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◇コラム【新・食べ物通信9】ピーマン ~唐辛子から生まれた野菜で夏の疲れを 乗り越えましょう!!~

元をたどれば深い歴史を持つ野菜

 皆さんは、ピーマンはお好きでしょうか。スーパーマーケットで通年手に入れることができますが、夏を感じる野菜の一つです。最近のピーマンは苦みや独特の青臭さが軽減されており、炒め物やあえ物など日々の料理の中で多く使われています。

 さて、ピーマンは唐辛子の“仲間”であることをご存じでしょうか。唐辛子は紀元前6500年前に使われていたという記録が残っています。原産地は中南米ですが、コロンブスがヨーロッパへ持ち帰り、香辛料として広まりました。日本には16世紀に伝わりますが、それは今日(こんにち)の「トウガラシ」であり、私たちの知る「ピーマン」とは別物でした。江戸時代に刊行された貝原益軒の『菜譜(さいふ) 』(1704年)では、「番椒(たうがらし)」という名前で紹介されていました。昭和30年代頃、食生活の洋風化が進んだことで肉によく合う野菜として拡(ひろ)がりました。

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日々の心掛けとともに食べましょう

 日本の店頭で販売されるものは、明治初頭にアメリカから伝わったイスパニア種を品種改良した中型で緑色のものが多く出廻っています。緑色は未成熟の果実であり、成熟すると一般的なものは赤色や黄色に変わっていきます。その他に白色や黒色、紫色の品種のピーマンもあります。

 そんなピーマンには様々な栄養が豊富に含まれています。栄養価は非常に高く、夏場に大いに活用してもらいたい食材です。ビタミンが豊富なピーマンは夏バテを防ぎ、疲労回復に効果を発揮します。

 ビタミンCはトマトの約4倍含まれており、風邪予防や美容効果を示すほか、メラニン色素を分解する働きを持つため、夏の日焼け対策に有効です。

 他にも、ビタミンCの吸収を助けるビタミンPは毛細血管を丈夫にします。血圧の上昇を抑える効果があるカリウムや、免疫力を高めるカロテンなど も多く含まれています。

 ピーマンの苦みはポリフェノールの一種であるクエルシトリンと言い、この成分には高血圧を抑える働きや抗うつ作用などの効果があります。

丸ごと美味しく様々な食べ方をみつけて

 近年は、香り成分のピラジンに注目が集まっています。血液をサラサラにして血栓や血液凝固を防ぐ働きがあり、脳梗塞や心筋梗塞の予防効果が期待できます。種の部分に多く含まれる成分のため、丸ごと焼くか肉詰めなど、工夫して食べてみてください。

 ピーマンの仲間にパプリカとシシトウガラシがありますが、大きな違いはありません。パプリカはピーマンよりも果肉が分厚く、丸いので見た目が特徴です。

 ピーマンに比べてビタミンCやカロテンが多く含まれています。赤、オレンジ、黄色の果肉の色が鮮やかで、甘くさわやかな味わいがあります。生でも食べやすいことから、サラダやマリネ、炒めものに利用されています。

 一方、シシトウガラシは甘味種の唐辛子に分類されます。栄養成分はピーマンと同様。美味しく仕上げるには強めの火加減でさっと加熱することがポイントです。

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新鮮なものを長く楽しむ

 選ぶ際は切り口が新鮮で変色しておらず、つやがあり、肉厚でふっくらとしているものがオススメです。ヘタの形が六角形のものは苦みが弱く食べやすいそうです。

 切り口が黒っぽく変色していたり、皮にシワのあるものは鮮度が落ちています。多湿と乾燥に弱いので、さっと洗ったら表面の水気をよく拭い、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室へ入れましょう。新鮮なものは1週間程度保存することができます。傷みが移りやすいので傷んだものは取り除きます。冷凍する際は刻んで固めに塩茹でにし、1カ月を目安に使い切りましょう。

 ピーマンをおいしく食べ、残暑に負けない健康な身体を目指しましょう。
                           (五島沙也可)

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【レシピ】
ピーマンの丸ごと焼き

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 材料《  ピーマン・・・人数分  》
   《  鰹節、しょうゆ・・・お好みで適宜  》

① ピーマンをよく洗い水気を拭う。
 丸のままラップに包んだり、耐熱容器に入れて電子レンジで2~3分
 加熱する。
② フライパンに油を熱し、①のピーマンを表面に焦げ目がつくまで焼く。
③ 器に盛り、鰹節としょうゆ(麺つゆやポン酢もおすすめです)を
 お好みでかけて頂く。


 ピーマンに含まれる栄養は油との相性が良いほか、加熱によって壊れる栄養が少ない所もポイントです。丸のまま焼くことで、種やヘタごと食べることができ、苦みも軽減されます。
 ほかにもさまざまなレシピが公開されています。美味しいレシピを見つけてください。
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