫でいいんじゃない?

特に今回は
シリアスな内容だから
あの黒猫さんにしよう
なるべくなら
この役は
生活感がない役者がいい
カノジョ、演技力凄いから
名作になるよ、きっと

これで
大ヒット&ロングランは
間違いなしだ

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