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漫才「探求」

乙「物事って、細かくつきつきつめていったらめちゃくちゃ単純よな」

甲「どう言うこと?」

乙「例えばさ、音楽ってドレミファソラシドでできてるやん?」

甲「うん」

乙「厳密に間の音とかも含めたら、たった12種類の音程で人を感動させたり興奮させたりお金になったりすんねんで。それってすごいことやない?」

甲「なるほど、たったそれだけの素材ですごいことできてるのがすごいってことか。」

乙「そうそう。こういうの探求って言うらしいで。おもろいよな。あと、バスケもそう思うねん。」

甲「というと?」

乙「この前お前とバスケ見にいったときに、俺、なぜ彼らはあんなに汗水を垂らして一心不乱に球を突いているんだろう、って思ったんよね。」

甲「一理ある。俺もあんなにがんばらんでええと思うわ。」

乙「ほんで3歩しか動かれへんねんで。」

甲「それでめっちゃ疲れんねんから溜まったもんちゃうわ」

乙「そやろ。あとはね、勉強。」

甲「なんでなん?」

乙「だってさ、問題用紙に書くのってシャーペンとか鉛筆やん?てことはさ、いかに鉛を紙にのせるかで、点数つけられて、あまつさえ人生決まったりすんねんで?」

甲「なぜ今俺は鉛を乗せているんだろう、って感じやな?ほな探求やな。」

乙「そう。だからさ、この探求で成り立ってる世の中ってすごいなって思うねんな。」

乙「それすごいわかるわ。なんかそう考えたらすごい感慨深いものがあるよな。俺もさ、探求やなって思うことあるんやけど、言ってもいい?」

甲「もちろん。どんなの?」

乙「あのさ、俺痴漢してんけどさ...」

甲は乙を突き飛ばす。

甲「何を堂々と!お前、は、犯罪者やないか!」

乙「ちょ、聞いて!」

甲「なんやねん」

乙「これってさ、俺の手が女の人の尻に服越しに触れてるだけやと思わへん?」

再び甲は乙を突き飛ばす

甲「思うか!それは探求でもなんでもない、ただの軽犯罪や!」

乙「なんでなん?」

甲「法律で決まってるからや!」

乙「鉛で?」

甲「鉛でや!」

甲「もういい、今から通報する。」

乙「ちょっと待って、まだもう一個俺探求あんねん。」

甲「何言うてんねん、軽犯罪者は舞台の上で話したらあかんねん。」

乙「鉛で?」

甲「鉛でや!どっちかといえばインクかもしれんけどな!」

甲はチョキを乙の目の寸前まで持っていって目潰しをしようとする。

乙「俺人殺したことあんねん。」

甲は驚き尻餅をつく。この時歯軋りが止まらない。

乙「でもこれってさ、鉛が人の体に入ってるだけじゃない?でも、なんかそれって非日常でなんかおもろいよな。」

甲「おもろいわけあるか!懲役刑じゃ!」

乙はこの時思い出し笑いをする。

乙は徐にバタフライナイフを取り出す。

乙は甲にあゆみ寄る。

甲はにじり下がる。

乙はバタフライナイフを甲の心臓に突き刺す。

























しばらくの沈黙の後、

乙「これが探求か。」

甲は起き上がる。

甲「そんなわけあるか!」

暗転


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