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読書報告その5 寺山修司『ポケットに名言を』

今月の読書報告Part2です!
今月は寺山修司さんの『ポケットに名言を 』。
こちらは、角川文庫さんより出版されています。
2021年に買ったものをずっと温めていました。今更読んでいます。
お家の中で温めていた本を読める辺り、また読書の習慣が着いてきたような。あるいは私に、読書をするだけの心の余裕が出てきたのかもしれません。

さて、話が逸れてしまいましたね。
この『ポケットに名言を』は、筆者である寺山修司さんが選んだ、たくさんの言葉たちが載っています。
「ポケットに」とあるように、かなり持ち運びがしやすいサイズだと思う。
スマホによって異なるとは思いますが、本の厚さはスマホと同じくらいです。深めのポケットだったら十分はいるに違いありません。

購入した時の記憶が曖昧ですが、何か私にとって新しい出会いがあればいいな。そんなふわっとした気持ちで購入したと記憶しています。
さて、あれから数年経って読む今。
私に新しい出会いはあったのでしょうか?

注意書きとして。
文章を引用したかったのはやまやまなのですが、再引用に当たる気がしました。
私自身が混乱しそうなので、引用は少なめの記事です。
ページ数は記しておくので、気になった方は読んでみてね。


洋画『審判』

フランツ・カフカの名作を映画にしたものであり、罪を犯した覚えがないのに逮捕を宣告される男の物語です。
本書では、2 暗闇の宝さがし で寺山さんのエピソードとともに紹介されていました。
16ページで紹介されている、寺山さんの心に残っているというセリフよりも、18ページにて紹介されている会話の方が私の目を引きました。あやまるのが口癖のようになっている男と、それを指摘する男。
私の目を引いたのはたった1つの理由、私も全く同じ会話をした事があるからです。
もちろん、言い回しは違いますが…それでも、同じ内容の会話をした身としては、前後が気になるところ。
如何せん古い洋画なので、どうしようか。悩ましいところではありますが、なんとかして見たい気持ち。レンタルか…?
ここまでまだ18ページしか読んでいないものの、新しい出会いを求めた私の願いは、早くも達成されました。

詩の中の言葉

どこか遠くへ行きたい。ここではない、私のことを知る人がいない街へ。
そう思ったことはありませんか。
私は、実はあるのです。もう数年も前になりますが……。
ぼんやりとそれを思っている中で、新幹線を見ると「あの電車に乗れたら」と思う。
数年も前ですから、ふらっと新幹線に乗るだけの勇気もなく、実行する日は終ぞ来ませんでしたが。
そんなあの時の気持ちを、ふと思い出したのが、32ページに掲載されている、ラングストン・ヒューズの『七十五セントのブルース』。
目的地は関係ない、ここから離れていくんだという気持ちが、あの頃の私に重なって見えたのです。
もし、あの当時にこの詩に出会えてたら……
過去はどう頑張っても変えられないので、今出会えたことを喜ぶといたしましょう。

「名言」

37ページからは、満を持して(?)名言の紹介が始まります。面白いくらいに、ジャンルを問わず並べてあるのです。
シェイクスピアの言葉が紹介してあるのと同じページに、織田信長の言葉があることなぞ、誰が想像したか?
このページを見た時、新しい何かと出会いたいと考えた私がこの本を手に取ったこと、この上なく正解だったのだと笑いが止まりませんでした。
あぁ、数年前の私、ありがとう!!

注意書きとして。
私は、『ポケットに名言を』に収録されている一部分しか読んでいません。つまり、前後の文章が分からない状態で、その文章を読んでいます。
もしかすると、本来とは異なる解釈をしている可能性があることを記しておきます。

紹介されていた太宰治の言葉で、心に残ったものが2つあります。これは最早、太宰治を読み耽るしかないかもしれません。
1つは「晩年」から。『ポケットに名言を』では52ページに掲載されています。死のうと思っていた正月に、夏用の着物を貰い、夏まで生きてみるかという内容の文章。
目で見ることの出来る楽しみというのは、苦しい中で頑張るひとつの目安になるかもしれません。
実際、私が頑張れなくなりそうだった時に心の支えにしたのは、舞台の新作だったりしました。あるいは新作のゲームとか。そうこうしているうちに、頑張れなくなりそうだった理由が解消される、かもしれません。
願わくば、私も誰かにとっての「ちょっと頑張ってみるか」と思うきっかけになれたら嬉しいですね。

もう1つは「女生徒」。こちらは『ポケットに名言を』110ページ。人間の本当に良い事として花を愛すことができることをあげているの文章です。
心って厄介なものだと思うんです。心がなけりゃ、苦しいも辛いも感じずにすむ。ですが心があるから、何かを美しと思ったり、何かを楽しいと思ったりする。
しかも我々は、言葉によってそれを共有することが出来ます。
そもそもとして私は、誰かと「楽しい」を共有できたらいいなの気持ちでゲーム実況をしているのですから。
自分を見失いかけた時に、自分自身に唱えてあげたい言葉かもしれません。

