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鮮やかなパセリには健康の秘訣が詰まっています。【新食べ物通信 No.6 パセリ】

薬用にも古代より注目されていた

 皆さんは普段パセリを食べていますか。ふわっとした鮮やかな緑色のパセリは、洋食などでは脇に飾られているというイメージが強く、食べていないという方も多いのではないでしょうか。しかし、パセリは栄養を豊富に含んだ野菜であり、使い方一つで美味しく食べられるため、積極的に食べたい野菜です。

 パセリの原産地はヨーロッパ中南部から北アフリカにかけての地中海沿岸と言われています。古代エジプトや古代ギリシャではすでに食用とされ、薬用や歯磨き用としても使われていたそうです。9世紀頃にフランスへ伝わり、その後16世紀までにはイギリスやドイツなどにも浸透。さらにヨーロッパからの移民によってアメリカにも広まりました。

 日本には18世紀初めにオランダからもたらされ、貝原益軒の『大和本草』(1709年)では、「芹」の項目で「紅毛芹(オランダセリ)、根は羊の蹄に似ていて黄色い」と記されています。パセリの栽培は明治から大正時代にかけて本格的に行なわれるようになりました。栽培が比較的簡単ということもあり、現在は世界各地で栽培されています。ちぢれ葉種(カーリーパセリ)と平葉種(イタリアンパセリ)という種類があり、ハウス栽培が主であるため一年中手に入れることができます。自宅で種から育てることも可能です。日当たりが良く、涼しい気候を好むため、これから植える場合は9月から10月ごろをおすすめします。

よい身体へ導く様々な栄養

 そんなパセリは、実は非常に優秀な栄養素を持っています。βカロテン(ビタミンA)、ビタミンB1、B2、C、E、葉酸をたっぷり含み、カルシウム、マグネシウム、鉄などのミネラルも豊富です。独特の香りはアピオールという精油成分で、食欲増進、疲労回復、口臭予防などに効果を示します。

 パセリには現代日本で多くみられる、野菜不足になりがちな人がビダミンやミネラルを広く摂取することができます。ビタミンAは目の神経系を作り上げ、肌や粘膜などの形成にも重要な役割を果たしています。ビタミンCとビタミンEは体内で発生してしまう活性酸素を除去してくれます。どれも肌や血管の健康を維持するために欠かせない栄養素です。

 また、ナトリウムの排出を行なうために重要な役割を果たすのがカリウムであり、高血圧やむくみの対策として有用とされています。カルシウムは骨を作るのに欠かせず、鉄は赤血球の原料として必須のものです。

 それぞれの栄養素が特徴的な機能も担っており、健康で丈夫な体を作り上げるために必要なビタミンやミネラルが凝縮されています。

香りと色を活かしていろいろな食べ方

  パセリは世界的には料理そのものにも頻用されているハーブです。独特の香味を生かした料理が多く、トマトやオリーブ油などとよく合うことからパスタソースなどに利用されています。一度に多くを食べる野菜ではないものの、少しずついろいろな料理に使うことで、良質な栄養を摂ることができます。

 また加熱することにより、苦みが軽減され食べやすくなりますので、付け合わせのようにしたパセリをそのまま食べることもできますが、たくさん食べたいときには軽く茹でておひたしや、天ぷらにすることも可能です。小さくしてサラダに混ぜ込むのは風味付けにも、色味を足すことにも適しています。

飾りとして

鮮やかな緑は美味しさの証

 パセリは香味や色味として少しずつ料理を美味しくする程度に使うのが基本ですが、新鮮なうちに使わないと香味は特に落ちてきてます。選ぶ際は葉が濃く鮮やかな緑色で光沢があり、切り口がみずみずしいもの。また葉が密集していてふわふわとやわらかく、ちぢれの細かいものを。葉が黄色っぽく変色していたり、乾燥しているものは鮮度が落ちていて、苦味が強く食感もかためです。

 保存する際は水を入れたコップに茎を差し、乾燥しないようにポリ袋をかぶせて輪ゴムで固定します。冷蔵庫の野菜室に入れ、2週間程度を目安に食べきってください。また、冷凍することで保存期間が半月ほど延びます。洗った後よく水気を取って、茎を取り、フリーザーパックなどに入れて冷凍します。中のパセリを粉々にすることで、細かく刻む手間が省け、凍ったままスープやパスタに使えます。

 美味しい食べ方を知って様々な料理と合わせて効率的にパセリを摂り、より良い健康を目指しましょう。(五島沙也可)

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パセリとしらすのかき揚げ

 パセリ(葉のみ)40グラム
 しらす 50グラム
 てんぷら粉 100グラム
 水 適量
① パセリの葉をみじん切りにする
② ボウルに材料を入れざっくりと混ぜ合わせる
③ 170℃の油で揚げる
④ 塩や天つゆでいただく
 このほかにも、様々なレシピが出ています。美味しい食べ方を見つけてみてください。

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