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◇コラム【新・食べ物通信22】春菊

風邪・ストレスに打ち勝つ免疫力を
手に入れましょう!!

風邪薬になるほど優れた野菜

 皆さんは、春菊がお好きでしょうか。独特のさわやかな香りを持ち、鍋の具材や和えもの、サラダなど、様々な料理に広く活用されています。関西では菊菜と呼ばれることもあります。通常は秋に花を咲かせる菊に対し、春に花を咲かせることからこの名が付きました。

 地中海沿岸のギリシャ、トルコが原産と言われており、古くから観賞用として栽培されていました。東アジアから中国へ伝わり、当初、乾燥させたものを風邪薬として用いていましたが、食用として品種改良されました。日本へは、支那(現・中国)から室町時代に伝わりました。江戸時代から主に西日本で盛んに栽培され、関東では昭和20年以降、栽培されるようになりました。

 春菊は日本をはじめとする東アジアでは野菜として使用されていますが、ヨーロッパなど海外では独特の香りや苦味が好まれず、主に観賞用とされています。それでも最近は日本食の普及により、少しずつ食用として利用されるようになってきました。

好きな食べ方を見つけて

 春菊は非常に栄養価の高い緑黄色野菜です。カロテン、ビタミンB群、ビタミンC、カルシウムや鉄などのミネラル類が豊富に含まれています。

 カロテンは優れた抗酸化力を持ち、身体を錆び付かせないようにする栄養素です。体内に入ると必要な分量だけビタミンAに変換され、活性酸素を抑える働きをしています。動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病、ガンの予防に効果があります。

 また皮膚や粘膜の状態を正常に保つ、視力を維持するなど目の健康にも大切な役割を持っています。カロテンは油を使用した料理や、たんぱく質と共に食べると相性が良く、吸収率が高まります。

 鉄分の含有量も多く、貧血予防に効果があります。植物に含まれる非ヘム鉄は、動物性のものと比べて吸収しづらく、体内へ吸収するためにビタミンCを必要とします。春菊にはビタミンCも豊富に含まれるので一石二鳥です。

 一方、鉄を吸収しづらくする要因としてタンニン(コーヒー、紅茶)やフィチン酸(穀物の外皮、玄米)などが挙げられます。食事中の飲み物は、タンニンを含まない麦茶や水などを選ぶようにしましょう。紅茶を飲みたい場合、食事から2~3時間ほど経過してからが良いと言われています。

 カルシウムは、骨や歯の形成に必須のミネラルです。人間の体を構成するミネラルの中でも最も多く存在しています。

 血液中のカルシウムは神経伝達にも関与しているため、濃度が下がると興奮・イライラしやすくなります。乳製品やビタミンD(キノコ、鶏卵など)は吸収率を上げる効果があります。マグネシウム(ナッツ類など)はカルシウムの働きを助ける重要な役割を持っています。ぜひ一緒に取り入れましょう。

加熱はさっと済ませること

 独特の香りはα─ペネン、ペリルアルデヒドなどの成分で構成されています。

 α─ペネンはミョウガにも含まれる成分で、さわやかな香りを持つことが特徴です。自律神経に作用するためストレスの軽減に役立ちます。

 ぺリルアルデヒドは強い抗菌作用があることから食中毒の予防、消化酵素の分泌を促して食欲を促進させる、胃を保護して胃腸の働きを高めるなどの効果があります。

 選ぶ際は葉が濃い緑色をしており、葉先がピンとしているもの、みずみずしく香りの強いものが新鮮です。茎が短く細めのもの、切り口が新鮮なものが柔らかく美味しいです。

 灰汁が少ないので生のままでも美味しく食べられます。特に若い葉先を摘んでサラダにすると香りも良く楽しめます。他にもお浸しや、豆腐とあわせて白和えにするのもおすすめです。ただし火を通し過ぎると色が悪くなり、苦味も強くなるため、軽めに火を通すくらいが良いでしょう。

保存の際は湿らせた新聞紙で包み、ビニール袋に入れ冷蔵庫の野菜室へ仕舞いましょう。

 独特の香りが苦手だという方も多いと思います。様々な料理や調理法を工夫し、美味しい食べ方を探してみてください。


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