籠目、KAGOME

他人の作品のように
自分の書いた詩を読むと
なにもなかったはずの
僕側の感覚に寄り添うようにして
全く新しい
自分の発想が浮かびあがる
その発想を
次回作にもつなげていく
そのくりかえしの作業は
僕の感覚を塗り替えては
別の奇人となって
好きな漫画のキャラクターみたいな
セリフ回しで旧くなった僕を
柔らかく諭していく
それを楽しみだと感じるのだから
詩作をやめることなんて
今は未だ
考える必要がないと
僕は
その奇人と向かいあわせの席に座り
KAGOMEのトマトジュースを飲んでいる
普段なら絶対にしないような
小さな声で乾杯をした

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