続いては、アルフォンス・ドーデの「アルルの女」より。『ポケットに名言を』61ページに掲載されていました。こちらは戯曲にもなっている短編小説だそうですね。
歌う歌が短いことを指摘された小鳥が、たくさんの歌を歌いたいからと返す内容の文章。
素直に素敵だなと思いました。
私には、興味のあることが沢山あります。あっちこっちに手を出しては、どれも中途半端になってしまいがち。
そんな私は深く広くどころか深く狭くにもなれない自分を恥じていたところがあります。
だけど、浅く広くでもいいのかな。そう思わせてくれたのがこちらの文章です。
やりたいことを全てしてしまうには、きっと人生は短いのでしょう。だからこそ、浅く広くでも、やりたいことをやってみて、その中から深くやりたいことを見つけていく。
それでいいんじゃないから。そう思わせてくれた文章でした。

また、私自身が大切にしたい価値観として、『ポケットに名言を』119ページに掲載されているヴォルテールの言葉がありました。
あなたの意見には反対だが、その意見を主張する権利は命にかけて守る、という内容です。
この考え、大切にしていたい。世の中、こんなに沢山の人がいるのだから、合う合わない、好き嫌いは沢山ある事でしょう。
だけど、合わないから。嫌いだから。そんな理由で「それはダメだ」なんて言いたくない。
……考えることと実行することまで含めて考えると、長くなりそうなので割愛しますが……
とにもかくにも、私は自分とは異なる考えに対して、批判こそするかもしれませんが、否定はしたくありません。
そうであるためにも、時折読み返したい言葉かもしれません。

これは心に残ったというか、「なしてこんな状況になったん!?!?」という興味ですので、おまけという形で紹介することにしますね。
カミの「ルーフォック・エルメスの冒険」の一説。『ポケットに名言を』の69ページに載っていました。
ミステリーらしく、内容の紹介は避けようと思うのですが、「いや、そうはならんやろ!?」みたいな……?
そうなった過程が気になるので、これはこれで読まねばなぁという気持ちです。

著者、寺山修司さんの言葉

「6 時速一〇〇キロでしゃべりまくろう」では、たくさんの言葉に触れてきたのであろう寺山修司さんの言葉が挙げられています。
ここにも、胸に残ったり、考えさせられる言葉がありました。

まずは「人魚姫」よりこの文章。

なみだは人間の作るいちばん小さな海です

『ポケットに名言を』165ページ

涙を流す時は、悲しい時が多いかもしれません。そんなとき、わたしはどこか海でも眺めながらぼーっとしたくなる。
だけど実際そういうことが出来るかと言われれば、まぁ難しい時だってある。
だけどもし、涙も海なら……?
泣いてる時はいつでも見れるじゃないですか。
もし、悲しくて泣いてしまうことがあれば。次はいちばん小さな海を見ながら心を落ち着かせられるか、やってみたいですね。

2つ目は「あぁ、荒野」よりこちらの言葉。

人類が最後にかかる、一番重い病気は「希望」という病気である。

『ポケットに名言を』165ページ

な、なるほどね〜!?となったのが、こちらの言葉です。
私は、この世の中に「希望」という言葉があるということは、すなわち「絶望」があるということだと考えています。望みが絶えることがあるから、望みを希う。
真っ暗な世界において、手が届かないほど遠くにある光は、結局のところ絶望であり、それに手を伸ばし続けることは苦しいだろうなと思いました。

そして最後に「疫病流行記」よりこちらの言葉。

「あたしはあなたの病気です」

『ポケットに名言を』179ページ

もし、一番重い病気が希望なら。これは、あなたの希望になりたいということですよね……?
違うお話の一説みたいなので、『疫病流行記』ではどんな意味を持つのか、読んでみないことには分かりませんが。
だけど、ここでは、「あたしはあなたの希望になりたい」という意味だと捉えることにして。
私せりこは、あなたの希望になりたい。
病気は苦しいから、ちょっと頑張れるかも……?くらいの、近くて小さな希望になりたい。
そんな気持ちも込めて、こちらを最後に紹介させていただきました。

今、私の琴線に触れたのはこの言葉たちでしたが、数年後に読み返してみれば、また違う言葉達が心に刺さるのかもしれません。
新たな何かと出会うきっかけになると同時に、自身の変化を感じることもできそうな気がします。


当てにならない次回予告

さて、今回は寺山修司さんの『ポケットに名言を』でした。400円でこんなに楽しんでいいのか?と思いつつ読んでいました。
えぇ、この後の出費には目をつぶっています。どうせ、買ったりレンタルしたりして、400円では全然収まらないんだから…。
私も、ときめいたフレーズや心を刺されたフレーズを書き留めるノートを作ろうかしら。そう思わせてくれる本でした。というか早速つくりまして。
時々、皆さんにもご紹介できたらなぁなんて思っています。

ということでようやく次回予告。
次はね、決めてありますよ。当てにならない?今回ばかりは違います。
ガストン・ルルーの『オペラ座の怪人』。これを読みます。
なぜか?
理由は単純。オペラ座の怪人が映画館にやってくるからです!!!

分かりますか、オタクとしては見に行かなアカンのですよ。
オペラ座の怪人。それは名作中の名作です。見なアカンでしょ!!!!!!
そして私は、その前に原作を読みたいオタクです。
従って、私は読むのです。『オペラ座の怪人』を。
ということで次回は『オペラ座の怪人』。
楽しみにしてくださると嬉しいです。

さて、ここまで読んでくださったあなた!
本当にありがとうございます。
この記事や私が、まだ見ぬ素敵な出会いのきっかけになっていれば幸いです。
それでは、最後までお付き合いくださいました貴方に。
素敵なことが起こりますように♪

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