It’s a small world.

君がクラスの教室
席替えをする前の席に
机のウエに置いて帰った
置き忘れたように置いた

ホントは
今もこうして
おぼえている
『ちいさな』記憶に

ボクは
お弁当の白いごはんに
たまごの入っていない
ノリタマじゃない
ノーブランドのタダのフリカケ

チョコっと
遅めの昼休み
窓から入る風に気をつけて
丁寧に、正確に
全体のバランス気にしながら
さっき、振りかけたように

君が隣りの席で
横顔のまま
食べたやきそばパンは
1階の売店の
一番人気の商品で

授業の終わりを告げる
チャイムが鳴ったと同時に
誰よりも早いタイミング
君がだせる最高の速度で
自発的に迎えにいかないと
スグに、秒で売り切れてしまう

逃げたくなる
ような現実感と
真っ直ぐな視線と
真剣な眼差しで
ホントの欲求と向き合いながら

それから
約5分後の世界

教室に戻ってきた
君の表情
安堵の溜息を
隣りに感じて

ボクは
フリカケのごはん
食べてたけれど

その記憶
リアル感が
淡く、遠くなるくらいに

耳を澄まして
目は、黒かった瞳は
窓ガラスに
反射する太陽の光

まるで
真夏の眩しい日差しに
精一杯に反抗するように

ガラスに映った
君の横顔
やきそばパンを
頬張るその顔
君には
気づかれないように

絶対というコトバ
魔法が通用しない
親父ギャグみたいな世界

現実なんかよりも
モット美しい
可愛い君の横顔を
ボクの
ヒトリジメにしたくて

いつまでも、永遠に
ずっと、幸せな表情のまま

ボクは、君を
すぐ隣り
一番傍、50㌢右側から

遠くて、高い
窓ガラスのなかに在る

『ちいさな』
ミクロで、リトルな世界

アオゾラと同じ
一緒の
同系色の碧
ソライロにして

瞳の一番奥を
その色に
別のもう一つの
スキな色に塗り替えて

君の横顔と
やきそばパンだけを
素敵な記憶に
照らし合わせるようにして

ボクは
経った今も
同じ顔のまま
窓の外に広がる世界を
楽しそうに
飽きもしないで眺めてた

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